MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

岡部語録(岡部隆司、編集:岡崎太郎)

『岡部語録』(岡部隆司、編集:岡崎太郎)

 本書は、福岡県で(株)ココシスを経営されている著者の還暦インタビューです。本書は、友人から献本いただき拝読させていただきました。私は初めて著者のことを知ったのですが、「感謝の朝礼」で有名な方なんですね。本書はインタビュー形式で、著者の経営哲学、人生哲学を引き出していくというスタイルの内容でした。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯ココシスグループ紹介の一文より

・長時間の感謝の朝礼、取締役を選挙で決めること、トップダウンではなく社員らで話し合って決めるなどユニークな手法が大げさに取り上げられますが、表面的に見える制度やシステムより、コアに息づくココシスグループスタッフ全員の高い自立精神と、ミッション追求のレベルの高さ、そして大きく深い愛の力があってこそ実現している。

 

◯推薦図書

・『7つの習慣』

・『福沢諭吉自叙伝』

・『ベンジャミンフランクリン自叙伝』

・『ガンジー

・『夜と霧』

・『史記

・『第8の習慣』

 

◯両善説

・人間には性善説性悪説の両方あるくさ。悪もあるんだ一人の人に。一人の人の中にね。あるときは性善説だし、あるときは性悪説。こいつ悪いなぁと思っても人間には両方ある。

 

論語

・ほら僕が我慢できんけんね、なんでも。論語の最後にさぁ、多少道が外れても、愛される人になりなさいってのが、あったやない。「則を超えず」って、少々悪いことをしても、可愛がってもらえと。いや、可愛がってもらえるような私になりますみたいにね。歳とともにさ、四十にして惑わず、六十で天命を知って、それから・・・

 

◯傾聴

・コツはあった。東山紘久さんの『プロカウンセラーの聞く技術』という本で助かった。この中に聞けないのには、まぁ訳があると。なんで聞けないかといえば、自分と意に反する時に、後々あなたも同意したじゃないですかっていうことを怖がって聞くのを自分自身が妨げているみたいな話。例えば、「ねぇ太郎ちゃん、あいつおかしいと思わん?」みたいな。

・それが後々、政治的に利用されることを恐れて簡単に「うん」とは同意できない。これで聞くのが難しくなる(同意できないことに関して聞きづらくなる)。

・その本にはさ・・・、そういう場合には「あなたはそう思っているのよね」と言いなさいと。まぁ、言葉は言わなくていいのさ。「あなたはそう思っているのよね」と、そういう気持ちで聞けばいいんだと。そもそもあなたが思っているような政治的なことは、ほとんど起きませんよと。それに、もし起きたとしても、私は「あなたはそう思っているのよね」をちゃんと認識していたと返せばいいと(同意とは違う)。この考え方で、俺は飛躍的に聞けるようになったんだ。

 

◯『7つの習慣』で好きなパート

・一項目、一項目は他の本でも似たようなことは書かれていると思うんだよ。だからこの本のすごいのは、実はあの順番なんだよね。まず個人の自立がスタートだと、順番をつけたところが、コヴィーさんの凄さったいね。俺も読んでハッと思ったもん。

・自立を成長させることって着目は凄いね。どうしたってよ、自立してないやつに何を働きかけても一緒やない。被害者意識になるだけで主体性が発揮できない。

・俺が思うに、よく経営をスポーツの監督とかのセミナーに聞きに行って、確かに勉強にはなるけどさ、役に立たないよね。そもそも、オリンピックに行こうという、初めから自立する志のあるスーパーな選手と、その辺の労働者を一緒にしちゃあ無理ですよ。どう考えてもベースが違いすぎる。残念だけど参考にさえならない。同じ土俵の話ではない。もう馬鹿じゃなかろうかと思う。それからすると、コヴィーさんの話は地に足がついていると思った。

 

◯わかる、できる

・自分自分の時間軸、相手は相手の時間軸を、生きているからね。違和感を覚えるのは、まだわかっていないね。わかったねというのは、自分もわからなかったように、時間がかかるものだから。つまりは時間軸、時空の概念がなくなると、うまくいくんじゃなかろうか。

・きっとそのうちできるようになるからね。わかる世界観と、できる世界観がある。わかるけど、できない奴はたくさんいるよ。それが世の中だよね。ありがたいことに、ある程度やっていくと、わかる人より、ちゃんとできる人にパワーが集まるから、今日・明日できなくてもそれなりに時間が経過すれば、そういう序列が生まれるんじゃない。結果は出せるよね。できるってすごいよ、何にしてもさ。

 

◯最近の人生の課題

・やっぱり思考の成長よね。自分の中の思考の成長よね。パラダイムが変わることによって人生観変わるやない。自然界は何も変わってないけれど・・・。「合格」当一方を聞けば、天にも昇るような気持ちになるし、不思議なもんでさ、空さえも青く感じるよね。人間は影響されやすいもん。彼女にふられたら、晴れた日でも、どん曇りに感じて、オーバーな人は真っ暗闇と言うんだからね。そう感じる中、自他の中でそれを解決していくって作業っていうのか。

・コントロールは難しいよね。愛と仁やないかな、人に話すことによって救われたり、誰かを思いやることによって助かったり。それはその青天霹靂とか、あのいろんなことができる時の自他よね。その中に幸せてあるっちゃないかな。人間の業の中にね、どうしようもない・・・。振り切っても、理屈ではわかっていても、好きな女と別れてしまうみたいな。反対に嫌いでも別れられない。そういう人間のどうしようもない性分の間との関係の中で・・・。

 

 著者の経営を続けてこられた経験に基づく考え方や哲学なので、しっかりと考え方が伝わってくる内容でした。やはり、体験に基づく発言にはブレない力強さがあるともいます。学ぶことも大事ですが、発揮することがもっと大事で、発揮した結果必要になることをまた学んでいく。このサイクルをしっかりと回すことが、より自分を高めていくことにつながると改めて感じました。

岡部語録 〜還暦特別インタビュー〜

岡部語録 〜還暦特別インタビュー〜

 

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