MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

力の抜きどころ(古川武士)

『力の抜きどころ』(古川武士)

 本書は、全てに全力投球する「完璧主義」から、努力にメリハリをつける「最善主義」に移行することで、より柔軟に、より少ない時間で大きな成果を上げることを目指しましょう!という、少し肩の力を抜きつつも成果は出していくための一冊です。33の切り口から、完璧主義と最善主義の人は何が違うのか、何を実践すればいいのかが、わかりやすくまとめられています。習慣化の切り口として役立ちます。

 

(印象に残ったところ‥本書より)「完璧主義 ⇒ 最善主義」

①頑張ること自体に美徳 ⇒頑張らないで結果が出ることに美徳を感じる

・最小限の時間で結果を出す方法を考える

・最善主義の人と一緒に仕事をする。

 

②無制限に頑張る ⇒制限を設けて頑張る

・働く時間に制限を設ける

・集中力の精度を高める

 

③丁寧過ぎてスピードが遅い ⇒多少粗いがスピードが速い

・形にこだわらず、早く出す工夫をする

・リスクが少ないものから始める

 

④タイムプレッシャーを嫌う ⇒ギリギリ上手に活用する

・あえて納期を早めに約束する

・ギリギリになった時にこそ落ち着いて計画する

 

⑤木を見て仕事をしている ⇒森を見て仕事をしている

・2つ上の上司の視点で考える

・自分が上司だったらと想像する

 

⑥未来についてあれこれ心配する ⇒今に集中している

・ノイズを減らす

・一点集中力を高める 

 

⑦雑用も全力でこなす ⇒雑用を省エネで行う工夫をする

・省エネできる工夫を考える

・雑用を工夫できる知恵を集める

 

⑧常にメールに気が取られている ⇒メールの活用ルールがある

・メールの法則を覚えておく

・できるだけ電話や対面で話すようにする

 

⑨まとまった時間で仕事をする ⇒スキマ時間で細切れ仕事をする

・スキマ時間を調査する

・場面とタスクを結び付ける

 

⑩着手が遅く先延ばしする ⇒小さくはじめてすぐやる

・チャンウダウンする

・ベビーステップで始める

 

⑪妥協することが許せない ⇒戦略的に妥協して最適化する

・最悪、最高、合格の3段階で考える

・完璧を手放したときの不安感を想定しておく

 

⑫すべてを網羅しようとする ⇒結果が出る部分を徹底する

・重要ポイントを見極める

・その他は覚悟を決めて手放す

 

⑬プロセス志向である ⇒目的志向である

・目的・本質を考え抜く

・相手の立場で想像する

 

⑭自分のこだわりからスタートする ⇒相手のニーズからスタートする

・相手は何を求めているのかを考える

・ニーズから逆算して考える

 

⑮前例どおりに頑張る ⇒独創的に工夫する

・最も成果を出している人にインタビューする

イノベーション質問に答える

(同じ時間で2倍の成果を出すには?半分の時間で同じ成果を出すには?」

 

⑯弱点を克服しようとする ⇒強みを活かす

・強み・長所を発見する

・強みを活かした成長戦略を考える

 

⑰今までのやり方に固執する ⇒新しいやり方を試してみる

・常に新しいやり方を考える

・今日、一つ新しい改善をする

 

⑱石橋を叩いて渡る ⇒見切り発車をする

・とりあえずスケジュールに入れる

・まず撃つ、そして狙う

 

⑲いきなり完璧を目指す ⇒まずたたき台をつくる

・たたき台は30%ぐらいの緩さにとどめる

・構成を手書きでスケッチする

 

⑳一発勝負で考える ⇒確率論で考える

・まずは小さく試す

・効果の高いものに集中する

 

㉑心が折れやすい ⇒徐々に精度を上げる

・ブラッシュアップ思考を身につける

・ぶっちぎりポイントまで耐える

 

㉒どうしようもないことに悩む ⇒自分のできることに集中する

・常に思考チェックをする

・「じゃぁ、どうしよう?」と質問する

 

㉓すべてのリスクに備える ⇒大きなリスクに徹底して備える

・最悪のリスクを想定する

・モグラたたきを減らす

 

㉔時間的な余裕がない ⇒ゆとり時間をつくる

・大きなゆとり時間をつくる

・小さなゆとり時間をつくる

 

㉕自分を許せない ⇒自分にOKを出せる

・小さなOKを出す

KPTをノートに書く

(keep:続けたいこと、problem:改善点、try:どうしていくか)

 

㉖すべて「自分のせい」だと落ち込む ⇒「自分のせい」だけではないと割り切れる

・円グラフ法を使ってみる

・できることを考える

 

㉗義務感で自分を動かす ⇒ワクワクで自分を動かす

・今日の楽しみな仕事を設定しておく

・タイマー設定をしてプレッシャーから解放される

 

㉘100点か0点かで考える ⇒グレーゾーンで柔軟思考をする

・常に数値化する

・完成の基準をMust/Wantで考える

 

㉙念のためにとモノを溜め込む ⇒余分なモノはどんどん手放す

・週に1回の捨てるデイをつくる

・外出鞄を小さくする

 

㉚他人の失敗に厳しい ⇒他人の失敗に寛容

・自分と相手でルールを変える

・叱る前に聴く

 

㉛八方美人になる ⇒一部の人に圧倒的に支持される

・嫌われない努力のコストを計算する

・付き合いの境界線を引く

 

㉜全員の合意を目指す ⇒キーマンへの根回しを徹底する

・キーマンは誰かを見抜く

・しっかり関係をつくる

 

㉝自力で頑張り続ける ⇒他人の力を上手に借りる

・任せるモチベーションを高める

・任せる恐怖を小さくする

 

 33項目もあるだけにセルフチェックにも役立ちました。私は、かなり最善主義のようです。昔は完璧主義でしたが、人って変わるものですね。時間の流れの中、徐々に変わってきたのかというとそうでもなく、ポジション・役割が人を育てるって感じで、そのタイミングで学び、変化している感じです。一番、「これこれ!」と思ったのは、「2つ上のポジションで考えること」。これは、新入社員時代からやっていますが、行動レベル、感情レベルですぐに役立つ発想だと思います。お試しあれ。

力の抜きどころ 劇的に成果が上がる、2割に集中する習慣

力の抜きどころ 劇的に成果が上がる、2割に集中する習慣

 

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