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MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

忘れる力思考への知の条件(外山滋比古)

『忘れる力思考への知の条件』(外山滋比古

 「記憶することは良いこと、忘却することは悪いこと」。当たり前のように子供の頃から教えられてきたこと。本書では、記憶と忘却は敵対関係にあるのではなく、精神活動が実り多きものになるためには、手を取り合って協力する仲であると考え、自然忘却こそがよりよい記憶に繋がるという忘却先行の逆転発想を説いた一冊です。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇知的メタボリック・シンドローム

 記憶はものを食べるのにあたる。頭がいっぱいでは新しい記憶の入る余地がない。まず頭を空腹の状態にする必要がある。空腹な頭は新しい記憶を喜んで迎える。しっかり頭の掃除ができるように、夜、寝ているあいだに、忘却が進められる。人類は20世紀になるまでそれを知らなかった。

 

〇知識を寝かせる

・新しい知識はおとなしくしないで暴れることがある。一旦鎮めるのが賢明である。やみくもに知識をありがたがっていると、その間の微妙なところが見えなくなってしまうらしい。多すぎる知識、新しすぎる知識は人間の判断力を弱め、思考力を殺ぐおそれがある。

・暗記した知識は一時的にしか役に立たない。忘却をくぐり抜けた後に残った知識が、その人間をつくる。

 

〇レム睡眠

 一日のうちに頭に入った記憶は夜、眠ってから整理される。余計なものは廃棄、忘却される。のどかな生活をしていれば、このレム睡眠の忘却で、頭の中はゴミ出しした後のようにきれいになる。朝、目を覚ますと、気分爽快、意欲も高まっているのは、忘却の働きのおかげであると言ってよい。

 

〇よく学び、よく遊べ

 イギリスのことわざ。

 All work and no play makes Jack a dull boy.

(勉強ばかりしていて遊ばないとバカになる)

・教師自身が勉強一点張りの教育を受けているから、遊びを認めるのは難しい。

 

〇朝飯前

 「朝食前にも出来るほど簡単だ」(新明解国語辞典)。誤っているわけではないが、もともとの意味は違っていたはずである。一晩よく寝て、朝、目を覚ます。その時の頭の働きは素晴らしく良いから普段なら手こずるようなことでも、さっさと片づけられる。

 

〇頭の連鎖生涯

 ある名門高校で雑然たる時間割はおかしいとして、例えば月曜日の午前中3時限はぶっ通しで英語をやる。午後は社会だけ。火曜日の午前中は国語、午後は理科といった具合のまとめた時間割にしたが、やってみてすぐやめてしまった。学習効果が上がらない。細切れの授業のほうが、まとまった時間の授業より学習効果が高いことだけははっきりした。

 

〇詩は静かに回想された情緒である(英国詩人ワーズワース

印象、感興も、生のままでは美しくない。一旦は忘れて、また思い出す。そこで生まれるのが美しい、おもしろい、人の心を動かす力を持つ。忘却がそこで大きな働きをするのだが、気づかれることが少ない。

 

〇目と耳

 日本人はユニークであったといってよい。耳より目を大切にする。談話より文章の記憶をありがたがる傾向が強いのは、漢字という視覚中心の文字に生きてきた長い歴史が深くかかわっている。耳の忘却力は多様な生活の中で強まるから、本ばかり読んでいる視覚人間は、うまく忘れることができない。知識をありがたがって勉強に専心する好学の人が、しばしば空虚になるのは、この耳の言葉の生活的活力を欠くからである。

 

〇仲間とする勉強

 一人でする勉強は小さく固まりやすい。仲間と一緒に張り合ってする勉強は質が高い。一人で学問をするのでは、談論風発もないから小さく固まってしまうが、いろいろな人と付き合っている学者には飛躍がある。勉強は一人でするもの。そう思って若い人は本ばかり読む。その努力は立派であるが、その割には伸びない。一人の先生だけに教わっては限界がある。仲間と一緒に学ぶと大きく進歩することができる。もっといいのは、談話会。

 

 「忘れていいんだ」。いやむしろ「忘れたほうがいいんだ」。しゃがんでジャンプする感じ?一歩進む準備が忘れること。忘却を肯定で捉えるだけで気持ちが楽。最近忘れることを気にせず、興味が湧いたことをインプットしていくことを繰り返していますが、会話や思考の中で、過去の遠い記憶が引っかかって思い出される感覚があったので、本書の内容と重なるところがありました。最近は、一冊の読書をしていても後半を読んでいるときにもう前半を忘れている始末。単に年なのか・・。でも気にしない。

忘れる力 思考への知の条件

忘れる力 思考への知の条件

 

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