MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

運気を磨く(田坂広志)

『運気を磨く』(田坂広志)(◯)

 著者の本は、発売されるたびに読み続けていますが、その中では最も感覚的な世界観です。目に見えない世界である「運気」。「運気」は未だ科学的には存在が証明されていないが、多くの方が存在を信じている。ポジティブなことだけ考えようとしても、すでにポジティブな想念を上回るネガティブな想念が溢れているため、ネガティブな想念を消すことが必要。本書では、「科学的検証」を踏まえ、この「運気」というものが現実に存在することを認めた上で、「良い運気」を引き寄せる方法がまとめられています。

 

【本書の学び】

①無意識を変える方法として大切なのは、ポジティブな想念を抱く方法ではなく、ネガティブな想念を消す方法

②ネガティブな想念を浄化するには、自然の中に身を浸し、言葉を変え、感謝する

③「心身一如」。心と行動を合わせていくことに意識を向ける

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯運気とは?

①「直観」が閃くということ

②「予感」が当たるということ

③「好機」を掴むということ

④「シンクロニシティ」が起こるということ

⑤「コンステレーション」(星座=人生で起こる一見無関係な出来事や出会いに何かのいいや物語を感じ良い方向に導かれること)を感じること

 

◯良い運気を引き寄せる条件

・我々の「心の状態」がその心と共鳴するものを「引き寄せる」

→良い運気を引き寄せるためには、「ポジティブな想念」を持つことが求められる。現在、「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」という時間を超えたシンクロニシティが起こる原因を解明する実験が行われている。

→「ポジティブな想念」で満たすことは極めて難しい。我々の無意識の世界は、表面意識の世界と反対の想念が生まれる「双極的な性質」を持っているため、ポジティブな想念を抱こうとすると、逆に、心の奥深くにネガティブな想念が生まれてしまう。

①世に溢れる「ネガティブな情報」の洪水で、我々の心の中に毎日大量のネガティブな想念が染み込んでくる

②誰の中にも、過去の人生の「ネガティブな体験」があり、それが心にネガティブな想念を固着させてしまう

③心の世界は、電気の世界同様、プラスとマイナスが同時に発生する

 

◯心の中を「ポジティブな想念」で満たす3つの技法

・「無意識を変える方法」として最も大切なのは、「ポジティブな想念」を抱く方法ではなく、「ネガティブな想念」を消す方法である。

①「無意識のネガティブな想念」を浄化していく技法

②「人生でのネガティブな体験」を陽転していく技法

③「究極のポジティブな人生観」を体得していく技法

 

◯「無意識のネガティブな想念」を浄化していく技法

・3つの人生の習慣を身につける技法

①自然の偉大な浄化力に委ねる

 自然に正対し身を委ねる。静かにゆっくりと新鮮な空気を深く吸い込み吐き切る呼吸法を併用することが望ましい。瞑想は行うものではない。瞑想とは起こるもの。言葉が生まれる直前の一瞬に心の中に瞑想状態が起こっている。「自然の中に身を浸す」技法も瞑想技法に他ならない。

②言葉の密かな浄化力を活かす

 1)ネガティブな日常用語を使わない、2)ポジティブな日常用語を使う。意識的な自己暗示はあまり無意識の世界に浸透していかないが、無意識に使う日常言葉は、恐ろしいほど無意識の世界に浸透していく。

 3つの言葉を使うと良い運気を引き寄せる。1)感嘆の言葉、2)感謝の言葉、3)感動の言葉。

③和解の想念の浄化力を用いる

 心の世界で一人一人と和解する。

1)心の中の世界を静かに内観し、「心の結ぼれ」や「心のしこり」を見出し、その対象となっている人を思い浮かべる。

2)なぜその人に対し「どこか気持ちが引っかかる」「何か嫌な気分が残っている」「思い出すと不愉快になる」といった感情を抱いているのかを深く静かに見つめる。

3)相手に対して「斜めに構え」ないで向き合う。もし自分が相手の立場ならどう思うか。心の中で感謝の言葉を述べる。感謝であって、謝ることでも許すことでもない。感謝という行為は、正悪や善悪の分離が生じない行為であり、ネガティブな想念が生じない行為。

 

◯「人生でのネガティブな体験」を陽転していく技法

・人生の解釈を変える。

①人生には多くの「成功体験」があることに気づく
②自分が「運の強い人間」であることに気づく
③過去の「失敗体験」が実は「成功体験」であったことに気づく
④自分に与えられた「幸運な人生」に感謝する
⑤自分の人生に与えられた「究極の体験」に気づく

 

◯「究極のポジティブな人生観」を体得していく技法

・5つの人生の覚悟を定める

①自分の人生は大いなる何かに導かれていると信じる
②人生で起こること、すべて深い意味があると考える
③人生における問題、すべて自分に原因があると引き受ける
④大いなる何かが、自分を育てようとしていると受け止める
⑤逆境を超える叡智には、すべて与えられると思いさだめる

 

◯絶対肯定

・人生を「良きもの」と「悪しきもの」に分け、その一方を肯定し、一方を否定する「二項対立」な意味でのポジティブな想念ではなく、「人生で与えられるもの」すべてを肯定する「絶対肯定」の意味でのポジティブな想念こそが求められる。

・我々の人生においては、本来「良い運気」も「悪い運気」もない。もし我々がこの「究極のポジティブな想念」を身につける修行を続けていくならば、自然に「良い運気」と「悪い運気」という「二項対立」の言葉も消えていく。

・我々が真に求めていたものは、「良い運気」を引き寄せることではなく、「人生を拓く」こと。

 

  「良い運気」も「悪い運気」もないと言ってしまうと身も蓋もない訳ですが、どういう言葉を使うか、どういう解釈をするか。自分のデフォルト設定がどうなっているのか。デフォルト設定を自然体ポジティブモードに持っていけるように、日常の「身(行動)・口(言葉)・意(意識)」を整えていくことが良い循環を生み出す根元になるのかなと感じます。

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