未来のことは未来の私に任せよう(黒木奈々)
『未来のことは未来の私に任せよう』(黒木奈々)
著者はフリーアナウンサーで、昨年32歳の若さで胃がんで亡くなられました。本書は、亡くなられる約半年前、現場復帰された直後に執筆・発行されました。子供の頃からの憧れのアナウンサーにようやく慣れた直後の癌の告知。心境やその後の闘病生活が詳細に綴られています。読んでいて、とても切なくなるのですが、あらためて当たり前の日常に感謝したくなる一冊です。
(印象に残ったことば‥本書より)
〇「命はいただきもの。いかされている。まだまだやるべきことがある。一つにしがみつかないことが自分の領域を広げることになる」
〇「最悪の事態を想定して、心して戦う。未来のことは未来の私に任せる。一つにしがみつかない。どんなにつらくても感謝の気持ちだけは常に心に」
〇「悲観は感情の問題だけれど、楽観は意志の問題なのだから」
〇「以前の私もそうだった。何かあると冗談で「あー死にそう」などと言っていた。今は絶対そんなこと言えないし、自分の周りの人にも言ってほしくない。今まで当たり前のように使っていた言葉もずしりと重く、一言一言が胸に響く。もしもいつか子供が出来たら、そんなことを絶対に言ってはいけないと教えようと思った」
〇「もしも私と同じように、働く女性ががんと突然告知されたら、「未来のことは未来のアナタに任せてください。今を一生懸命生きてください」と言いたい。そして、ひとりじゃないということ。一緒に闘ってくれる人は必ずいるということを信じて欲しい」
少し前に『112日間のママ』(清水健)という本を読みました。こちらは、人気アナウンサーさんの奥さんががんになってしまい、若くして亡くなられたお話しで、働きながら闘病生活を支える毎日や奥さんの気丈な様子が綴られています。この時も感じた、「日常の当たり前への感謝の気持ち」。四六時中、感じ続けることは難しいかもしれないけれど、ときどき思い返して、感謝の気持ちを忘れないでいたい。
未来のことは未来の私にまかせよう 31歳で胃がんになったニュースキャスター
- 作者: 黒木奈々
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/03/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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