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MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

僕が「プロ経営者」になれた理由(樋口泰行)

『僕が「プロ経営者」になれた理由』(樋口泰行)(〇)

 松下電器産業入社、ハーバード大学経営大学院修了後、ボストンコンサルティンググループ入社、その後、HP、ダイエー、日本マイクロソフトで社長を務められた著者が「変革時代のリーダー」について語った本書。複数の企業での経営経験で得たビジネスに対する考え方がまとめられており、示唆に富んだ良書です。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

外資系のプロ経営者として結果を出す

 外資系企業の日本法人ではまったく異なる2つの側面、能力が経営リーダーには求められる。日本人に受け入れられるキャラクターや営業力と、真逆のアメリカ人に受け入れられるキャラクターやアグレッシブさの両方を持ち合わせていなければ、日本法人の成績は上げられない。

 

〇たくさんの部下を持つマネジャーはルーターのようなもの

 マネジャーの帯域幅が狭ければ部下から入ってきた情報はすぐに滞留するし、処理が進まない。それなりのマネジャーになれば、かなりハイスピードで帯域幅の広いルーターにならなければならない。

 

〇チャレンジさせる覚悟

 上司の立場では、失敗を恐れるなと発破をかけるならば必ず自分も絡んで「連帯責任だ」と言い切るぐらいの度量がないと身にはならない。上司が絡むからこそ「これ以上やると危ない」と指導もできる。

 

〇仕事人としての「拡張可能性」

 「マネジャークラスになり5人の部下を持つのと50人の部下を持つのでは、あなたのToDoリストは自ずと変わりますよ。それを強く意識してください」と語っている。つまり、自分自身でToDoリストをつくり、そこに書き記された仕事(項目)を部下に託した場合、託したらすぐにリストから消せるようなマネジメント力を身につけて欲しい。部下に託した仕事を、部下が完了するまでリストから消せないようでいるのでは、マネジメントになっていない。

 

〇部下の悩みに対して

 部下たちが悩んでいる問題は、たいていが自分も経験してきたような問題。悩みを聞き、問題の本質を見抜き、「今から思えば、若いときにはこうすればよかった。君はそこから始めてみなさい」という”進化のタネ”を受け渡せるか。ここがリーダーのリーダーたる所以になる。

 

〇経営トップの資質に関する持論

「トップに経営のすべてが集約されていないと経営はうまくいかない」

 

〇戦略

 戦略として何がハイレベルで何がローレベルかの差は、視点の高さそのものにある。つまり、より上位の概念にまで自分自身を導かなければならない。まさに「ビッグ・ピクチャー」で見えているか。「人に説明してみて初めて分かることが実に多い」のも現実。

 

〇ダイレクトコミュニケーション

 ダイエーの社長時代、2週間に一度、たとえネガティブな話であっても、会社の前途について説明をした。「大事な時間なのでとにかく熱意を込めて」「申し訳ありませんが店を閉鎖します。ダイエーが生き延びるためにやむを得ない判断なのです」。

 現場を支える約260人の店長にも直接に電話をかけまくった。店長名簿を持ち歩き、理由を見つけては移動中の車の中などから電話を掛けた。「先日の店長会議で前向きな提案をありがとう。その後、どうですか」「先月は頑張りましたね。ありがとうございます」といった具合。

 人を動かすのは戦略や論理ではない。当たり前だが、一緒に歩んでくれると実感できるリーダーの心こそ人を動かす。

 

〇変革のマネジメント

 近道はない。「これが正しい」と信じた方針を、現場に何度も繰り返し伝える。それによって従業員の心に火を付け、愚直に、泥臭く歩みを進めていくしかない。

 

 

 「上位下達とダイレクトコミュニケーション」。どんなにポジションが上がったとしても、現場とのコミュニケーションを疎かにしない著者の姿勢、戦略を立てる高い視点。上に行ったり、下に行ったり、自在に変化できる柔軟性や行動力が根っこの大事な部分だと感じました。経験と実績に裏付けられた言葉を重く受け止めました。

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