生産マネジメント入門Ⅰ(藤本隆宏)
『生産マネジメント入門Ⅰ』(藤本隆宏)(〇)(2回目)
オペレーション戦略の理解を深めるため、約10年ぶりに読み直してみました。
オペレーションを理解するなら一度は触れておきたい良書です。
内容は、まさに、これぞオペレーションという感じ。工場内でのオペレーション、生産現場の改善の着眼点や改善の進め方について、分かりやすい解説と数多くの図示(これがイメージしやすい!)が特徴です。
開始早々、15ページからプロセス分析が始まりますが、本書は、生産マネジメントというタイトルだけに、オペレーションだけにとどまらず、原価管理や品質管理にも触れられており、工場内で行われていることを広い観点でとらえるのに役立ちます。
(本書で印象に残った内容)
〇プロセス分析
・サイクルタイム、アイドルタイム、ボトルネックの把握。
・工程設計、レイアウト
〇生産改善の着眼点「ECRS」と検討順序
①eliminate(省略できないか)
②combine(別の作業と統合できないか)
③rearrange(作業の順序・場所・従業員を変更できないか)
④simplify(作業の簡素化の余地はないか)
〇IE
①工程分析:モノの流れ(フローチャート分析)、レイアウト分析
②連合作業分析:人と機械、人と人の組み合わせ作業の分析
③動作研究:手の動かし方など、細部至るの動作の分析
④時間研究:作業時間の測定 →標準作業時間の設定
⑤稼働分析:作業時間をおおまかに把握(下記参照)
〇稼働分析‥標準作業時間の分類
①主作業、②付随作業(機械へ仕掛品を脱着、運搬など)、③準備・後始末作業(段取り替え)④人的余裕(疲労回復、休憩など)、⑤作業余裕(点検・注油など)、⑥職場余裕
→トヨタ生産方式では、①正味作業、②付加価値を生まない作業、③ムダに分類。
→総時間に占める正味作業時間の比率をいかに増やせるかが、改善のポイント
〇工数計画と能力・負荷分析
【個数表示の生産能力】
・能力=①操業時間 × ②正味作業時間/操業時間(着眼点:段取り替え・ダウンタイム) × ③粗生産量/正味作業時間(着眼点:生産速度) × ④良品生産量/粗生産量(着眼点:良品歩留り)
・負荷:1日当たり良品所要量
・余力:1-(負荷/能力)
【時間表示の生産能力】
・能力=機械台数 × 1日当たり操業時間 × (1-ダウンタイム率)
・能力=人員数 × 1日あたり実働時間 × 熟練換算係数 × 出勤率 × 直接時間比率
やはり製造業に学ぶことは多いと思います。
業種は違っても製造業のオペレーションや分析の観点は、応用できる部分が多々あります。実際に工程分析や作業分析などは、小売業やサービス業でも研究する価値が高いと思います。
ちなみに、この書籍の続編の『生産マネジメント入門Ⅱ』の内容は、労務管理、購買管理、開発管理などで、オペレーションの要素は少ないので、こちらは製造業の方向けだと思います。
生産マネジメント入門〈1〉生産システム編 (マネジメント・テキスト)
- 作者: 藤本隆宏
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2001/06/01
- メディア: 単行本
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