MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

夢を叶える方程式(苫米地英人)

『夢を叶える方程式』(苫米地英人)(◯)

 これもいい本でした!コーチングをやっている人、関心がある人なら一度は目を通した方が良い話が多く、自己成長や枠を広げた自己実現を意識している方にも役立つ一冊です。著者は、脳機能学者・計算言語学者分析哲学者・実業家で、コーチングの祖ルー・タイスと共にコーチングメソッドを開発されるなど、脳の仕組みをベースに科学的に自己実現していくステップをわかりやすく解説されています。著者の書籍を何冊か拝読しましたが、中でも本書はよくまとまっていて、おすすめの一冊です。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

コーチングメソッドの大きな枠組み

①「だまされやすい」という脳の特徴を利用し、

②「未来の記憶」を作り、

③「コンフォートゾーン」を高め、

目標を達成する。

 

◯RASとコンフォートゾーン

・RAS(網様体賦活系)のフィルターが自分に関係ないと思う情報を遮断するので、「自分にとって必要と思っている情報」だけを受け取る。

・無意識のうちに自分が見たいもの、聞きたいもの、体験したいこと(ブリーフ・システム)だけを認識することになる。その結果、「コンフォートゾーン」から抜け出せなくなり、先入観や思考パターン、無意識の選択と行動から抜け出せなくなる。

・上記の結果、盲点とも言える、見えなくなるもの(スコトーマ)がある。

・脳が何を重要だと判断するかといえば、「昨日までの自分が重要と判断していたもの」。この延長線上で未来を描いても、過去の延長線上に過ぎない。そこで重要になるのがゴール設定。

 

◯ゴール設定

・ルー・タイスプログラムでは、ゴール設定がすべて。ゴールの世界を強くリアルに感じるとゴールの世界が現実になる。今の自分のコンフォートゾーンの外側にゴールを設定し、そのゴールに自分自身で責任を持って臨み、それをリアリティとして自分のものにしていく。そうすると、RASがオープンになり、ゴールを達成するための情報が次々と脳に飛び込んでくるようになる。

アファメーションは、ゴールを達成するために、ゴールの臨場感を上げる方法。

 

◯情動記憶

・強い感情を伴った過去の記憶は印象に残り、習慣やアティテュード(行動の性向、日常の無意識の選択)を決める。

・ほとんどの人が成功を妨げる習慣とアティテュードを持っており、この無意識の行動・選択を変える必要がある。

 

◯ブリーフ

・ブリーフとは、いわゆる体験的な記憶としての信念と自分が言葉として聞いた情報を受け入れた結果としての信念の両方を合わせた内容を意味している。

ホメオスタシス(恒常性維持機能)の働きにより、人は無意識のうちに、ブリーフ・システムに反する新しい行動をすべて排除する。つまり、ブリーフを変えないで行動をしようとしても、それは必ず元に戻ってしまう。これがコンフォート・ゾーン。

・ブリーフがその人のパフォーマンスを制約するので、コンフォートゾーンを変えない限り、この制約から逃れられない。

 

◯ワーズ、ピクチャー、エモーション

・マインドを変え、コンフォートゾーンを広げる。そのための方法がアファメーションとセルフトークのコントロール。そして、イメージを心の中で描くビジュアライゼーション。

・他人の話を聞いている時、その言葉に対して3倍の速さで自分自身に言葉を発する。話しが止んだ時は6倍の速さになる。ネガティブなことを口にすると、その言葉は必ず、「ワーズ、ピクチャー、エモーション」を伴って過去の体験を思い出させる。効果的なセルフトークをすると、新しいセルフイメージがどんどん作られ、その結果、コンフォートゾーンが変わる。

 

◯セルフトークの4ステップ

①「無理だ」「できるわけがない」

②「〜するべきだ」「〜であったらいいなぁ」

③「もうこんなことはやめよう」「こんな状態から抜け出そう」

④「次はこうする」「明日はこうありたい」

 

◯ハイパフォーマンスの実現

・「want to」であれば最良のパフォーマンスが生み出されることを望むが、逆に「have to」や強制された事柄は、予想されないスコトーマを海、その結果危険なミスと低いパフォーマンスを生み出す。

・アウェイをコンフォートゾーンにするには、アファメーション、セルフトーク、ビジュアライゼーションによって、コンフォートゾーンを広げること。

・ゴールが現在よりもリアルであれば、ゴールに引っ張られる。

・リアルゴールの作り方

①抽象度の高いゴールの場合は、自分がすでにそのゴールを達成する能力を持つ人間であるというリアリティーを作ることが必要。

②ゴール達成の中間点における自分のあるべき姿をイメージし、すでにそこまで達成しているというリアリティを作ることが必要。

③抽象度が低いゴールは、テンション(ゴールに引っ張る力)が弱いという問題生じる。「もう来年には達成できる」と思ったときは、それがすでにゴールではなく、現状の肯定であることに気づかなくてはならない。新しい発想があっても、従来の状況に対してより強いイメージを描いているなら、エネルギーと創造性のすべてが元の状態に戻るために使われてしまう。目標数値は現状に合わせないこと。もし現状の内側にゴール設定してしまったら、ためらわずにゴールを見直すこと。

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