『コーチングハンドブック』(山崎啓支)(◯)
NLP(神経言語プログラミング)をベースにしたコーチングに関する解説書です。コーチングの基本から、無意識領域、直感力、目標達成、集中力、主体性などのテーマについて、フレームも使いながら説明されており、コーチング本としてはとてもわかりやすい内容です。何度も読み直したくなる一冊でした。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯質問の効果
・焦点化の原則:意識は同時に2つ以上のことを捉えるのが苦手。よって焦点化が起こる。コーチングの本質は1つしかない焦点をどこに向けるか。
・空白の原則:脳は「空白」を作るとそれを埋めようとする。コーチングの質問は、焦点化と空白を作り出す。
◯コーチングのプロセス
・目標達成の全体図
①目標の明確化:理想の状態、達成したい状態を明らかにする
②現状の確認:明確にした目標に対しての今の状態を明らかにする
③課題(足りないもの=ギャップ)の明確化:目標を達成した状態と現在の状態のギャップが明らかになる
④課題の克服:③で明確になったギャップをどのようにして埋めて行くのかを決定し、その意思を強化する
・GROWモデル
①Goal(目標)
②Reality(現実)
③Option(選択肢)
→アズ・イフ・フレーム(できたとしたら?)で思い込みを外す。
④何をいつ誰が、実行する意思(What,When,Who,Will)
◯変化とプログラム
・意識・無意識の特徴
意識=思考(頭)=言葉 意識=時間=空間=人称
無意識=身体=感覚(五感) 無意識=今=ここ=私
・意識、プログラム、無意識はそれぞれ独立している
意識:私だと認識しているもの
プログラム:無意識が安全・安心欲求によって生み出すもの。意識を乗っ取って(同一化して)意識を動かす。
無意識:人間を動かす「エネルギー源」かつ「叡智」
◯自己同一化
・プログラムの役割を一言で説明するとすれば、下界と人間の間にあるフィルターと考えることができる。
・気づいていなかったプログラムに気づくということは、無意識化されていたものを意識化することになる。
・最高の力(潜在力)を発揮する前提条件の1つは、あなた(意識)がプログラムから自由になること。プログラムとあなた(意識)を分けて考えること。
・力を発揮できないときは、分厚い鎧を着ている状態(プログラムとあなた(意識)が同一化している状態)
◯脱同一化とコーチングの実践
・コーチングは2つの幻想を解消する。「ネガティブな幻想」と「ポジティブな幻想」。クライアントは「できないと思い込んでいること」と「現実的に可能なこと」を分けて考えられるようになる。
・質問による脱同一化するコツ
①焦点を困難な状況の外へ向けさせること
②さらに広い視野が持てるようにすること
・焦点移動の基本は、「時間」「空間」「レベル」。
◯コーチングと無意識
・ペーシング上達のために必要な2つのこと
①クライアントの外面に現れる微細な情報に気づけるようになる(意識化できるようになる)こと
②同時に2つ以上のことにペーシングできるようになること
◯直観力を磨く
・コーチとクライアントは鏡の関係
コーチが鎧を着ていたら、クライアントも危険を感じて鎧を着る。コーチが鎧(プログラム)を脱いだら、クライアントは鎧を着る必要がなくなる。
・鎧を脱いだコーチが優れた直観(ひらめき)を得られる理由
①潜在力(最高の力)を自在に使える
②観念(価値観)にとらわれていない
◯コーチングによる目標達成
・現在の満足できていない自分の状態が願望の母。
・欠乏感→願望 現在(今・ここ)→未来
・願望の意図化の2つの方法
①イメージを書き換えることによる願望の意図化
②イメージをはずす(ニュートラルにする)ことによる願望の意図化
・現在形か現在進行形で目標を立てる。
→願望を持つ時に「〜したい」という言葉を「〜している」に変えてみる。
◯パフォーマンスの高い状態を作るために
・2人の自分
①「セルフ1」指示を出し評価する側の自分 →プログラムに同一化した自分
②「セルフ2」話しかけられる自分 →無意識
・最高の力を発揮しているときは、「セルフ1」がいない。「セルフ2」のみが自動運転している。
・能力が低い状態では「セルフ1」がいて、その影響で「セルフ2」が動いている。
◯集中力を生み出す
・「空白」を持つことそのものが、無意識を活性化させる
・高い集中状態では一点集中と同時に広い視野を持っている
→コーチの質問がクライアントの集中を引き出す。ありのままにみると、「セルフ1」を忘れて「セルフ2」(無意識)が活動を始める。→「セルフ2」に任せると自然と最適なパフォーマンスに変わる。
◯無意識を信頼する
・最高の力(潜在力)を発揮するために信頼を深めたい2つのこと
①スーパーコンピューターがあなたの中にいると認めること
②あなた(意識)がそれ(無意識)を選択できるということ
・ではそのために何ができるか?
①頭で理解する
1)あなたが「意識」であること
2)あなた(意識)はプログラムからも無意識からも独立している存在
3)「プログラム」「無意識」「意識」の性質
4)無意識が持つ莫大なエネルギーと「叡智」は誰にでも備わっている
5)どんな人でもそれを発揮することができる
②体験する
1)無意識の自動運転に委ねた時の高い能力の発揮
2)無意識の自修作用
◯主体的に生きる
・選択権はクライアントに任せる
①知覚:ありのままに観察する(知覚力の自修作用を活用する)
②信頼:セルフ2(無意識)への信頼を高める
③選択:クライアントが主体性を持つ
・質問・・何をどうしたいのか?
→自分で選択する→興味・関心を持つ→集中状態
・クライアントが鋭敏に気づく状態にするためのサポート
①目標を明確にする
②背景にある目的を明確にする
③ラポール構築
④質問に集中させる
+クライアントの主体性(集中力高い〜五感・鋭敏)
・人間には2人の自分が内在する
1)願望(光の自分)↔︎欠乏感(影の自分)
ある時は臆病↔︎ある時は前向き
2)愛されたい(光の自分)↔︎自己主張したい(影の自分)
自己主張しない、自分がない↔︎自己主張すると嫌われる、人を傷つけてしまう
→光りと影を行ったり来たりして、どちらも中途半端になる→変われない
・相反するプログラム(根深い葛藤)を乗り越えるために必要なこと
①相反するプログラムに気づく
②主体性を持ている位置から意思決定する
本書はコーチングをやっている方、コーチングに興味がある方には、とても整理されていてわかりやすいと思います。図表と解説のバランスと理解しやすいレベル感がその要因でしょうか。NLPはコーチングの周辺分野として一度は学びたい領域です。
NLPで最高の能力が目覚める コーチングハンドブック 知識と経験を最大化するセンスの磨き方
- 作者: 山崎啓支
- 出版社/メーカー: 日本能率協会マネジメントセンター
- 発売日: 2016/09/25
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