『LIFE SHIFT』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット)(〇)<2回目>
昨年のベストセラーとなった本書。月末に主催する勉強会に向けて再読しました。やはり、良書でした。1ページ目の序文「2007年に日本で生まれた子供の半分は、107年以上生きることが予想される。今この文章を読んでいる50歳未満の日本人は100年以上生きる時代、すなわち100年ライフを過ごすつもりでいたほおうがいい」から衝撃。65歳定年から数えても30年以上、お金も仕事も健康も人間関係も教育も・・・未来について考えることが山ほどあり、現在や過去(実績)をベースに作られている法律や会社・社会のルール・常識の枠から飛び出る発想が求められます。とにかく濃密であり、すべての人にかかわることでもあるので、多くの人にお勧めしたい一冊です。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇2007年生まれの寿命
・独103歳、英国103歳、米・カナダ・伊・仏104歳、日本107歳
・若い人ほど長く生きる可能性が高い。10年ごとに平均2~3年のペースで平均寿命が上昇している。
・今20歳の人は100歳以上、40歳の人は95歳以上、60歳の人は90歳以上生きる確率が半分以上ある。
〇何歳まで働くの?
100歳まで働くとして、勤労時代に毎年所得の約10%を貯蓄し、引退後は最終所得の50%相当の資金で毎年暮らしたいと考える場合、70代、ことによると80代まで働かなければならない。それが厳然たる事実。
〇新しい職種とスキル
職種の入れ替わりは今後も続く。ほぼすべての職がロボットと人工知能によって代替されるか補完されるから。労働市場が急速に変化する中で、70代、80代まで働くようになれば、手持ちの知識に磨きをかけるだけでは最後まで生産性を保てない。時間を取って、学びなおしとスキルの再習得に投資する必要がある。
〇年齢(エイジ)とステージ
「教育→仕事→引退」という3ステージ人生の論理ではもはや決まらない。エイジとステージがあまり一致しなくなる。今日の社会は、エイジとステージが一致することを暗黙の前提にしている部分が多い。企業の人事制度、マーケティング、法律にも、この前提がしばしば深く根を張っている。そうした制度も変えなくてはならない。
〇オンディーヌの呪いとマルチステージ
フランスの寓話。いびきをかいて眠りこけている夫が不貞を働いたことに気付いた妖精オンディーヌは、夫に呪いをかけた。起きている間は生きていられるが、眠ればその瞬間に死ぬという呪いだ。これ以降、目が閉じることを恐れて、夫は一瞬の休みもなしに動き続ける羽目になったという・・。
「教育→仕事→引退」の3ステージの人生の縛りから自由になるには、仕事を長期間中断したり、転身を重ねたりしながら、生涯を通じてさまざまなキャリアを経験する、そんなマルチステージを実践すればいい。「オンディーヌの呪い」を避け、長寿を恩恵にする方法はこれしかないと本書では考える。
人生の選択にあたって「オプション」には価値がある。人生が長くなれば、変化を経験する機会が増えるので、選択肢を持っておくことが一層重要になる。
〇スキル・知識
機械学習と人工知能の進歩の中で価値を失わないスキル・知識をどのように身に着ければいいのか。テクノロジーが進歩した時代に、教育と学習と研修がキャリアを後押しする3つの方法。
①新しいアイデアと創造性をはぐくむのを助けること
②人間ならではのスキルと共感能力を発揮できるようにすること
③思考の柔軟性と敏捷性など、あらゆる分野で通用する重要な汎用スキルをはぐくむこと
〇自己効力感と自己主体感
私たちは誰もが現状維持を好む。既知のものを選ぶ傾向が極めて強い。人はたいてい経験したことのない生き方を想像することが難しい。そこで、未来に向けて適切な行動をとろうと思うためには、「ありうる自己像」について考えることが有効な手立てになりうる。
それは、「自己効力感」(自分ならできるという認識)、及び「自己主体感」(自ら取り組むという認識)と結びついているときに特に効果が大きい。
本書では、3人(1945年生まれ、1971年生まれ、1998年生まれ)の登場人物をモデルに未来の生き方について、描かれていますので、具体的イメージは本書にて。
今回は、2月までスクールに通っていたコーチングとの相性の良さを感じました。コーチングでは、最終的にクライアントさんの未来のプラス面を描きたいのですが、その際、背景知識として知っておいたほうが良いことが満載でした。何歳まで生きることをイメージしているのか、なんとなく念頭に置いている親世代のライフプランが参考にならない時代。前例がない時代を自分で考え行動することが求められていることを感じます。