MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

仕事の報酬とは何か(田坂広志)

『仕事の報酬とは何か』(田坂広志)(〇)

 現在、受講しているリーダーシップ開発と倫理観(LEV)において、「自分は、何のために働いているのか」「自分は何を大切にして働いているのか」を繰り返し、問われ続けています。

 たまたま手に取った本書ですが、講義で問われている問いと重なるところが多く、「言われてみればそうだそうだ」と気づくこともあり、改めて、自分の考えを整理し、「大切な何か」を考えることができました。

 文字通りの「報酬」だけではなく、目に見えない報酬についてどう捉えるのか。改めて、考えてみるきっかけになる良書でした。

(本書で印象に残ったところ)

〇「あなたにとっての仕事の報酬とは何ですか?」

 ・目に見える報酬:給料や地位(結果として得られる報酬)

 ・目に見えない報酬:能力、仕事、成長(自ら求めて得るべき報酬)

〇能力を磨く喜び

・腕を磨くことは一流プロフェッショナルになる条件。ただし、腕を磨く「喜び」をどれだけ深く体験しているか。腕を磨くことが、収入や地位を得るためだけの「手段」になってはいないか?

・腕を磨くためには、「師匠」を見つけ、教わることが必要。師匠から特に学ぶことは、①バランス感や仕事の呼吸、②仕事の着眼(自己反省につながる)、③心得(心構え、心の姿勢)。

・自分の周りに必ず師匠はいる。師匠との出会いが無いと嘆く人は、出会いを妨げているのは、「周りにろくな人がいないと嘆く」自分自身の驕った心かもしれない。

・反面教師:学ぶべきことがないという見方ではなく、「他人の中にある欠点は必ず自分の中にもある」と考えてみる。そこから学びが広がる。

〇良い仕事を残す喜び(good job!)

・単なる「商品」ではない、「作品」であるという精神

・仕事は、単なる「作品」ではなく、「共同作品」と考える。そこから、仲間との共感が生まれる。

・人間関係:説得、感動を呼ぶ、部下を動かす。。。?「いかにして相手を意のままに動かすか」という操作主義に陥っていないか?仲間の気持ちに深く共感できているか?

〇人間を高めることの喜び

・人間としての成長は、「心の世界に処する力」。自分の心、相手の心、人間集団の心。

・腕を磨けば磨くほど仕事がうまくいかないことがある。自分の心に、「腕があがった」という慢心が無いか?良き仕事を残したいという気持ちが、自分のエゴの達成願望から発していないか?そのことに気付けば、それが大きな成長。

・仲間の心は、自分の心の世界を映し出す「鏡」

・「腕を磨く→心得」「良き仕事を残す→共感や志」→いずれも最後は人間としての成長に結びついていく。

・マネジャーは、人間の心と格闘する。職場や会社の人間集団の心と格闘する。その格闘を通じて、「心の世界に処する力」を見に付け、力を磨くことができる。

〇収入や地位は、いつか失われる報酬。人間としての成長は、決して失われない報酬。

・人間としての成長は、生涯を終えても、決して失われない。なぜか?それは、後に続く人がいるから。その彼らに何を繋げるか。彼らを見つめるときに、決して失われることのない報酬を見ることができる。

 

 忙しい毎日に、ついつい忘れがちな大切なこと。

 たまに、振り返り、頭を整理してみる。心を落ち着けてみる‥

 今、私は自分自身を振り返る機会を得て、クラスをはじめ、多くの方々からフィードバックをいただけるありがたい環境に身を置けている。

 素直な気持ちで、真摯に受け止めて、今一度自分の働き方を考えてみたいと思っています。

仕事の報酬とは何か (PHP文庫)

仕事の報酬とは何か (PHP文庫)

 

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