MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

完訳 7つの習慣(スティーブン・R・コヴィー)<その6><第5の習慣>

『完訳 7つの習慣(スティーブン・R・コヴィー)』(◯)<その6><第5の習慣>

 

 深い良書なので、分割してまとめています。

 大きな枠組みとしては、第1〜第3の習慣は「依存⇨自立への変革(私的成功)」、「第4の習慣化から第6の習慣化は、自立⇨相互依存への変革(公的成功)」です。

 さて、第5の習慣は、「まず理解し、そして理解される」です。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯人間関係についての最も重要な原則

・「まず理解に徹し、そして理解されること」。この原則が効果的なコミュニケーションの鍵。

・私たちはえてして、問題が起きると慌ててしまい、その場で何か良いアドバイスをしてすぐに解決しようとする。しかし、その際私たちはしばしば診断するものを怠ってしまう。まず問題をきちんと理解せずに解決しようとするのである。

 

◯共感による傾聴

・「まず理解に徹する」ためには、大きなパライムシフトが必要である。私たちはたいていまず自分を理解してもらおうとする。ほとんどの人は、相手の話を聞くときも、理解しようとして聴いているわけではない。次に自分が何を話そうか考えながら聞いている。話しているか、話す準備をしているかのどちらかなのである。

・すべての物事を自分のそれまでの経験、いわば自叙伝(自分の経験に照らし合わせ)を相手の経験に重ね合わせて理解したつもりになっている。

 

◯私たちの聴く姿勢

・たいてい次の4つのレベルのいずれである。

①相手を無視して話を全く聞かない

②聴くふりをすること。「うん、うん」とあいづちは打つが、話の中身はまったく耳に入っていない。

③選択的に聞く態度。話の部分部分だけを耳に入れる。

④注意して聞く。神経を集中して、相手が話すことに注意を払う。

 実は、もう一段上、5番目のレベルがある。

⑤相手の身になって聴く。共感による傾聴である。

・共感による傾聴とは、まず相手を理解しようと聴くことであり、相手の身になって聴くことである。相手を理解しよう、本当に理解したいという気持ちで聴くことである。パライムがまったく違う。

・共感とは、相手の視点に立ってみること。相手の目で物事を眺め、相手の見ている世界を見ること。それによって、相手のパラダイム、相手の気持ちを理解すること。

・共感して聴くには、耳だけではなく、もっと大切なのは、目と心も使うことである。相手の気持ちを聴き取る。言葉の裏にある本当の意味を聴き取る。左脳だけでなく、右脳も使って、察し、読み取り、感じる。

 

◯4つの自叙伝的反応

 私たちは、えてして自分の過去の経験、いわば「自叙伝」を相手の話に重ね合わせてしまうため、人の話を聞く際に次の4つの反応をしがちになる。

①評価する(同意するか反対する)

②探る(自分の視点から質問する)

③助言する(自分の経験から助言する)

④解釈する(自分の動機や行動を基にして相手の動機や行動を説明する)

 

◯スキルの4つの段階

・共感による傾聴の全体を氷山に例えるなら、スキルは海面に突き出た一角、いわば表に出る部分である。このスキルには4つの段階がある。

①第一段階:相手の言葉をそのまま繰り返すこと

②第二段階:相手の言葉を自分の言葉に置き換えること

③第三段階:右脳を使い始める。相手の気持ちを言葉にする。

④第四段階:2番目と3番目を組み合わせたものになる。相手の言葉を自分の言葉に置き換えると同時に、相手の気持ちも言葉にする。

 

古代ギリシャの哲学(エトス、パトス、ロゴス)

・エトス:個人の信頼性

・パトス:感情、気持ち

・ロゴス:論理

⇨まず人格があり、次に人間関係があり、それから自分の言いたいことを表現する

 

◯一対一

・第5の習慣の効果が大きいのは、あなたが自分の「影響の輪」の中心に働きかけるから。

・自分の影響の輪にエネルギーを注いでいれば、だんだんと他者を深く理解できるようになる。

 

◯まとめ

・まず理解に徹する。問題が起こる前に評価したり処方したりする前に、自分の考えを主張する前に、まず理解するよう努力する。それは、人と人が力をあわせる相互依存に必要不可欠な習慣である。

・お互いに本当深く理解し合えたとき、創造的な解決策、第3の案に通じる扉が開かれる。私たちの相違力が、コミュニケーションや進歩を妨げることはなくなる。それどころか、違いが踏み台になって、シナジーを創り出すことができるのである。

 

 誠に耳が痛い話が多いのがこの第5章。人の話を聞いているようで実はきちんと聞いていなくて、次に話す準備をしているというのは、よくある話。相手の話を100%聴いて、同じ景色を見て、同じ気持ちに浸り、横の関係を築くという姿勢自体、私が本当の意味できちんと意識できたのは、コーチングを学んで、実際にクライアントさんに数多く出会い、話を聞く中でようやくできてきました。意識しないとついつい、自分が次に正しいことを言おうというところに意識が向いてしまいますよね。この第5章も大切な習慣です。

完訳 7つの習慣 人格主義の回復

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