MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

10年後の仕事図鑑(堀江貴文×落合陽一)

『10年後の仕事図鑑』(堀江貴文×落合陽一)

 「無くなる仕事/減る仕事」と「生まれる仕事/伸びる仕事」。AIに仕事が奪われていく未来を肯定できない人が多いが、1度きりの人生に不安を持ち込む意味はなく、心の持ちようで未来はいかようにも変えていけるというメッセージが込められた一冊です。貨幣中心の経済から、信用中心の経済へとシフトしていく流れを知り、社会の変化に取り残されることがないように、人生のグランドデザインを描く術についても語られています。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯普通

・我々が普通だと思っているものは、大抵だれかが言い出した「発明」に過ぎない。「普通」という擬態は一見社会にとって正しそうに見えるが、実は正しさ自体は更新され続ける発明。

・仕事とは、社会システムの要請によって生まれるもの。

 

◯AIに仕事が奪われても問題ない

・AIに仕事が奪われても、人間がやらなければならなかった仕事の時間が減り、自由な時間が増えるだけの話。生活コストはどんどん下がっていくので、何も無理に働いてお金を得る必要も無くなっていく。

・誰にとっても仕事は「引き受けるもの」から「作るもの」へと変わっていく。

 

◯会社の未来

・従来の経営で業績が思うように伸びない一方、たった数人で始めたベンチャー企業が急激に成長し、ユニコーン企業となる例だって世界にはある。「人生100年時代」といわれるなかで、1つの会社で定年まで時間を過ごすことへの疑問も生じている。

 

◯会社員の未来

・会社にしがみつくというよりも、「個人で仕事をしてもいいんだけど、会社にいる方が自分のやりたいことができるから、会社にいる」などと、自発的に会社を選択する人も増えるかもしれない。むしろそのくらいの意識がないと会社に残ることすら難しい可能性がある。

 

◯「働くこと」の未来

・最終的に「働くこと」は「遊ぶこと」に近づいていくと思う。ほとんどの仕事がAIやITに取って代わられたとしたら、人間がやるべきことは、そもそもそれほどなかっただけのことかもしれない。

 

◯新しい仕事で成功している人たちの共通点

①作業にハマっていること

 自分でルールを作ることで、物事に没頭でき、好きになることができる。

②思いを持って毎日発信すること

③油断しないこと

 

◯無くなる仕事/減る仕事

①管理職

 数多くの職業に共通して「管理職は不要」。経営者でさえ、「管理するだけの人」はAIに代替されるのだから、管理職はそもそも不要。ビジョナリーな経営者がいて、その下にAIの取締役会がいる企業や共同体、ICOの動きまでを合わせて、笑い事ではなく近いうちに生まれるのではないだろうか。

②秘書

 いわゆるオフィスワークは、オフィスソフトに搭載されたAIが代替するのではないか。ただし、外部の人との打ち合わせや、テレビの収録についてきてくれるなど、コミュニケーションを円滑にする存在としての仕事は、人間の仕事として残るだろう。

③営業職

 機械は嘘をつかないので、信頼される。人間よりもAIが信頼されるようになると、「この人なら買ってもいい」と思われるようなお客さんがついている営業職だけが生き残れるようになる。

④現場監督

 土木作業、建設業など、現場で精密な作業が求められ、体を張る仕事はAIに代替されないだろう。現場監督はAIに代替される。データをもとに効率的に働くプランを作るのは、人間よりもAIが得意だ。

⑤エンジニア

 特に給料の高い人から順番に仕事を奪われていくだろう。そもそも、プログラミングは一部の人間にしかできないような専門職ではない。カッティングエッジ(最先端)なことをやり続けられる人は話が別だが、それ以外はただのコモディティだ。管理職に紐づくが、システム設計を行う人材は数人のエキスパートで十分だ。

