MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

「空気」で人を動かす(横山信弘)

『「空気」で人を動かす』(横山信弘)

 重苦しい「空気」や緩んだ「空気」を何よりも最初に変える。すると、驚くような結果が出始める。チームのメンバーが実力以上の力を発揮できるカギ、それが「空気」。本書は、リーダーがチームを率いていくうえでぶつかる「悪い空気」を「理想の空気」に変える方法を示した一冊です。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯場の空気

 本書で取り上げる「場の空気」とは、集団の価値観・判断基準のこと。「場の空気」は脳と深い関係がある。脳はその「場の空気」に大きな影響を受ける。特定の脳の神経細胞ミラーニューロン)が原因で、人は近くにいる人の言動のみならず、思考までも無意識にモデリングする。

 

◯非言語データ

 日本語は省略されやすい言語。日本人が空気に感化されやすいのは、日常のコミュニケーションの中で、非言語データを読み取る力を養っているからだとも言える。

 

◯4つの「空気」

①締まった空気(理想の空気)

・失敗したときに「言い訳しない」(自己責任を自覚)

・上司も部下も関係なく、間違っているときは互いに指摘しあえる

②緩んだ空気(なあなあの空気)

・失敗したときに「言い訳する」(失敗を許し合う)

・間違いを指摘したら反論したり、見て見ぬ振りをする

③縛られた空気(ガチガチの空気)

・失敗したときに「言い訳する」(責任回避に走る)

・上司から部下に間違ったことを指摘できるが、部下から上司には間違ったことを指摘できない

④ほどけた空気(最悪の空気)

・失敗したときに「言い訳しない」(思考停止状態)

・「目標など達成できるわけない」などと公然と後ろ向きな発言をする人が現れる

 

◯4つのステージと空気の関係

①チーム黎明期・・締まった空気

②チーム成長期・・緩んだ空気

③チーム過渡期・・原点回帰すれば「締まった空気」、放置すれば「緩んだ空気」

④チーム衰退期・・緩んだ空気のまま放置しておけば「ほどけた空気」

 

◯変えてはいけない価値観

①チーム特有の規律・価値観

②一般的な倫理観(モラル)

⇨空気の恐ろしいのは、正しく意識していないと、知らないうちに後戻りできないほどチームのポテンシャルを蝕んでいく点。

 

◯空気が変わっていく原因

①社会的手抜き

 集団心理の一つ。人任せにしてしまう。以前はできていたのに、人が増えただけでなんとなく手を抜いてしまう。

②外来価値観(外から持ち込まれた新しい価値観)

 チームや組織に今までなかった新しい価値観が持ち込まれる。

③意味の偽造(作話スモッグ)

 過去の言動を一貫して正当化する「一慣性の法則」。まず体が反応して、あとで意味を探す。現に起きてしまった行動や状態を、自分に納得いく形でうまく理由づけて説明してしまう。

⇨1)早めの対処(引き締め)、2)早めに対処できなかった場合は、客観的データによる事実(ファクトの調査)

 

◯「空気革命」基本テクニック

 人を変えるのではなく「空気」を変える。そのために大事なことは、「空気」が変わるまで「空気」に向かって、部下に伝えるべき情報をリーダーが発信し続けること。まずは「下地」を作ることからスタートする。

①「1対1」の環境では声をかける

②「1対多」の環境を作って発信する・・朝礼・会議・協調者との対話・メール

③「8ヵ月間」は続けるつもりで、同じことを発信する

④省略した「ぼかし表現」をしない

⑤「4W2H」を使う・・Whyを省く

 

◯可燃人にはチィーティング

 火をつけると燃えることができる可燃人への対応。

①徹底して教える・・守破離

・守:決められた型、師匠の教えを守って繰り返すことにより基本を習得

・破:身につけた基本に自分なりの工夫を加え、基本を破り発展

・離:型や教えから離れて、独創的な型や教えを生み出す段階

②あるべき姿と現状を数字で語る

③チームにおける役割を教える

 

◯正しい承認をする

①あるべき姿と現状とのギャップ解消に貢献した人を認める

②不燃人(なかなか燃えない人)はスルーする

③多数派工作を進める

 

◯作話させる前にフレーミング(相手の意識にフレームを作る)する

・大きな視点から小さな視点へと移行するように話す

・「そもそも」の事柄から伝える

・空気に向かって話す

 

◯説教臭くならない話法「マイフレンド・ジョン」

・「私ではなく別の人が言っているんだけど・・」と誰かの口を借りる

 

◯頻出の言い訳を蓄積する

・言い訳は反射的に出る咳みたいなもの。言い訳データベースをで先回りをする。

 

 私は本書の中では、特に、「作話スモッグ」(理由の後付け)は、組織の空気を作ってしまう原因として重要だなと思います。正当化したい気持ちが、作話という後付けの理由で勝手にストーリーを作ってしまう。反論や理論武装をしているうちに、だんだんと本質からずれていってしまう。これは突き詰めていくと「ごめんなさい」が言えない文化とも言えます。素直に謝る環境を作っていくことは、組織を束ねる立場にある人の責任とも言えます。

「空気」で人を動かす

「空気」で人を動かす

 

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