『仕事の報酬とは何か』(田坂広志)(〇)
現在、受講しているリーダーシップ開発と倫理観(LEV)において、「自分は、何のために働いているのか」「自分は何を大切にして働いているのか」を繰り返し、問われ続けています。
たまたま手に取った本書ですが、講義で問われている問いと重なるところが多く、「言われてみればそうだそうだ」と気づくこともあり、改めて、自分の考えを整理し、「大切な何か」を考えることができました。
文字通りの「報酬」だけではなく、目に見えない報酬についてどう捉えるのか。改めて、考えてみるきっかけになる良書でした。
(本書で印象に残ったところ)
〇「あなたにとっての仕事の報酬とは何ですか?」
・目に見える報酬:給料や地位(結果として得られる報酬)
・目に見えない報酬:能力、仕事、成長(自ら求めて得るべき報酬)
〇能力を磨く喜び
・腕を磨くことは一流プロフェッショナルになる条件。ただし、腕を磨く「喜び」をどれだけ深く体験しているか。腕を磨くことが、収入や地位を得るためだけの「手段」になってはいないか?
・腕を磨くためには、「師匠」を見つけ、教わることが必要。師匠から特に学ぶことは、①バランス感や仕事の呼吸、②仕事の着眼(自己反省につながる)、③心得(心構え、心の姿勢)。
・自分の周りに必ず師匠はいる。師匠との出会いが無いと嘆く人は、出会いを妨げているのは、「周りにろくな人がいないと嘆く」自分自身の驕った心かもしれない。
・反面教師:学ぶべきことがないという見方ではなく、「他人の中にある欠点は必ず自分の中にもある」と考えてみる。そこから学びが広がる。
〇良い仕事を残す喜び(good job!)
・単なる「商品」ではない、「作品」であるという精神
・仕事は、単なる「作品」ではなく、「共同作品」と考える。そこから、仲間との共感が生まれる。
・人間関係:説得、感動を呼ぶ、部下を動かす。。。?「いかにして相手を意のままに動かすか」という操作主義に陥っていないか?仲間の気持ちに深く共感できているか?
〇人間を高めることの喜び
・人間としての成長は、「心の世界に処する力」。自分の心、相手の心、人間集団の心。
・腕を磨けば磨くほど仕事がうまくいかないことがある。自分の心に、「腕があがった」という慢心が無いか?良き仕事を残したいという気持ちが、自分のエゴの達成願望から発していないか?そのことに気付けば、それが大きな成長。
・仲間の心は、自分の心の世界を映し出す「鏡」。
・「腕を磨く→心得」「良き仕事を残す→共感や志」→いずれも最後は人間としての成長に結びついていく。
・マネジャーは、人間の心と格闘する。職場や会社の人間集団の心と格闘する。その格闘を通じて、「心の世界に処する力」を見に付け、力を磨くことができる。
〇収入や地位は、いつか失われる報酬。人間としての成長は、決して失われない報酬。
・人間としての成長は、生涯を終えても、決して失われない。なぜか?それは、後に続く人がいるから。その彼らに何を繋げるか。彼らを見つめるときに、決して失われることのない報酬を見ることができる。
忙しい毎日に、ついつい忘れがちな大切なこと。
たまに、振り返り、頭を整理してみる。心を落ち着けてみる‥
今、私は自分自身を振り返る機会を得て、クラスをはじめ、多くの方々からフィードバックをいただけるありがたい環境に身を置けている。
素直な気持ちで、真摯に受け止めて、今一度自分の働き方を考えてみたいと思っています。