⑥弁護士

 弁護士の仕事は、過去のデータに基づいて判断することが多い。給料が高く、AIに代替される職業の代表格。

⑦会計士・税理士・社労士など

 法律関係の仕事はAIの得意分野。現状でもネットである程度代替できる職業なので、間違いなく減っていく。

⑧スポーツの監督

 AIは判断する機能に長けている。サッカーでも野球でもおそらくAIの方が速く指示ができるだろう。しかし、モチベーション喚起やコミュニケーションは別である。

⑨介護職

 そもそも人がやるべきでない業務が減るから、仕事は最適化され、対話など人間にしかできない仕事の価値が総じて高くなるだろう。

⑩警備員

 今後は、AR(拡張現実)のゴーグルを装着した警備員が増えてもおかしくない。ずっと見張っているのではなく、機械がアラートを出したら、その人を捕まえに行く。介護と同様、業務が減る仕事の一つではないだろうか。

⑪教員

 AIを利用することで、個々の生徒の進度に合わせた学習指導ができるようになる。先生よりも、AIの方がある関数で最適化された個別教育の設計ができるはず。

⑫研究者

 AIが人間の代わりにチームマネジメントする可能性がある。しかし、いまいる研究者の賃金とAIの開発費を天秤にかけたとき、研究者の代わりに、研究するAIの開発に資金を回すという選択肢も考えられる。

⑬テレビ

 これからのテレビコンテンツのキーはAIにある。AIを利用してインタラクティブ(双方向的)な番組制作を進めて行く。

⑭事務職

 単純作業がまだ機械に置き換えられていないのは、人の方がまだ安いというだけのこと。ホワイトカラーの事務作業をやっている人たちの半分はいらない。計算を首都する仕事は、わざわざ人間がやる必要もない。

倉庫業

 ピッキングは、現状機械には難しいので、人間がやった方が安い。機械化が安くなれば、人間の仕事で無くなることは確実だ。

⑯公務員

 公務員がやる仕事なんてほとんどない。今後は、公務員が自動化による小さい政府の代名詞になるかもしれない。

⑰医師

 医師は治療・手術に専念できる。数万通りもある診断パターンから、その都度100%適切な対処を下すのは、人間である以上不可能。しかし、AIなら可能性はある。AIに「病気はどうか」の診断基準を学ばせれば、ある程度のスーパードクターが誕生する。すると、医師は「診断を下す人」ではなくなる。煩雑な業務をする必要もなくなり、患者と直接関わってケアをしたり、手術したりすることに専念できるようになるだろう。

⑱クリエイター

 AIが得意とするジャンルの一つが広告コピーなど言葉を扱う仕事。ビッグデータを分析して作成すれば、ウケるコピーになる確率は高くなる。「クリエイティブな仕事はAIに代替されない」というのは幻想に過ぎない。

⑲銀行員

 銀行員はおろか、銀行すら要らなくなる。手数料が安い仮想通貨も利用者がどんどん増えているし、そもそも銀行自体を使う人が減っていくと思う。

運送業

 重い荷物と運び込み以外、ドローンと自動運転で十分。運送手段が機械に変わっても、すぐに「宅配」の仕事がなくなるということではない。

㉑翻訳

 翻訳に携わる仕事も、今後一層先細っていくに違いない。Google翻訳のアプリの「リアルタイムカメラ翻訳」は、スマートフォンのカメラで写したテキストを翻訳して元の映像の上に載せてくれる。まだまだ笑ってしまうような誤訳も多いが、今後精度が上がっていくのは時間の問題。

㉒ドライバー

 自動運転が当たり前になれば、そもそもドライバーは必要ない。自動運転の実現前から、カーシェアリングサービスの拡大で、ドライバーのニーズは激減するだろう。

 

 などなど。一方、今後生まれる仕事/伸びる仕事のテーマとして、志のある個人経営のお店、イケてる職人、ドローン、ショービジネス、テレプレゼンスロボット、一億総クリエイター時代、予防医療、宇宙開発、感情のシェア、観光業、AIを操る、音声認識技術が挙げられています。一体どんな未来になっていくのでしょうかね。私としては、未来のことはよくわからないけれど、自分の経験も大切にしながら、コミュニケーションをベースに10種類くらいの仕事が作れないかなぁと思って、1年1種類ずつ、10年かけて、ミルフィーユ的に自分ができることを積み上げていきたいなと思って活動しているところです。

10年後の仕事図鑑

10年後の仕事図鑑

 

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