『学問のすゝめ』(福沢諭吉)(〇)(2回目)
明治5~9年に執筆され17編から構成されています。当時の人口3500万人に対して70万冊(短編ごとでは340万冊)販売されたという驚異的ベストセラー。
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり。」の有名な導入部分。江戸から明治への転換期。身分制度にはじまり、さまざまな改革が進む時代背景。
タイトルの「学問」こそが人が大成する基本になることが様々な切り口で綴られています。途中、やや読みづらいと感じた章もありますが、やはり、読み継がれる名著だと思いました。
(印象に残ったところ‥本書より)
17編の中でも、初編は最も分かりやすく、すべてに共通する考え方なので、今回はここを採りあげます。
〇「されば賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとに由って出来るものなり」(初編)
命を授かれば、本来、皆同じ位にある。貴賤上下の差別もないはずだが、実際には賢き人、おろかなる人、貧しき人、富める人がいる。この有様は雲と泥の相違に似ている。これは、学んでいるか学んでいないか、智があるかないかによるもの。
〇「今かかる実なき学問は先ずは次にし、専ら勤むべきは人間普通日用に近き実学なり」(初編)
・いろは四十七文字、手紙の文言、帳合の仕方、算盤の稽古、天秤の取扱い等
・地理学:日本国中は勿論世界万国の風土道案内
・究理学:天地万物の性質を見てその働きを知る学問
・歴史:年代記のくわしきものにて万国古今の有様を詮索する書物
・経済学:一身一家の世帯より天下の世帯を説きたるもの
・修身学:身の行いを修め人に交わりこの世を渡るべき天然の道理を述べたるもの
〇「学問をするには分限を知ること肝要なり」(初編)
分限とは、天の道理に基づき、人の情に従い、他人の妨げをなさずして我一身の自由を達すること。自由と我儘との界は、他人の妨げをなすとなさざるとの間にあり。
〇「身に才徳を備えんとするには物事の理を知らざるべからず。物事の理を知らんとするには字を学ばざるべからず。これ即ち学問の急務なる訳なり」
四民同等の基本も立ったが、ただ天理にしたがって存分に事を成すべしとは申しながら、凡そ人たるものはそれぞれの身分あれば、その身分に従い相応の才徳なかるべからず。よくその身分を顧み、我身分を重きものと思い、卑劣の所業あるべからず。
2編以降も、国家間のこと、学者や国民の身分、国法などなど、興味深いテーマで論じられています。今回は、現代訳版ではないので、理解度はまだまだ低いですが、1回目の時よりは吸収できています。この感じで繰り返し読んでみようと思います。