『仕事の報酬とは何か』(田坂広志)(◯)
もう何回めかよく覚えていないほど読んでおりますが、「一体何のために働いているのか?」。単にお金のためではない。人生を豊かにするためには、仕事を自分の中でどう位置付けるか、どういう心構えで取り組むのかということを考えることはとても意味のあることだと感じます。シンプルに大切なことを伝えている本書。一度は触れてみたい世界観です。
(印象に残っていること・・本書より)
◯働く人にとって重要な問い
①「なぜ、そんなに一生懸命、働いているのですか」
②そんなに一生懸命働くことによって、どんな報酬を得ているのですか」
③あなたにとって、仕事の報酬とは何ですか」
⇨「仕事の報酬は、給料や収入だ」と答えるならば、大切なものが見えていない。
◯本当に大切な報酬とは?
・目に見えない報酬
①能力
②仕事
③成長
◯2種類の報酬
①自ら求めて得るべき報酬(能力、仕事、成長)
②結果として与えられる報酬(収入、地位)
◯能力
・腕を磨く喜びというものをどれほど深く体験しているか?
・目に見えない報酬を報酬として実感させてくれるのが上司の一言。「お前もなかなか腕を上げたな」「お前、力がついたな」という言葉。
・そのためには、師匠を見つけて、直伝を受ける。
・師匠から学ぶべきは、①呼吸(リズム感やバランス感覚)、②反省をするための着眼、③心得
◯仕事
・我々が仕事を通じて残すものは、実は作品ではなく「共同作品」
・共同作品を作るためには、共感が必要。
・「志」は共感と共に大切な要素。「志」と「誤解」を混同してはいけない。
・「志」とは、その仕事の彼方に何を見つめているかということ。
◯成長
・人間としての成長は、心の世界に処する力。つまり、①心の世界を感じる力、②心の世界に働き変える力。
・心の世界とは、①自分の心の世界、②相手の心の世界、③人間集団の心の世界
・腕を磨くことは、「心得」の世界に向かう。
・良き仕事を残すということは、共感や志の方向に向かう。
・職業人としての能力も、作品としての仕事も、最後には人間としての成長に結びつく。
・いかにして、人間としての成長を得るか。それは、人間の心と格闘すること。
・収入や地位という報酬はもとより、能力や仕事いう報酬もまたいつか失われる報酬。人間としての成長、それは決して失われない成長。
成長が最後に残るというのは、「成長」が志のキーワードである私にとっては、とてもしっくりくるものがあります。成長しながら収入が得られるというのは、目に見えない報酬と目に見える報酬のバランスが取れているということでもあり、大切にしたい観点です。