MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

アマゾンのすごいルール(佐藤将之)

『アマゾンのすごいルール』(佐藤将之)

 本書は、アマゾン・ジャパン立ち上げメンバーによる、アマゾン独自の基本ルールをまとめた一冊です。基本理念、リーダーシップ、人材採用、人事評価、目標達成や生産性向上、アイデアを生み出す方程式、コミュニケーションの基本的な考え方など、気になる項目がズラリ。GAFAの一角を占めるAmazonロングテール戦略の書店から、小売のプラットフォームへ。もはや、なくてはならない存在となったアマゾンの中身を垣間見ることができる一冊です。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

AmazonAmazonたらしめているルール

・「Customers Rule!」(お客様が決めるんだ!)

・ビジョンに到達するために、「Thinking Backward.(逆算して考える)」

 

◯善意では決して働かない、働くのは「仕組み」

ジェフ・ベゾスがよく口にした言葉。「仕組み」の土台の上で、従業員の「善意」が発揮される。

 

◯品揃え:ロングテール戦略

・創業〜2005年までの在庫戦略:「80/20のルール」 

 80%の売上を構成する上位20%の商品に在庫を集中。

・2006年〜:「ロングテール戦略」

 下位80%の品目に大きな機会の創出。一度Amazonに入荷した本は例え売れなくても1冊以上在庫し続ける。

 

◯グローバル・ミッションの中で取り上げられている2つの言葉

①「Customer Experience」

・地球上で最もお客様を大切にする企業であること。

・「お客様はそれによって喜んでくれるの?」

・「それはお客様にとって本当に価値があるの?」

②「Selection」

・地球上で最も豊富な品揃え

・なぜこんなにセレクションにこだわるのか?ジェフ・ベゾスの回答は、

→Because anyone living in this world likes more selection rathan than less selection!(だって、世界中のどの国の人も、選択肢が少ないよ売り多い方が好きでしょう!)

 

 ◯Amazonのビジネスモデルを表す「Virtuous Cycle」

①「品揃え→顧客満足度→来店者数→売り手の数→品揃え」というサイクルを回し、成長する。

②成長することにより、「成長→低コスト→低価格→顧客満足度」というもうひとつのサイクルが生まれる。

 

◯リーダーシップ:OLP14カ条

・OLP(Our Leadership Principles)

・マネジャーは、組織を管理する人。リーダーは、現状を大きく飛び越えて、その組織を引っ張り上げる人であり、役割以上の生き方やあり方が必要。

①Customer Obsession(顧客へのこだわり)

②Ownership(オーナーシップ)

③Invest and Simplify(創造と単純化

④ Are Right,A Lot(多くの場合正しい)

⑤Learn and Be Curious(学び、そして興味を持つ)

⑥Hire and Develop the Best(ベストな人材を確保し育てる)

⑦Insist on the Highest Standards(常に高い目標を掲げる)

⑧Think Big(広い視野で考える)

⑨ Bias for Action(とにかく行動する)

⑩Frugality(質素倹約)

⑪Earn Trust(人々から信頼を得る)

⑫Dive Deep(より深く考える)

⑬Have Backborn:Disagree and Commit(意見を持ち、議論を交わし、納得したら力を注ぐ)

⑭Deliver Results(結果を出す)

 

Amazon流の採用ステップ

①送られてきた履歴書を人事部が精査

②精査された履歴書が各部署に送られる。その送られてきた履歴書全てに、Hiring Manager(入社後上司となるマネジャー)が目を通す。

③ 一次面接では、Hiring Managerが会う。

④二次面接では、「40〜45分ほど×最大5人」の面接官が面接する。

→候補者のどこを見ているか?一言で言えば「OLP(リーダーシップ理念)を備えた人物かどうか」

→二次面接に必ず一人加わる「バーレイザー(バーを上げる者)」がYesと言わない限り、他の面接官がYesと言っても採用されない。バーレイザーは、「この人がAmazonに加わることで、Amazonはさらに成長できるか」という点を見ている。

 

Amazonの評価

①業績:KPI(メトリックス)を達成しているかどうか

②OLPを体現できていたかどうか

1)上司、本人、同僚、部下からのフィードバック

2)キャリブレーション(整合性をチェックする評価会議)

 

◯メトリックス(数字)

・細部まで徹底管理し、PDCAサイクルを回す。

・全Amazonとしての目標といった大きな数字から始まり、数字はどんどん分解されていく。最終的には「今週、この倉庫の、このラインで目指す目標数値」といったところまで分解され、徹底管理されている。Amazonでは世界のどの現場の人間も、今週の目標を「数字で」理解しており、先週の目標達成率も「数字で」把握している。

 

◯パワーポイントの使用NG、1ページor6ページでまとめる

・「説明資料は個所書きにせず、必ず文章形式で書く」。後からその資料を読み返しても内容がわかるものでなければならないという考え方。

・報告書などのドキュメントは、基本「A4 1ページ」でまとめる。

・年次予算や大掛かりなプロジェクトに関しては、基本6ページでまとめる。

 

◯最適な組織を編成するための「ピザ2枚ルール」

・最適な人数でチームを編成すること

・問題に直面している人で編成すること

・ピザ2枚頼めば全員のお腹を満たせる程度の人数(5〜6人程度、多くても10人未満)でチームを編成する。

 

Amazonの在庫管理(あるはずの在庫がない・・とならないように)

①在庫数にゲタは履かせず、すべての商品の在庫数を正確に把握する

②在庫管理の精度を上げる

③在庫状況が変わった瞬間、コンマ何秒で表示を切り替える

 

 私も大変お世話になっているAmazonがなぜあんなにすごいのか、その社内を少し垣間見るだけで、商品を買い、受け取る身としては、「なるほどー」がたくさん発見できました。 

アマゾンのすごいルール

アマゾンのすごいルール

 

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