『最高の自分を引き出すイチロー思考』(児玉光雄)
著者は日本では数少ないプロスポーツ選手・スポーツ指導者のコメント心理分析のエキスパートとしても知られる大学教授の方です。本書は見開きで右ページにイチロー選手が語った言葉、左ページに解説という仕様で99のテーマについて書かれています。中でも何を積み上げ、どのように行動していくのかというイチロー選手の思考に重点が置かれており、どんな観点で習慣化に取り組めば良いのかという観点が参考になりました。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯やめるのが苦痛になるくらい、努力を「快感」にしてしまおう
・「僕がどうして毎日練習をやるか?その理由は簡単です。いいときの状態ってすぐに忘れるじゃないですか。それを忘れないように毎日やるのであって、それ以外のなにものでもありません。「継続は力なり」なんです」
⇨習慣は3週間続ければ根付くという。だから、初めは嫌でも、毎日同じ時間に同じことをやる癖をつければことをやる癖をつければ良い。小さなことをコツコツとやることの中に快感を求めよう。
◯自分の成長を加速するには?この「軸」を強化すればいい
・「トレーニングは木と同じ。葉っぱや幹とか、見えている部分よりも根っこが大きいものだし、まず根っこを大事にしないといけない」
⇨私たちはどうしても、早く習得できるものを優先してしまう。しかし、習得に時間のかからないものは、たいてい、たいしたものではない。木の「根っこ」に当たるものは習得に時間がかかる。習得に時間がかかるものほど、進歩の実感は乏しい。だから、多くの人々が途中で挫折し、やめてしまう。
◯どんな人でも新記録を打ち立てられる方法
・「結局は細かいことを積み重ねることでしか頂上にはいけない。それ以外に方法はないということですね」
・私たちはともすれば、できるだけ”手っ取り早く”大きな成功を勝ち取ることを考えてしまう。しかし、「夢を叶える」ということは、本来、長い時間をかけて、コツコツと地道な努力を積み上げることで成し遂げられるもの。若くして短期間で高みに上り詰めた人ほど、その凋落も早い。
◯未熟者だろうが、自分の仕事にはプライドを持とう
・「例えば、僕が監督なら、オールスターで「僕は打席に立つだけでいい」という選手がいたらクビにします。そりゃそうでしょう、オールスターですよ?それなりに選手だって選ばれたプライドがあるはずです。そのプライドもない選手なんて先が見えている」
⇨「高度な技を身につけるためには時間がかかる」という事実を再認識する必要がある。周囲の人間を感動させるような仕事をするために、その仕事に心からのめり込もう。仕事を通した成長を追求することこそ、プライドを身につける近道である。
◯夢を叶えたい人に持って欲しい3つの信念
・「自分にとって満足できるための基準は、少なくとも誰かに勝ったときではない。自分が定めたものを達成したときに出てくるものです」
⇨人の評価が木になるうちは一人前ではない。追い求めるものをしっかりと見据え、信念を持って実現することに全力を尽くそう。
①自分が定めた夢をひたすら追い続ける。
②失敗を厭わず、自分で決めたやるべきことを持続させる。
③夢を実現するために、不可欠な面白くない作業を黙々とこなす。
◯一流の仕事人ほど、単純作業の奥深さを知っている
・「僕、同じことをずっとできるんですよ。(オフの間)この4カ月日本にいたんですけど、車の中とか部屋の中とか、ほぼ1曲でいけたんですよ。僕そういうタイプなんです」
・「単純な作業ほど、合理的な考えを持っている人って省きがちじゃないですか。見えないものがいっぱいあると思うんです。狭い世界でもずっと見ていたら、いろんなことが見えてくるんです」
⇨結局、単純作業を気の遠くなるほど反復することの大切さを知っているのが、一流の仕事人。
◯「いつもの仕事」を一気に面白くする秘訣
・「10年やっても新しいことが出てくる。新しい気持ちが生まれてくる。そういうことによって野球がますます好きになるのですね」
⇨飽き飽きするようなルーティンワークの中に問題点を発見し、改善する。それが「積み重ねる作業」のモチベーションを上げる特効薬となる。偉大な成果は、地味で目立たない作業の積み重ねによってしか生まれない。
◯決めては「自分でコントロールできる目標」にすること
・「見ている人が楽しむのは勝手ですが、相手が絡むことに関してコントロールするのは不可能。自分で管理することができないものを意識することはできないですね」
⇨首位者に関してあまり熱心でないのは、他人との争いが絡む要素が多く、しかも四球を選ぶ消極思考が介入してくるから。その点、ヒット数は自分がバットを振って数字を積み上げていける。結局、仕事で成果を上げるには、目標は、自分でコントロールできるものでなければならない。
◯自動的に成功する方法
・「今まで自分がやってきたことをしっかり継続することが、イチローという選手の能力を引き出すためには、外せないことです」
⇨スポーツや芸術分野で卓越した人たちの共通点は、毎日「同じ時間に同じ場所で同じこと」をやり続けること。
◯一番大きな宝を手に入れるのは、こんな”寄り道”を一番多くした人
・「一番の近道は、遠回りすることだっていうような考えを、今は心に持ってやっているんですよ。これが唯一の道なんじゃないかと、思えるようになったんですよ」
⇨遠回りというのは、使いもしない無駄な知識をむやみに吸収することとは違う。何の役に立つのか、今はわからないが、興味をそそられることに、遊び心を持って取り組むということ。
私はイチロー選手の大ファンなのですが、プレーの美しさや偉大な成績ということもありますが、取り組み姿勢の素晴らしさがとても尊敬できるからなんです。そんなイチロー選手の取り組み姿勢が垣間見られる本書は、日々何に取り組み、何を積み重ねていくのかという点においてとても刺激になる内容でした。
最高の自分を引き出すイチロー思考: いくつになっても成長するコツ。逆境という「壁を越える」コツ。 (知的生きかた文庫)
- 作者: 児玉光雄
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2016/06/22
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る