『ビジョナリーカンパニー2』(ジェームズ・C・コリンズ)(◯)
飛躍する企業とそうでない企業を調査により研究した良書です。この3つ目の観点に「厳しい現実を直視する」というテーマがあります。
本書は、意外性ある結果がたくさん示されているのですが、このテーマもその一つです。
①経営者のカリスマ性は強みである
→「そうそう!」って思いがちですが、実は調査の結果は異なります。部下が厳しい現実を報告しかねなくなり、厳しい現実が経営者に伝わらないリスクがあります。飛躍する企業では、厳しい現実が経営者に伝わっています。
②リーダーシップは、ビジョンを出発点とする
→これも「そうそう!」って思ってしまいます。ビジョンなくしてどこに向かって行けばいいの?って逆に質問したくなりますが、これは、「厳しい現実を直視し、その意味を考えて行動することを促すことを出発点とする」。ビジョンが無いわけではないと思いますが、それよりもまず目の前の現実と向き合う大切さに気づいているのが、飛躍する企業。
③どうすれば従業員の意欲を引き出せるかが問題
→これも「同意」したくなります。しかし、飛躍する企業では、「人々の意欲をくじかないためにはどうするかが問題」としています。最近の流行りにもなっている1on1、コーチング。「どうやったら従業員の意欲を引き出せるか?」って考えていないでしょうか。やる気は元々備わっているもの。その弊害が社内のルールや人間関係にあったりします。そのやる気を阻害している要因を見つけ、そこを改善する大切さを感じます。
◯学ぶべきこと
①厳しい現実から目を背けない
「人は見たい現実しか見ない」という言葉があります。都合の良い情報を取りに行く、自社(自分)を正当化する裏付けを探しに行く。独りよがりな理論武装をする。しかし、それで現実が変わるわけではなく、現実は現実として、目の前にあり、その現実も変わり続ける。結局、いつかは向き合わないといけない。であれば、時間を無駄にせず、腹を括って、現実に向き合うと決める意思の力であると感じます。自分の中の弱い自分とタフな自分のせめぎ合い。つまりは、自分の心からは逃げることができないという覚悟を決めるしかないのだと思います。
②上から目線に注意する
「意欲を引き出す」という経営者や上司の姿勢は、従業員や部下にとっては、上から目線に感じ、それだけでモチベーションが下がりそうです。役割こそ違えど、同じ人間。なんのためにこの会社に入ったのか、仕事を通じどんな成長を遂げたいのか。人生と仕事のバランス、プライベートと仕事のバランス。同じ職場で働く人の心を知ることが出発点にあると思いますし、そこを大切にしたいと感じました。