経営者になるためのノート(柳井正)
『経営者になるためのノート』(柳井正)(〇)
本書は、ファーストリテイリングの店長以上の教育で使用されている柳井社長の秘伝の書が公開されたものです(一人ひとりにシリアルナンバーが付されて社外秘にされていた)。経営者や経営リーダーを目指す方が経営者の視座で物事を考えるきっかけになる魅力満載の心得書です。
「ノート」とあるように見開きのページの中央に本文、周囲に罫線があり、どんどん書き込んで自分のノートにすることが意図されています。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇経営者とは
・ひと言で言えば「成果をあげる人」
・約束する成果をあげるにあたって一番大切なことは、社会における自分たちの存在意義、つまり使命を考えること
・会社の使命と成果が結びついていることが経営の原則
・経営に必要な4つの力
①変革する力‥イノベーター
②儲ける力‥商売人
③チームを作る力‥リーダー
④理想を追求する力‥使命感に生きるもの
・経営は実行。いろんな体験をしてどうやったら商売になるのか、どうやったら人は動くのかといったことを考えて、そこで本当に苦労して、自分を磨いて身に付けないと本物の経営者にはなれない。
〇変革する力
・イノベーションが組織にもたらされるために必要な高い目標とは、「常識で考えたらまともとは思えない」くらいの高さの目標。思い切ったジャンプが必要だというタイミングでは、現状の約3~5倍程度の売上高目標を長期目標として掲げてきた。
・会社の成長、会社の進化を妨げる最大の敵。それは「常識」。
・業界は過去、顧客は未来、ライバルではなく顧客に集中すること。
・経営者は危機感に基づいて経営をやるべきで、不安に基づいて経営をやってはいけない。
・リスクがないところに利益はない、リスクがあるところに利益がある。
・要求、質問をしないと現場の仕事は「作業」になる。
・核心をついた質問をして、視野を広げる。簡単に譲ってはいけない。出してくる答えが顧客の創造の視点から見て足りないのであったら、厳しく要求する。それが経営者の務め。
・ものわかりのいい上司からイノベーションは生まれない。
・経営者にとって最もまずいのは、「自分はできている」という心を持つこと
・自分たちはいつも断崖の上を歩いている。ちょっとでも油断があったら真っ逆さまに落ちてしまうという危機感を持って臨むのが正常な経営。
・お客様の一番厳しい目で自分たちを見る。
〇儲ける力
・商売の原点。それは、「お客様のために」。
・お客様が欲しいと思っているものを、お客様が想像もしない形で提供する。
・経営というのは、当たり前のことを本当に当たり前に毎日実行する。そしてチェックをし、次の方法を考える、計画を変える、このことの繰り返し。本当の意味で儲けるために必要なことは、地道で泥臭いこと。
・市場の変化にスピーディーに対応できていない会社は、大体が「報告文化」になっている会社
・会議の資料が多くて、これを作るのに何時間かかったんだろうという資料が山ほど出てくる状況に遭遇したら、実力が落ちていると判断して注意を促す。
・アイデアも問題解決も、即断即決即実行。
・これだという大切なものに経営資源を集中する。分散するのは自信がないから。
・準備力を高めていくことは、商売人として無駄なく儲けるために不可欠。
〇チームを作る力
・言行一致で首尾一貫した人間であるか
・メンバーはあなたの言葉を信じるのではなく、言葉を言った後のあなたの背中に信頼性を見出すもの。
・リーダーは一人の上司として部下に関わるときは、部下に対してその個人が納得するまで100%全力で関与する
・チームプレーの基本は、メンバー一人ひとりが自分の責任を果たすこと
・自覚形成にとって一番大切なことは、「この仕事は誰の責任か」を明確にすること。つまり、「一つの責任は一人」だとすること。仕事を本人に考えさせることが責任感の根源となる。
〇理想を追求する力
・会社にとって一番大切なのは使命感。何のためにその会社を作ったのか、なんのためにこの会社は存在するのかといった、企業の存在理由であり、それを永遠に追求し続けようとする姿勢。
・人事は経営者が自分自身を一番厳しく律しなければいけないマネジメント領域。
長年経営の最前線に立ち、日本を代表する世界企業に成長させられた柳井社長の経営の要諦となる珠玉の言葉。実践の厳しさ、役割の貫徹、社員への思いやり。読むだけで視座がぐっと高まる良書でした。自分も全然まだまだこれから。学び⇒実践⇒学びを繰り返し、自分を高めていこうと思います。
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