『無意識の力を伸ばす8つの講義』(前野隆司)(◯)
日本の幸せ研究の第一人者である慶應大学の前野先生の著書です。「どんな人が幸せなのか」については、『幸せのメカニズム』(前野隆司)にかかれていますが、本書は「どうすれば幸せになれるのか」という続編のワーク本です。いずれのワークも、心を開いて向き合えば、気づきに満ち、幸福度向上に効果的であることが、学術的に検証済みの手法ばかり。巻末の「無意識の力をさらに伸ばす50の方法」もかなり、興味深い内容でした。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯幸せの4因子
①「やってみよう!」因子(自己実現と成長の因子)
②「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子)
③「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子)
④「ありのままに!」因子(独立と自分らしさの因子)
◯利他の精神と幸せ
・人は、若い頃は利己的な幸せを目指すが、それだけでは十分に幸せになれない。一方、年齢を重ねて利他的な幸せを目指すと、より幸せになれる。究極の幸せとは、100%の利他である。
①「やってみよう!」因子(自己実現と成長の因子)
・不幸せ:夢や目標がない。何かにチャレンジしていない。
・利己的幸せ:夢や目標はあるが、全て利己的で自分のため
・普通の幸せ:利己的な夢・目標と利他的な夢・目標がある。
・利他的幸せ:我欲がなく、みんなのために何かをすることが夢や目標
②「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子)
・不幸せ:信頼できる友達がいない。他人に優しくできない。感謝できない。
・利己的幸せ:自分の利益につながる人には感謝するが利他心はゼロ。
・普通の幸せ:利他は実は自分のため+純粋に他人のため
・利他的幸せ:すべての人とものごとに感謝し、すべての人を許し敬い信じ愛する。
③「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子)
・不幸せ:自信がない、悲観的、自己受容できていない
・利己的幸せ:自分ことには前向きで楽観的
・普通の幸せ:楽観と達観の中間
・利他的幸せ:すべての人と出来事を受け入れ、何があっても動じない
④「ありのままに!」因子(独立と自分らしさの因子)
・不幸せ:人の目が気になる、自分らしく生きていない
・利己的幸せ:マイペースで人の迷惑は顧みない
・普通の幸せ:利己的な自分らしさと利他的な自分らしさが共存
・利他的幸せ:全くぶれずに信じる正しい道を歩む
◯自己受容と幸せは深く関係する
・自己受容と幸せの間には強い相関関係がある。
・肯定と否定=3対1くらいがちょうどいい(バーバラ・フレドリクソン)
◯無意識のポテンシャルを伸ばすハッピーエクササイズ
①「やってみよう!」因子(自己実現と成長の因子)
・あなたの夢や目標を、身近なものから壮大なものまで3つ書き出してみる。
・利己的な人よりも利他的な人の方が明らかに幸せ度が高い傾向にある。
・自分の欲求を満たしたり、自分を高めるのもいいが、夢や目標が何か社会のためになることだと、さらに幸せになれる。
②「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子)
・家族、友人、職場や学校の人、世界中の人から、町、日本、世界、宇宙まで、感謝することを3つ書き出してみる。「◯◯さんの〇〇に感謝しています。ありがとう」
・感謝は幸せのための万能薬
③「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子)
・あなたが前向き・楽観的にやっていること、やろうと思っていることを3つ書き出してみる。
・ネガティブ表現はなるべく使わない。
④「ありのままに!」因子(独立と自分らしさの因子)
あなたが、あなたらしく、ありのままにできていないことを、「これからは自分らしく◯◯する」のように反転して、書き出してみる。
・成功する人は決める人。
・〇〇するかどうか迷うのが普通の人、〇〇すると決めるのが成功する人。
・〇〇できないと我慢するのが普通の人、もう我慢しないと決めるのが、成功する人。
・〇〇は無理だと諦めるのが普通の人。諦めずに〇〇すると決めるのが、成功する人。
◯慈悲の瞑想(慈悲喜捨の瞑想)
まずは、自分から初めて、みんなの幸せを願う。
①慈:相手の幸福、健康、安楽を願う心
②悲:相手の苦しみや痛みが和らぐようにねぐ心
③喜:相手の苦しみや痛みが和らぐように願う心
④捨:相手の人生の浮き沈みを適切な距離から見守る心
⇨マインドフルネスは、幸せの4つの因子のうち、「ありがとう!」因子に深く関係している。
◯巻末付録:無意識の力をさらに伸ばす50の方法
①今日あったいいと思うことを3つ、1日の終わりに書き出してみることを習慣にする(セリグマン)
②自分にできること(I can)を羅列してみて、自分にできることはたくさんあることを再認識する(ボニウェル)
③自分の友達・知人の名前(I have)を羅列してみて、たくさんいることを思い出す(ボニウェル)
④自分の好きなこと(I like)をたくさんあげてみて、自分には好きなことがたくさんあることを再認識する(ボニウェル)
⑤自分とはどんな人か(I am)を羅列してみて、自分についての理解を深める(ボニウェル)
⑥他の人に対して無償で善いことをする(ボニウェル)
⑦テレビなどのメディアから遠ざかり、自分にとってネガティブな情報を遮断する
⑧人の噂をするときには、短所や失敗ではなく、長所や成功に注目する(フレドリクソン)
⑨自分の恵まれている点を数える(フレドリクソン)
⑩自然の植物や動物に触れる(フレドリクソン)
(以下略)
本書は8つのワークが紹介されていますが、そこは、書くと長くなるので、本書を手にとってみてください。自己分析というか、自分に向き合い自分を知る、ということが幸せへの第一歩。その自分を知るために様々な切り口から考えてみて、それを見える化する。なんとなく避けがちである「自分」という存在ですが、これまで最も長く付き合い、これからも一生のおつきあいなわけなので、一度しっかり見つめておくこと(メタ的、俯瞰的に)。きっと、今後の人生に役立つ思います。