『経済統計の実際』(日本統計学会編)
統計検定の中の「統計調査士」に対応している本書。統計の意義と役割、統計法規、統計調査の基本的知識、統計調査員の役割・業務、統計の見方、統計データの利活用についてまとめられています。
「統計調査士」試験では、統計調査実務の基本的な資格で、アンケート調査実施時の留意点やデータの読み取り方、国の基本的な統計についての理解が求められます。
ちょうど今の仕事と関連性が深いこともあり、勉強の流れで試験も受けてみようかと思って購入してみました。
さすがに試験対応のテキストだけあって、必要な内容がコンパクトにまとまっており、効率的に理解を進めるのに適しています。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯本書で取り扱っている国の統計(ここで扱っているということは数多くある統計の中でも特に基本的で重要ということ)
①人工統計
・国勢統計
西暦末尾0と5の年に実施される基幹統計。
・人口動態統計
毎月の出生、死亡、死産、婚姻、離婚の全てを調査対象とする基幹調査。
・人工推計
全国の毎月1日現在の人口や都道府県の毎年10月1日現在の人口を推計して作成される基幹統計。
②労働統計
・労働力統計
毎月の就業の実態が明らかになる基幹統計。月末1週間の就業状態を調べるアクチュアル方式が採用されている。
・就業構造基本統計
5年ごとに就業に関わる詳細な状況が明らかになる基幹統計。
・毎月勤労統計
毎月の雇用と給与、労働時間の変動が明らかになる基幹統計。
・賃金構造基本統計
毎年の賃金の実態が属性別に明らかになる基幹統計。
③国民生活・消費統計
・家計統計
毎月の家計収支の実態が明らかになる基幹統計。
・全国家計構造統計
5年ごとに、家計における消費、所得、資産及び負債の実態を総合的に把握し、世帯の所得分布及び消費の水準、構造等が全国及び地域別に明らかになる基幹統計。
・国民生活基礎統計
保健、医療、福祉、年金、所得等、国民生活の基礎的事項が明らかになる基幹統計。
・社会生活基本統計
5年ごとに生活時間の配分や余暇時間における主な活動の状況など国民の社会生活の実態が明らかになる基幹統計。
④産業・企業統計
・経済構造統計
国内のすべての産業分野における事業所・企業の活動からなる経済の構造が、全国的及び地域別に明らかになる基幹統計。
・法人企業統計
四半期及び年ごとに我が国における営利法人等の企業活動の実態が損益計算書、貸借対照表等の財務面から明らかになる基幹統計。
⑤国民経済計算、経済指数など
・産業連関表
財・サービスの生産状況と産業間の取引、産業から最終需要(家計など)への流れなどについて、通常は1年間を対象に国全体を行列形式でまとめた統計。
・国民経済計算
国の経済状況について、生産と分配、支出や資本蓄積といったフローの面と、資産と負債、国富についてのストック面までを包括的に表現した統計。
・経済指数
物価指数の代表として消費者物価指数、数量指数の代表として鉱工業指数がある。
⑥貿易統計、金融統計
・貿易統計
普通貿易統計、特殊貿易統計、船舶・航空機統計の3つの統計からなる。
・金融統計
通貨関連統計、市場関連統計、預金・貸出関連統計などがある。
資格は、「活用してナンボ」という方もいらっしゃると思いますが、一方で勉強を動機付け、効率的に学びを進める効果もあります。私の場合は、広い意味で仕事に関連しているので、基本知識を学ぶことには意味を感じていますが、意外に最初は確固たる目的がなくても、学び始めたらおもしろくなって、関連分野をさらに学びたいという動機が生まれるパターンもあります。あまり、難しく考えず、ちょっと気になったら学んでみる。そんな感じで学びの領域を広げていければいいなと思います。