『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』(アンドリュー・S・グローブ)(◯)
著者は、インテルの元CEO。1984年に出版された本書は、インテルの事例を使いながら、業績を上げるためにマネジャーが行うべきことについてまとめられています。チームづくりを中心に人事制度をいかに意味のあるものとして運用していくか、理論はベースとしつつも運用面にフォーカスし、マネジャーの真の役割を見出していく経営スタンスがわかりやすく伝わってくる1冊です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯生産工程の設計(朝食作りに学ぶ)
・カギになる大切な考え方は、最も長い(あるいは最も困難な、最も要注意の、または最も費用のかかる)ステップから生産の流れを組み立てて、逆に考えていくという点。
・各ステップのすべてについて、いつ始まり、いつ終わったかに注目すること。最も重要不可欠なステップ(卵をゆでるのに必要な時間)を中心に流れを計画し、他のステップはそれぞれの処理時間に応じてずらす。
・大切なのは、生産プロセスのいろいろな面の間の関係を何としても理解しようとする努力する物の考え方である。
◯マネジャーのアウトプット
・マネジャーのアウトプット=自分の組織のアウトプット+自分の影響力が及ぶ隣接諸組織のアウトプット
・マネジャーのアウトプット/時間=L×遂行した活動/時間
・Lは活動のテコ作用
・マネジャーの生産性を増加する最も一般的な方法は、時間管理法の活用であり、この方程式の分母を小さくすることである。
・類似したタスクの”バッチ処理(まとめてやること)”
◯マネジャーの管理人数
・監督業務の多いマネジャーは6〜8人ぐらいの部下がよく、この範囲は部下の一人につき、週に約半日を充てなければならないという基準から考えたもの(部下一人に週2日では余計な干渉に陥りやすく、週に1時間ではモニタリングの機械が十分に得られない)。
◯使命中心のミーティング
・具体的な意思決定のために召集するミーティングは、出席者が6、7人以上になると、スムーズに動かなくなる。8人が打ち切るべき上限。意思決定は見るスポーツではない。見物人はやることの邪魔になる。
・時間の25%以上を会議で過ごすようなら、それは組織不全の兆候(ピーター・ドラッカー)
◯意思決定6つの自問自答
①どのような意思決定をする必要があるのか?
②それはいつ決めなければならないのか?
③誰が決めるのか?
④意思決定をする前に相談する必要があるのは誰か?
⑤その意思決定を承認あるいは否定するのは誰か?
⑥その意思決定を知らせる必要がある人は誰か?
◯目標管理(日常業務にプランニング・プロセスを適用)
・目標管理(MBO)システムが成功するには2つの質問に答えさえすればいい。
①私はどこへ行きたいか?(その答えが目標になる)
②そこへ到達するためには自分のペースをどう決めるか?(その答えがマイルストーンになる)
◯業績の査定
・長期志向業績と短期志向業績のバランス。財務で使用する「現在価値」という考え方。将来志向の活動はどれくらいの期間でペイするか。それは現在価値に直すとどのくらいの価値があるのか。
・効果対象期間の部下のアウトプットは、同期間内の彼の活動の全てと関係があることもあるし、部分的であったり、まるで関係がないこともある。したがって、管理・監督者は部下の活動とその活動から生じるアウトプットとの間の時間のズレを考慮すべき。
・マネジャーを考課するときに判断すべきなのは、その業績とその監督下のグループの業績の両方。
・避けなければならない大きな落とし穴は、「可能性という罠」。いつでも可能性ではなくて実績を評価するよう努力すべきである。
◯査定の内容を伝える
①相手のところまで降りていって素直に
②相手の話をよく聞き
③自分を圏外において、客観的に見ること
◯問題社員
・無視する→否定する→他人を非難する→責任を取る→解決策を見つける
・業績の良くない人は自分の問題を無視する傾向が強い。そこでマネジャーは、その真実を示すことができる事実と具体例を持つことが肝要。
・行動を約束することが含まれる結果が出れば十分。部下が事態を変えることを約束するなら、真面目に取り組んでいると考えるべき。
マネジャーに本気で取り組むと、考えるべきことが実に多く、余裕がない日常になります。そんな中でも考える時間を作り出し、行動する時間も取って成果を出していくには、ビジネススキルもコミュニケーション力もベースのようなものであり、人間性や責任感といったその人の人となりが問われるのではないかと思います。
HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント) 人を育て、成果を最大にするマネジメント
- 作者: アンドリュー・S・グローブ,ベン・ホロウィッツ,小林薫
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2017/01/11
- メディア: 単行本
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