『もう、不満は言わない[人間関係編]』(ウィル・ボウエン)
21日間連続で不平不満・悪口・ゴシップを言わないワークでベストセラーとなった『もう、不満は言わない』(ウィル・ボウエン)の続編です。人間関係のトラブルは相手に不平を言ったりその相手について別の人に愚痴をこぼしたりすることによって生じたり、悪化したりするもの。本書は、人間関係に的を絞った内容で、ワークの内容も章ごとに設けられています。まずは、『もう、不満は言わない』(ウィル・ボウエン)を読んで、気に入ったら本書という順番がいいと思います。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯人間関係は何を語るかで決まる
・「不満を言わない人間関係」を作るためには、人との関係は、相手のことを自分にどう語るかによって生じるものだということを理解することが大事。「語り」は常に無意識のうちに行われる。ただその事実に気づくことによって初めて、相手に関する複雑で厄介な思いを解きほぐすことができる。
・自分の人間関係を本気で変えたいと思っているのなら、まず自分自身がすべての人間関係の主要なファクターであることを受け入れなければならない。どの人間関係も自分が頭の中で作るストーリーの反映だから。
◯人間関係を良くする方法
①誰かとの間に不和を感じたら、自分に問いかける。「どうしたら二人が仲良く気持ちよく一緒にいられるだろう」。その質問を常に頭の中で繰り返す。
②「現実」に関して意見が合わないときは、相手に「あなたの見方を尊重します」とだけ言い、その話題はおしまいにする。
③現在と過去の人生で出会った人たちのことを考える。いまだに怒りやわだかまりを感じる人がいる場合には、「許しのエクササイズ」(本書参照)をやる。
④「語り」「確認」「評価」の3つのステップを誰かと交替で練習する。
◯不平を言わずに自分のニーズを満たす
・「不平を言う⇄不満を感じる」の循環
・うまくいかない関係は、どちらかあるいは両方がその関係に不満を感じて、その不満を埋めようと不平を言うことから始まる。不平を言ったこと自体が相手の不満のタネとなり、不満がエスカレートしていく。
・私たちは、自分のニーズを満たそうとするとき、相手に「自分は何を欲しているか」を伝える代わりに「今自分はこんな目にあっている」と不平不満を言ってしまいがち。良いことをする回数を増やすよりも、相手を批判する回数を減らした方が、関係は良くなる。
・人が不平不満を言う理由は、赤ん坊が泣くのと同じ理由。何か満たされない思いがあり、しかも自分のニーズをうまく表現する言語スキルに欠けているとき、ネガティブなエネルギーを含む発話しかできない。
・「おそらくご存知ないとは思いますが・・・」と言う言葉は、自分のニーズを伝えるときの魔法の言葉。
◯なぜ人は不平不満を言うのか?
・不平不満の多くは、対象物や相手に対する真の姿勢を反映したものではない。むしろ人間関係において、相手からの特定の反応を引き出そうとするものだ。
・「人間関係における特定の反応」を引き出そうとする5つの動機
①関心を引く
②責任を逃れる
③自慢する(本当に言いたいことは、自分がその人より優れているということ)
④力を獲得する
⑤失敗の言い訳にする
◯不平不満はストレスの発散になるのか?
・不平不満によって怒りを吐き出しても、怒りは減らない。逆に益々増えるばかり。
・愚痴で発散させようとするとき、私たちは自分が被害者であることを、誰かに認めて欲しい。だから、一番同情してくれそうな人のところに、愚痴を持っていく。相手は、確かに私たちがひどい目にあっていると言ってくれるから、不満は一層膨らむ。「不満」⇨「愚痴」⇨「不満」のループが出来上がる。
・感情的にならずに言葉に出す「プロセシング」
①不満を言わない
⇨不平不満ではなく、うまく問題が解決された時にどのような形になるのが理想かを語る。
②他者ではなく、自分自身について考える
⇨この関係をなんとかもう少し良くするために、何かできないだろうかと自問する。
③中立の相手に、偏りない話をする
◯自分自身としっかり向き合う
・どんな人間関係においても、実際には4つの関係が同時進行する。
①あなたから見た関係
②他者から見た関係
③自分と自分の関係
④他者とその人自身との関係
・人間関係を正すエクササイズ
①自分自身についてどんなことを語っているか?自分を叙述するとしたら、どんな言葉を使うか。できるだけたくさん、自分を描写する言葉を考えて書く。
②これまで自分自身に関してどんなストーリーを語ってきたか。今までの人生で、自分を定義するカギとなった体験や出来事を書き出す。特に自分自身に不満を感じた時のことを具体的に書く。
③心の中に自分のどんな写真を持っているだろうか。物事がうまく行った時のことを思い出して書き出す。
④自分の弔辞を書く。人生を振り返って素晴らしいと思ったことを書く。達成したこと、貢献したこと、参加した活動、人に喜びを与えたこと・・。
⑤自分の欠点だと思うことを書き出す。「欠点」という言葉を線で消して「ユニークな特徴」と書き換える。「ユニークな特徴」のリストに、それぞれに対応するポジティブな特性を書き込んでいく。
⑥自分の人生の出来事で、やり直したい、変えたいと思うことがあったら書き出す。それら一つずつに関して、以下のようなことを考えて答えを書き込む
1)この経験を乗り越えたことで自分はどんな風に成長したか
2)この経験からどんなことを学んだか
3)自分が学んだことを人のために役立てられないか
4)自分の身に起きたことを受け入れ、それを燃料にして、同じことが他の人に起きないように力を尽くせないか
⑦自分が犯した過ちについて次のことを書き出す。
1)自分がしたことの隠れたいとは何か
2)自分はどんなニーズを満たそうとしたのか
3)今後同じような事態が起きたとき、前より成長している今の自分なら、どんなふうに対処するだろう
⑧自分がよく言う不満を書き出し、その背景にある動機がどれなのかを考える
1)人に関心を持ってもらいたい
2)責任を逃れたい
3)自慢したい
4)人より優位に立ちたい
5)失敗の言い訳をしたい
なぜ不平不満を言うのか、その動機を突き詰めていったときに、自分に対する思いが現れてきます。結局は自分自身との向き合い方、自己肯定感につながるものが根底にあります。コミュニケーションは、自分との向き合い方。内省にもつながるテーマだと感じました。
(文庫)もう、不満は言わない [人間関係編] (サンマーク文庫)
- 作者: ウィル・ボウエン,高橋由紀子
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2012/05/16
- メディア: 文庫
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