MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた(石川善樹×吉田尚記)

『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』(石川善樹×吉田尚記)(◯)

 本書は、予防医学研究者の石川善樹氏とニッポン放送アナウンサー吉田尚記氏の対談です。幸せにつながるテーマを語っていく本書には、「そこそこじゃない人生にたどり着く」ための方法論が詰め込まれています。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯「予防医学」の究極のゴール

・朝ワクワクして目が覚めて、夜満ち足りた気持ちで眠れるか。

 

◯無邪気さ

・日本の夏は暑いが暑い暑いという前に、その気持ちを俯瞰してみる。「自分は今、暑いと感じてるなぁ」って。暑いって感情に脳をハイジャックされないようにする。そうすると余裕が出てくる。で、余裕を持って周りを見てみると、すでに夏を楽しんでらっしゃる方がいた。子供たちです。

・無邪気である限り、ありとあらゆることから学べるし、楽しく幸せに生きられる。

 

◯人生の3要素

①新しいアイデアを外に取りにいく

②コミュニティでシェアする

③新しいアイデアを考える

・これが最も機能するのが10万人。10万人を超えると、アイデアをシェアするのが難しくなってくる。その10万人も細かく分かれている。部族や家とかのコミュニティは150人がMAX。その中で人が本当に親しく交流できるのは6人と言われている。6、150、10万という数字が今の所の研究結果。

・みんながインターネットを見始める世界になったら、そうじゃない方法で情報を取りに行った方がいい。インターネットって「誰かが発信し終わったこと」しか載っていない。インターネットってもはや新しくない。

 

◯常識

・常識のバリーションってものすごい数があるはずなのに、どれかが「絶対」って感じるのはなんでなんだろう?真実は一つと思いがちだけど、どんな薄い紙にも表と裏があるように、全然違った見え方がある。常識と思っているものは、その一つにすぎない。真実は、どの角度から見るかによって全然違う解釈がある。

 

◯ネガティブ感情にも意味があるのか

・人生で一番身につけるべきは、感情のコントロール。ネガティブ感情を抑えて、自由自在にポジティブ感情を発揮できるようになると、「人生まぁ大丈夫だ」って思えるはず。

・ご機嫌が◯で、不機嫌が×かというと、そうじゃないと思う。全ての感情には、いい悪いじゃなくて役割がある。例えば、不機嫌な時は物事を厳密に考えやすくなる。

・そもそも人類に最初にあったのは、「これは危ないぞ」といった目先の危機を乗り越えるためのネガティブ感情。その最たるものが「怒り」と「恐怖」。

・人間は中長期的に生き延びるためにポジティブ感情を生み出したとも言われている。そう考えると、やっぱり全ての感情には意味があるし、特定の感情に偏るのは良くないなと思う。

・「感情の振り返り」。ネガティブ感情、ポジティブ感情を紙に書き出していって、砂金どれを感じたかなってチェックしていく。それでチェックが付かなかった感情を会えて体験しにいく。

・感情と思考は結びついているので、いろんな感情を持った方が、世の中をいろんな角度から眺めることにつながると思う。

・「怒り」は切羽詰まった状況を短期的に解決したいときにはすごく重要。怒りや憤り、恐怖は、人の思考を進めて面白い思考を生んでくれる。

 

◯ハーバード発「感情のチェックリスト」

・ネガティブ:怒り、イライラ、悲しみ、恥、罪、不安/恐怖

・ポジティブ:幸せ、誇り、安心、感謝、希望、驚き

⇨「希望」はポジティブ感情の中でも際立っておもしろい。希望を経験した人じゃないと感じられないもの。はじめから、希望に満ち溢れている人はいない。絶望を経てからのトランポリンで「希望」が生まれる。

 

◯習慣化

・物事を始める時の感情は、「希望」か「恐怖」のどちらかだと言われている。

・継続のための感情は、ハッピーとかエンジョイとか。最終的に習慣になると、もう何も感じない状態になる。

・歯磨きしている時って感情なんて動かない。習慣化ってあそこまで行かないとダメ。何かを習慣化するのが上手い人は、感情のコントロールが上手い人。

・自分を本当に動かしてくれる感情は何なのか。それを理解しておくことは絶対に人生の役に立つはず。

 

◯成長

・人が成長するって時は、「積み上げていくことによる成長」と「ゆらぎからの学び」の両方がある。「ゆらぎ」は「余白」といってもいいかもしれない。「ゆらぎ」やコンプレックスみたいなものを持ち続けている人の方が、長い目で人生を見たら活躍できているという現象もある。

・自分が苦手なことにチャレンジして克服してきた人っていうのは、やっぱり本物の自信を持つし、深い満足を得られる。

・「得意」と「好き」だけでやっていくと、ある程度は、成長する。でも壁にぶち当たった時に、そこからどう成長していいかわからなくなる。

 

◯好奇心

・好奇心がある限りは「学び」のモチベーションはずっと続く。一方で好奇心が生まれるのを一番邪魔しているのは、僕らの理性。理性が先に来ると、普通のものを見て「普通だな」と思うようになってしまう。そうすると当然、好奇心は生まれなくなる。

・好奇心を産むために最も大切なのは、5W1Hじゃなくて、ワンダー、普通のことを不思議だと思うセンス。

 

◯楽しい

・実は「楽しいとは何か?」という問いは、哲学的にも科学的にもほとんどわかっていない。

・一方で「幸せ」は昔からよく研究されていて、心理学的には3種類あると言われている。

①快楽

②意味

③没頭

 

◯幸せの先延ばし

・人って、常に「幸せ」の先延ばしをしているように思う。こういうもんが手に入れば、幸せになれるだろう。今の自分が満たされていないのは、これが足りないからだって、足りないものの埋め合わせをずっとやっている。

・自分とはどういう人間でありたいんだろう、ということを意識して普段から考えていないと、どんなに成功や栄光を手にしても幸せにはなれない。

・「こうなりたい」という欲望じゃなくて、自分がどのような状態でいたいか(To be)考えることが大事。

 

 期待以上に示唆に富んでいました。人が自然ととっている行動・思考、そして人が自然と感じる感情。これらに意識を向け、少し発想を変えてみると、それだけで普通のことが幸せに感じるのかもしれません。そういえば、2か月以上毎日取り組んでいる感謝ワークを通じて、日常の世界の見え方が変わってきていることを実感していますが、それに近いものがあるかなぁと思った一冊でした。

どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた

どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた

 

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