MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

グラビアアイドルの仕事論(倉持由香)

『グラビアアイドルの仕事論』(倉持由香

 副題に「打算と反骨のSNSプロデュース術」とあるように、本書は、グラビアアイドルがSNSを利用してどう自分を売り込んでいくかというセルフマーケティングTwitterノウハウをまとめた一冊です。短命であり、生き残りが厳しいこの業界でいかにファンを掴むかという読者目線を追求する姿と自分をプロデュースするという点に気づきのある一冊でした。「尻職人」「倉持由香」「#グラドル自画撮り部」。いずれも初めて聞いた内容でした。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯顧客目線を考える

・私の中にはおじさんが住んでいます。自画撮りは、ただのグラビアのデモンストレーションではなく、この「おじさん」の目線を育てる訓練です。常におじさん目線を意識することを、私は自画撮りと向き合うことで追求してきました。

・これはおじさんが顧客となるグラビアについて当てはまるだけでなく、すべての仕事に向き合う上で顧客の目線を考えるという、重要な思考の訓練であるとも思っています。

 

◯活動にストーリーを持たせる

・人から応援されるためには、ある種のストーリー性が必須。

・成長ストーリーをファンも一緒に追体験することができる。ストーリー性は、過去から現在、未来へとつながるため、一過性ではなく、永続的にファンになってもらえる可能性が高い。

・ストーリー性が高いコンテンツは、そのままエンターテイメントとなり、一般的に受け入れやすい対象となる。

 

知名度のピラミッド理論

・ファンの方々を3段階に分かれたピラミッド状の階層で考えたもの。

・トップ層を100人にするには、フォロワーが約1万人必要。SNS知名度を高め、ピラミッドの下層を広げなければならない。

・トップは、撮影会やイベントへ足を運んでくれるコアなファン。

・ミドルは、雑誌や写真集などの商品を購入してくれるファンの方

・ボトムは、Twitterフォロワーの方

 

◯つぶやきルーティン

エゴサーチをして、リツイートする。

・告知するタイミングは、ネットのゴールデンタイム(22時〜1時)に集中してつぶやく。

・日中は一般的に仕事や家事に忙しい人たちが多いため、平日なら大切な告知は19時以降につぶやくのがベスト。

 

◯数字と向き合い分析する

Twitterの「ツイートアクティビティ」は、つぶやきに関する数字を確認できる機能。

リツイート数、インプレッション(Twitter上でつぶやきが見られた回数)、エンゲージメント(何かしらの方法でつぶやきをタップしてくれた人数)などを確認する。

リツイート数とフォロワー数は必ずしも比例しない。フォローワー数が数十万であっても、リツイート数がその数だけ多く稼げるというわけではなく、反対に、フォローワー数5000人ほどのアカウントでもリツイート数が常に数千を超える場合もある。

・これはフォロワーの質が濃く、知名度のピラミッドの頂点と底辺の数が近接していて、台形のような形になっていると考えられる。いわゆる信者の多いコスプレイヤーさんや若手俳優さんなどに多い傾向。

 

◯不完全であることも魅力になる

・そもそも人間は「不完全なものを応援したくなる」性質の生き物だし、不完全さこそが人間味でもある。

 

◯フォロワーさんを巻き込む

・フォロワー参加型のつぶやきは、何か大きな企画でなくとも効果がある。

・ヘアスタイルを変えた時に、「髪を切りました」とただつぶやくだけではなく、一言「どうですか?」と付け加えて見るだけでも、反応してくれるフォロワーさんの数が変わるはず。疑問文にすることで、フォロワーさんたちが格段にリプライを返しやすくなる。

・何かを暗示させるというのも一つの方法で、情報解禁前の仕事では「とある◯◯でした」とつぶやくこともあるが、そうすると必ず「もしかしてこれをやっていたのでは?」とリプライをくださる方もいる。

 

ハッシュタグはキャッチーさが全て

・カタカナと漢字を含めたフレーズは印象に残りやすいと思っていたことから、「#グラドル自画撮り部」という名称は生まれた。

・「丸の内サディスティック」「無罪モラトリアム」など、椎名林檎さんの曲名ってなんだか声に出して言いたくなりませんか?これがキャッチーさにつながる。

 

 私は、Twitterを始めてまだわずか1ヶ月なのですが、140字も字数制限と広がりの早さに魅力や可能性を感じています。そこで何を伝えるとどんな反応が返ってくるのか。実験して楽しみながら取り組んでいます。著者のような影響力がある方が自分の取り組みを公開してくださるのは、とても学びにつながります。

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