『後世への最大遺物』(内村鑑三)(〇)
変革のリーダーシップの参考書にも指定されている本書を読んでみました。
明治27年の夏期学校での講演録で、わずか70ページ足らずですが、後生に何を残すべきかという重いテーマでもあり、ずっしりと考えさせられる内容です。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇お金について
「後生へわれわれの遺すもののなかにまず第一番に大切なものがある。何であるかというと金です」
「富というものを一つにまとめるというのは一大事業です」
「金を溜める力と使う力とがなくてはならぬ」
〇事業について
「金よりもよい遺物は何であるかと考えてみますと、事業です」
「金は労力を代表するものでありますから、労力を使ってこれを事業に変じ、事業を遺して逝くことができる」
〇思想について
「もし金を溜めることができず、事業をすることを許されなければ、まだ一つ遺すものを持っています。思想です」
「今の青年にわれわれの志を注いでゆくも一つの方法。しかし、思想そのものだけを遺してゆくには文学によるほかない」
「思想を遺すということは大事業であります。もしわれわれが事業を遺すことができぬならば、思想を遺してそうして将来にいたってわれわれの事業をなすことができると思う」
〇最大の遺物とは
「人間が後生に残すことのできる、そして誰にでも遺すことのできるところの遺物で、利益ばかりあって害のない遺物がある。それは、勇ましい高尚なる生涯であると思います」
まだ、後生に何を遺すなんていう大きなことは考えたことがありません。
金か、事業か、思想か、高尚なる生涯(生き様)か・・・
後生に何を遺すかという発想で考えると、少し長い目で物事考え、壮大なことも現実のものとしてとらえることができ、一つひとつの軌跡も意思を持って残していけるのではないかと思いました。
私はまだ未受講ですが、変革リーダーシップの講義の参考書として、なぜ本書が推奨されているのか、その選定に込められた思いを感じることができました。