身近な存在である神社。一方、普段あまり意識することがない神道。本書は、神道と神社に関する基本的事項をまとめた一冊で、初心者向きです。一般常識としてざっと目を通しておくといいなと思いました。何も知らずに参拝するのと、少し予備知識を持って参拝するのとでは、同じ時間を神社で過ごすにしても、感じるものにかなりの差ができるんじゃないかなと思います。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯無数に存在する神々
・他宗教と違うのが神の在り方。「八百万の神」と呼ばれるように、古代の日本人は森羅万象に無数の神が宿っていると信じていた。神々は、『古事記』に登場するだけで300柱(はしら)以上。
・神々は、人智を超えた力はあっても、絶対的な存在ではなく、人々に近い価値観を持つことが多い。
◯神社の役割
・神社と聞くと、お参りをする社殿がまず思い浮かぶが、「社」という字はもともと「社殿」ではなく「神を共有して祀るグループ」という意味があり、現在でいう「氏子」に近い文字だった。
・神社には、他の宗教とは異なった点がある。それは、神社が「神の怒りを鎮める場」ということ。
◯神社にもランク付けがある?
・「社格」と呼ばれるランキング。法的に社格が定められるのは、飛鳥時代以降のこと。905年に朝廷が編纂を命じた法典『延喜式』の神名帳に、神社のランクとリストが残っている。
・このリストに載っている2,861の神社が、いわば朝廷公認の神社であり、これらを「式内社」と読んだ(2015年時点で神社の数は、81,162社)。
・社格の高い順に並べると、官幣大社、国幣大社、官幣小社、国幣小社、となる。
・神名帳に記載されていない神社は、「式外社」と呼ばれ、式内社よりも社格が低いとみなされていた。有力者の庇護下にあった神社は式内社が多いが、圧倒的に多くは、この式外社である。
◯神社を参拝する基本マナー
・神道において参拝とは、祈りを捧げるだけでなく、社殿などに降臨した神々へ直接会いに行くことでもあるから。
①鳥居をくぐる前に一礼する。
②手水舎で身を清めるために両手と口をすすぐ。
1)右手にひしゃくを持ってすくった水で左手を清める。
2)左手に持ち替え右手を清める。
3)再び右手にひしゃくを持ち、左の手のひらに水を貯めて口元をすすぐ。
4)左の手のひらをすすいでからひしゃくを建て、残りの水で触れた部分を清める。
5)柄杓を元の場所に戻す。
③社殿の前に着いたら
1)賽銭箱の前で一礼し、鈴を鳴らす。
2)お賽銭を投じる
3)お辞儀を2回してから、2回手を叩く(両手の指を柏葉のように大きく開いて、しっかりと音を鳴らすのがポイント)
4)神への感謝と祈りを伝える。
5)一礼してから退出する(神前にお尻を向けないように後ずさりするように退くとなお良い)
◯注連縄で結界を作っていた?
・注連縄(しめなわ)とは、聖域を穢れから守る結界のようなもの。
・相撲とも関連が深く、相撲がブームとなった江戸時代のこと。相撲行司の吉田司家が、大関の一部に強豪の証として小さなしめ縄をつけさせた。すると、それを身につけた力士には神霊が降りるとされ、人々からの尊敬を集めた。この小さな注連縄の名称が「横綱」である。現在相撲における横綱の由来はここにあり、今でも注連縄は最高位の証として腰に巻かれている。
◯祝詞とお経はどう違う?
・お経が仏の教えを説いた経典であるのに対し、祝詞は神々への感謝や願いを伝える、いわば神との対話の手段。
・祝詞の「のり」は「祈り」の「のり」に通じ、さらに「乗る」、つまり神霊が人に憑依(ひょうい:霊がつく)した状態を示すとされている。そのため、祝詞によって発せられる言葉には、神々に働きかける霊力、すなわち言霊が宿ると言われている。
最近思うのは、神社に行くと空気感が変わること。その空気感が何によって作られいるのか?ということが気になりだし、この辺りが結界系を知りたいという欲求につながっています。一方、何気なく御賽銭を投じて参拝してきましたが、「これってどんな意味があるの?」というお作法とその効果的なところも気になっています。まだどんどん深掘りしようという状態ではないのですが、在り方系を追求していこうと思うと避けては通れない道かと思うので、意識して情報を取ってみようと思っています。