人望が集まる人の考え方(レス・ギブリン)
『人望が集まる人の考え方』(レス・ギブリン)(◯)
1956年に刊行された本書。これまで世界中で500万部以上が発行された名著です。幸福をどう定義しようと、それは他人とどんな関係を築くかに大きく左右される。人間の習性についての正確な知識を身につけて実践すれば、求めているものを手に入れることができる。自分が求めているものを手に入れると引き換えに、相手が求めているものを与え、良い人間関係を築くことについてまとめられた一冊です。ボリュームも比較的少なめで読みやすいです。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯人を動かす基本的な秘訣
・人間関係の4つのルール
①すべての人は、程度の差こそあれ自分本位である
②すべての人は、自分に最も強い関心を抱いている
③すべての人は、自分が重要だと感じたがっている
④すべての人は、他人に認められたいと思っている。
・気難しい人に対処する効果的な方法は、たった一つしかない。その人が自分自身をより好きになるのを手伝うことだ。
・人間関係における物の道理とは、相手に正論を振りかざすことではなく、相手の自尊心を満たす方法を実行することだ。
◯自分の「隠れ資産」を有効に使う
・隠れ資産とは
①あなたは他人の価値を認める力を持っている。
②あなたは他人が自分を好きになるのを手伝う力を持っている。
③あなたは他人を受け入れて大切に扱う力を持っている。
・礼儀やマナーは相手の重要性を認めていることを示す方法
・相手に重要感を持たせる3つのルール
①相手を重要な存在とみなす
②相手に注目する
③相手に対して威張らない
◯他人の行動と態度をコントロールする方法
・人間は相手の行動と態度に対して同じように反応するという心理学の法則がある。
・一発触発の状況に置かれたら、意識的に声の調子を下げよう。そうすれば、相手の声の調子を下げることができる。相手はこの調子を下げている限り、感情的になりようがない。
・人間の習性に関する基本原則
相手を信頼していることを知らせれば、相手は自分が信頼に値する人物であることを証明しようと努める。
◯相手に良い第一印象を与える方法
・自分が望む「主音」で会話を始めれば、相手の行動と態度を驚くほどコントロールすることができる。例えば、自分を真剣に受け止めて欲しいなら、真剣な調子で始めよう。実務的なやりとりを望むなら実務的な調子で始めよう。
・第一印象が最も持続しやすい。最初の出会いが「主音」を決める。
・「裁かれたくなければ、裁いてはいけない」。私たちは何かを裁くたびに、自分を裁くきっかけを他人に与えてしまっている。他人に対してネガティブな発言をすると、自分について悪い印象を相手に与える結果になる。
◯人をひきつける3つの条件
①相手を受け入れる
相手をあるがままに受け入れて好きになる人こそが、相手の行動を改善するだけの影響力を持つ。
②相手を認める
ポジティブな性格の人は認めるべきものに焦点を当てるので、相手の長所を引き出すことができる。人々は他人に認めてもらうと気分が良くなり、さらにいい気分になるために他の資産も伸ばしてもっと認めてもらおうと努める。
③相手を尊重する
1)できる限り相手を待たせない
2)すぐに面会できない場合、来訪を各員んしていることを知らせ、なるべく早く面会する
3)相手に感謝する
4)相手を特別扱いする
◯相手とすぐに打ち解ける方法
・人間関係の分野の中で最も確実に言えるのは、相手が好いてくれないと思い込んでいると、その信念を実体験しやすいということ。もし相手が好いてくれると確信すると、その信念は現実になる公算が大きい。
・相手に微笑みかけることによって、相手に思いがけない幸福体験させている。
・感情が好意を決定するのと同じくらい好意が感情を決定する。口角が上がっている状態で悲観的になることはできないし、口角が下がっている状態で楽観的になることはできない。
◯言葉で表現する能力を磨く方法
・相手の得意な話題を探す必要はない。自分のことを話してもらえばいいからだ。どんな人も「自分」というテーマの第一人者である。
・質問しながら相手を中心に会話することを心がけよう。
・自分について話してもいいタイミングとは、自分について話すように求められたときか、共通点を見つけたとき。
◯聞き上手になる方法
・あなたがしくじったのは、何かを言ったとか言わなかったからではなく、相手の話にじっくり耳を傾けなかったからだ。
・相手の話にじっくり耳を傾ければ良い。相手の話を一言も聞き漏らすまいという姿勢で一生懸命に耳を傾ければ、「非常に利口な人」と評価してもらえる。
・あなたなら次のうち誰に投票するだろうか?
①あなたの話を聞かずにまくし立てる人
②あなたの話を遮って話し続ける人
③あなたの話にじっくりと耳を傾ける人
・辛抱強く聞くことは、「あなたの話は聞く価値がある」という意思表示になる。
・人間関係のトラブルの主な原因は、相手の話を聞こうとしないこと。
◯たちまち相手の賛同を得る方法
・反対意見を持つ人を論破したくなるのが自然な衝動だが、本来の目的は相手を説得して賛同を得ること。議論に勝つための唯一の方法は、相手が自らの意思で賛同するように働きかけること。プレッシャーをかけず、脅し作戦を使わないで冷静に事実を提示することが自分の考え方を相手に受け入れさせる最善の方法。
・相手の自尊心を傷つけずに議論に勝つ6つのルール
①相手に意見を述べさせる
②答える前に少し間をおく
③100%勝とうとしない
④控えめな態度で主張する
⑤第三者に代弁してもらう
⑥相手の面子を潰さない
・相手を窮地から救い出す方法
①相手が事実関係を把握していなかったことにしておく
②言い訳をする機会を与えて相手の顔を立てる
◯相手の全面協力を得て成果を上げる方法
・人々は自分が参加したものを支持する
・一流の経営者は堂々と従業員にアイデアを求める。そうしたからといって自分の経営能力を疑われるという不安を抱いていないからだ。
・相手にアドバイスを求めているなら、本気で「アドバイスをください」というべき。そうすれば、問題解決に役立つアドバイスが得られるだけでなく、重要感を与えて相手を喜ばせることができる。
◯人間関係で奇跡を起こす方法
・心を込めてお礼を言うことによって、相手を褒めていることになる。
・自分が感謝していることを言わなくても相手はわかってくれるとは思ってはいけない。相手の行為に対する感謝の気持ちをきちんと伝えることによって、相手はあなたのためにもっと尽くしたくなる。
・自分の幸福感を高めたいなら、他人の中に褒めるべき素晴らしい点を探そう。これほど確実に自分の幸福感を高める方法はない。
・他人の中に素晴らしい点を探す努力をすることは、自分にも奇跡的な効果をもたらす。それは自己中心的で独善的な傾向を和らげ、他人に対する理解を深め、寛容の精神を培ってくれるから。
本書は人の心理や行動の基本をきちんと知った上で、自分の行動を考えましょうという基本線で土台になる部分にフォーカスが当たっています。だからこそ、重要であり、これだけ長い間読まれ続けているのだと思います。一読の価値ありです。