MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

完訳 7つの習慣(スティーブン・R・コヴィー)<その1>

『完訳 7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー)<その1>(◯)

 最近、書評をアップするのに間が空いていたのは、この600ページ超の良書を読んでいたからです。あまりに内容が濃い良書なので、数回に分けてまとめたいと思います。旧版を3回読んだのですが、良書とわかっていても読みにくかったので、途中で挫折気味になって最後まで辿り着き、理解出来ない状態が続いていました(なので、『僕に7つの習慣を教えてよ』という子供版まで降りて行きました)。

 しかし、この完訳版は読みやすいです。「7つの習慣」の研修ファシリテーターをやっている親友から紹介してもらったのですが、勝手読み直してよかった!!理解が一気に進んでいます。こんな良書だったらもっと早く精読しておけばよかったーって思っています。完全に習慣化して、何も考えなくても実行できるレベルまで引き上げたいと思う濃い1冊です。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

インサイド・アウト

 インサイド・アウトとは、一言で言えば、自分自身の内面から始めるという意味。内面の最も奥深にあるパラダイム、人格、動機を見つめることから始める。インサイド・アウトのアプローチでは、例えばあなたが幸福な結婚生活を望むなら、まずはあなた自身が、ポジティブなエネルギーを生み出し、ネガティブなエネルギーを消し去るパートナーになる。

 

①第一の偉大さ、第二の偉大さ

・第一の偉大さ:優れた人格を持つこと

・第二の偉大さ:才能に対する社会的評価

⇨テクニックだけを考えるのは、一夜漬けの勉強と似ている。一夜漬けで試験をうまく乗り切れることもあるだろうし、良い成績だって取れるかもしれない。だが、日々の積み重ねを怠っていたら、強化をしっかりと習得することはできないし、教養ある人間にはなれない。農場に一夜漬けは通用しない。春に種蒔きを忘れ、夏は遊びたいだけ遊び、秋になってから収穫のために一夜漬けで頑張る。そんなことはありえない。

 

パラダイムの力

・「7つの習慣」は、効果的に生きるための基本的な原則を具体的な形にしたものである。「7つの習慣」のどれもが基礎であり、第一の偉大さにつながるものである。これらの習慣を身につけるには、継続的な幸福と成功の土台となる正しい原則を自分の内面にしっかりと植え付けることにほかならない。

・人は皆それぞれの頭の中にたくさんの地図を持っている。これらの地図は2つに大別できる。

1)「あるがままの状態」が記された地図(現実)

2)「あるべき状態」が記された地図(価値観)

 私たちは、経験することのすべてをこれらの地図を通して解釈している。地図が正確かどうかを疑うことは滅多にない。地図を持っていることすら意識しないのが現実だ。

・私たちは世界をあるがままに見ているのではなく、私たちのあるがままの世界を見ているのであり、自分自身が条件付けされた状態で世界を見ている。

・正しくても間違っていても、私たちのパラダイムが態度行動を決め、ひいては人間関係のあり方にも影響する。

パラダイムと人格を切り離すことはできない。人間においては、あり方は見方に直結するのであり、「どう見るか」と「どうあるか」は強い相関関係で結ばれている(見方=あり方)。

 

③原則中心のパラダイム

 原則は価値観とも異なる。価値観は地図であり、原則は現実の場所である。正しい価値観を置けば、真理を手にし、物事のあるがままの姿を知ることができる。原則は、人間の行動を導く指針であり、永続的な価値を持っていることは歴史が証明している。

・公正の原則(平等と正義という概念の土台)

・誠実と正直(協力関係や長続きする人間関係、個人の成長の不可欠な信頼の土台)

 

・可能性(私たちは常に成長することができ、潜在する能力を発見し、発揮し、さらに多くの才能を開花できるという原則)

・成長(可能性に関連する原則)

・忍耐や教養、励まし(成長に必要な原則)

 

◯7つの習慣とは

 「7つの習慣」とは、新しいレベルの思考。原則中心に据え、人格を土台とし、インサイド・アウト(内から外へ)のアプローチによって、個人の成長、効果的な人間関係を実現しようという思考である。

・人格は繰り返し行うことの集大成である。それ故、秀でるためには、一度の行動ではなく習慣が必要である。

・私たちの人格は、習慣の総体である。「思いの種を蒔き、行動を刈り取る、行動の種を蒔き、習慣を刈り取る。習慣の種を蒔き、人格を刈り取る。人格の種を蒔き、運命を刈り取る」

・習慣とは一貫性であり、時に無意識に行われる行動パターンであり、日々耐えず人格として現れる。

・習慣は太い縄のようなもの。毎日一本ずつ糸を撚り続けるうちに、断ち切れないほど強い縄になる。

 

①習慣の定義

・本書でいう「習慣」とは、次の3つが交わる部分と定義する。

1)知識(何をするのか、なぜそれをするのかという問いに答える理論的なパラダイム

2)スキル(どうやってするのか)

3)意欲(動機であり、それをしたいという気持ち)

・自分のあり方/見方を変えることは、上向きのプロセスである。あり方を変えることによって見方が変わり、見方が変われば、さらに在り方がかわるというように、螺旋を描きながら上へ上へと成長していく。

・このプロセスで痛みを感じることもあるだろう。より高い目的を目指し、そのために目先の結果を我慢する意志がなければ、変化を遂げることができないからだ。しかし、このプロセスこそが、私たちの存在目的である幸福を作り出すのである。

 

②成長の連続体

・『7つの習慣』は断片的な行動規範を寄せ集めたものではない。成長という自然の法則に従い、連続する段階を踏んで、個人の効果性、人間関係の効果性を高めて行く統合的なアプローチである。依存から自立へ、そして総合依存へと至る「成長の連続体」を導くプロセスである。

◾︎依存(私的成功)⇨自立

1)主体的である

2)終わりを思い描くことから始める

3)最優先事項を優先する

◾︎自立⇨相互依存

4)Win-Winを考える

5)まず理解に徹し、そして理解される

6)シナジーを創り出す

◾︎︎再新再生

7)刃を研ぐ

・依存:「あなた」というパラダイム

 望む結果を得るために、他者に頼らなくてはならない。

・自立:「私」というパラダイム

 自分の力で望む結果を得られる

・相互依存:「私たち」というパラダイム

 自分の努力と他者の努力を合わせて、最大限の成功を手にする。

 

◯『7つの習慣』がもたらしてくれること

・第1〜3の習慣(私的成功の習慣)に対して「変化の扉」を開くことによって、あなたの自信は目に見えて増すだろう。

・第4〜6の習慣(公的成功の習慣)にたして「変化の扉」を開けば、うまくいかなくなっていた大切な人間関係を癒し、築き直す意欲が生まれ、そのための力を解き放つことができるだろう。

・第7の習慣を身につけることによって、それまでの6つの習慣を再新再生して磨きをかけ、真の自立、効果的な相互依存を実現できるようになる。第7の習慣は、自分自身を充電する習慣である。

 

 この後、第1の習慣から順番に解説が始まります。次回以降でまとめていきます。

7つの習慣特装版「ウィークリー・チャレンシ?」付属

7つの習慣特装版「ウィークリー・チャレンシ?」付属

 

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