『イチローの成功習慣に学ぶ』(児玉光雄)
本書は、大学教授である著者がイチローの言葉と習慣化についてまとめた一冊。流石に世界最高峰のアスリートの習慣化は真似できない・・・という感じではなく、心の持ちようやビジネスで活かすとしたら?という観点でまとめられているので、日常に活かせる一冊です。イチロー選手が大好きな私としては、イチロー選手のスゴさの背景を垣間見れて、興味関心が湧いてくる内容でした。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯「ヒットをたくさん打つようになってからは、甘い球が待てなくなりました。難しい球が来るまで待つという姿勢になっちゃったんです」
・身体感覚のレベルにおいても、やさしい方法より難しい方法を選ぶことが習慣化(肉体化)されている言葉。
・相手の失投に乗じる姿勢も大事だが、行き過ぎると、知らず知らずのうちに相手のミスを待つ消極的姿勢が常態化してしまう。優れた成果を上げようとするなら、自分の最高で相手の最高を打ち碎くようなアグレッシブな姿勢が必要。
◯プレッシャーへの対処法
・「やっている間にそのプレッシャーから解き放たれるのは不可能ですね。プレッシャーがかかった中で、どうやってそこから抜け出すのかとよく聞かれますけど、その方法というのはないですよね。その苦しみを背負ってプレーするしかない」
・「ドキドキを感じるとか、ワクワクする感じとか、プレッシャーのかかる感じというのはたまらないですね。僕にとって、これが勝負の世界にいる者の醍醐味ですからね」
・「いつも恐怖と不安と重圧を抱えています。楽しいだけではプロの世界にいられない」
⇨平気ではないからこそ、プレッシャーの苦しみを積極的に引き受けること、あるいは醍醐味と感じることによって、それを克服しようとしている。
◯「特別な成果」は平凡な努力から生まれる
・「やれることはすべてやったし、手を抜いたことは一度もありません。常にやれることをやろうとした自分がいたこと、それに対して準備ができた自分がいたことを、誇りに思っています」
・「特別なことをするためには、普段の自分でいられることが大事です」
⇨当たり前のことを当たり前に行う。努力は、意欲の問題ではなく習慣の問題。
◯雑用を雑に扱う人が雑用係になる
・「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ」(小林一三 阪急グループ創設者)
◯プロセスは「生き物」と考える
・頑張らなくても結果を出せたのであれば、そこへ至るプロセスは正しかったのだし、反対に、いくら頑張っても結果を出すことができなかったのであれば、経てきたプロセスが間違っていたことになる。
・「(結果とプロセス)両方とも大事です。結果を出せないと、この世界では生きていけない。プロセスは選手としてではなく、人間を作るために必要です」
◯どんな天才でも、一流になるには一万時間かかる
・「今、小さなことを多く重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道なんだなという風に感じています」
・「結局は細かいことを積み重ねることでしか頂上にはいけない。それ以外には方法はないということですね」
・「時間をかけなければ、絶対にできないものは、すごいなぁと思うんです。もちろん、5打席連続ホームランもすごいけど、一日でできますからね」
⇨苦しく長いプロセスを経て身につけてきた能力こそが本物であり、不動のものである。
◯なりきることをとことん極める
・「最初はマネごとみたいなところから始まりますよね。いろんな人のフォームをマネしたりして、なんとなく今の自分がいるという感じはあります」
・「気持ちも尊敬している人になりきる。いつも、誰かになりきっていました」
⇨「真似る」は「学ぶ」で、物真似は上達への近道。真似を続けているうちに、仮面もいつか素顔に変わる。
◯「理屈」ではなく「感覚」で乗り越えろ!
・「ラーメンをゆでるときに、3分間をストップウォッチで測らないとダメなようでは一流ではないですよね。菜箸の先で、麺の固さを感じることができないといけないわけで」
◯「イメージの限界」が「能力の限界」になる
・「「できなくてもしょうがない」は、終わってから思うことであって、途中にそれを思ったら絶対にできません」
・私たちの能力に限界を与えるているのは能力自体の限界ではなくて、「それは無理だ」と考えるイメージの限界。
・人間は「できるかどうか」と疑問に思っているうちは結局何もできないし、やらないもの。
◯「決まった動作」から一点への集中が生まれる
・「どんなに気持ちが揺れていても、いつも通りの作業をすることで、自然にバッティングの気持ちに切り替えることができるんです。僕にとっては、いつも通りにすることがプレッシャーに対処するための唯一の方法ですね」
・スポーツ心理学では、繰り返し行う本番前の準備行為(儀式)を「プリショット・ルーティン」と呼んで、集中力を高めるための最も重要な行為の一つであると定義している。
習慣は、科学的に効果が高いものを繰り返し行うことも大切だとは思いますが、それよりも「持論」だったり「習慣化した先にあるイメージ」が大切なように思います。その点、イチロー選手の習慣化は、示唆に富んでいて、言葉の一つひとつが刺激になり、とても参考になる内容だと思います。
◯