アドラー心理学教科書(監修:野田俊作)
『アドラー心理学教科書』(監修:野田俊作)(〇)
本書は、監修者やアドラー本を執筆されている岩井俊憲さんが代表を務められる、ヒューマン・ギルド(アドラー心理学の講習等をされています)の教科書で、同社のホームページで購入する必要があります。第1版が昭和61年と古く、すでに第4版。タイトルどおり、まさに教科書。良くまとまっており、入門書の次に読むと、理解が深まると思います。
(印象に残ったポイント‥本書より)
〇アドラー心理学の基本的な立場
①人間主義
人間を知るとは、人間一般に成り立つ抽象的な法則を発見することではなく、一人ひとりの個性を動かしている個別的な法則を知ること。
②機能主義
個人の人生を貫くその人独特の運動法則であるライフスタイルを見て取ること。
③目的論
人間は、原因によって後ろから押されて生きているのではなく、みずから目標を設定して、それを主体的に追及して生きる。
④実存主義
どんな場合でも人間には自分の生き方を選択し、決断する自由意思の余地がある。人間はいつでも自分を変えることができる。性格は変えられる。
⑤責任性
個人の人生の席には、すべてその個人にある。
⑥全体論
人間の内部には分裂や葛藤はない。意識も無意識も、すべてが一丸となって目標を追求する。人間は分割できない相補的な全体。
⑦対人関係論
人間の全行動は人間関係行動。
⑧使用の心理学
重要なことは常に、人が何を持っているかではなく、持っているものをどのように使っているか。
⑨場の理論
人間共同体の中に自分の居場所を見つけ出すこと。共同体感覚が健全な精神の指標。
⑩現象学
心理学では、客観的に何が起こっているかではなく、怒っていることを個人が主観的にどう体験し意味づけしているかが重要。
⑪価値の心理学
正しい価値観とは共同体感覚。人間の不完全さを受け入れること。絶対的な真理はない。
⑫実践主義
人間について知ることが目的ではない。一人でも多くの人を幸福にするのが目的。
〇ライフスタイル
・定義:すべての人は、自分自身について、及び人生の諸問題についての意見、あるいは、自分では理解もしていないし説明もうまくできないが、自分がいつもしっかりと守っている運動の法則を持って生きている。これがライフスタイル。
・機能
①目標設定機能
我々は自分の自己理想を参照して、状況に応じて具体的な人生目標を選択する。
②法則設定機能
人間は自分についてであれ世界についてであれ、何が一般法則であり、何が例外であるか判断しようとする。
③問題解決機能
動物が本能的な、あるいは条件反射的な方法で問題解決をするのに対し、人間は「認知地図」すなわち、ライフスタイルによって問題解決をする。
ライフスタイルが物の見かた(解釈、意味づけ)を決めること
⑤ライフスタイルの安定性
ライフスタイルと矛盾する体験をしても、ライフスタイルを変えることをしないで、体験の意味のほうを変えることによって、ライフスタイルを変えないでおくようにする傾向がある。
アドラー心理学の教科書というだけあって、とても整理されていてアドラー心理学の全体像の理解が深まりました。『嫌われる勇気』(2回目)を本書の後に読みましたが、1回目に比べ、理解が格段に進んでいることが実感できました。
ようやく、アドラーの考え方に慣れてきました。さらに深堀して、理解を進めて聞きたいと思います。