『女子力男子』(原田曜平)
著者は、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーで、「さとり世代」「ヤンキー経済」でも著名な方です。女子力男子とは、従来女性がやっていたり、得意とされてたりしていた領域の力が備わっている男性のこと。本書は、2014年に発行され、女子力男子の増加とともに消費構造も変化していることをまとめた一冊です。女子力男子には、いろんな形態があるようで、その特徴を知るだけでも楽しみながら読めます。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯第1グループ(美×他者の目を意識)
異性にモテたい人中心だが、中にはネタ的に女子キャラになることで、同性の友人にウケたいという目的の人もいる。
①ビューティー男子
・化粧水、美顔ローラー、メーキャップ化粧品など使用
・長すぎず、短すぎず爽やかヘアー
・ジャケット羽織ってオシャレ感UP
・7部丈カットソー、スキニー安定、オシャレ・キレイ革靴
・シンプルisベストなアクセサリー
②化粧ポーチ男子(小ぶりポーチに化粧品などを入れて持ち歩く)
・整髪料、歯ブラシ、香水、リップ、あぶらとり紙など
・すぐに泊まれるアイテムや人に貸せるアイテムも
・飲み会では取り分ける、気がきくいい男
・ハンカチ持たないなんてありえない
・匂い敏感、清潔感、白い靴でも一切の汚れなし
③ぶりっこ男子
・萌え袖(長袖で手の甲の大半が隠れる)が癖
・上目づかい、あひる口
・冬場はマフラーで口元隠す
・日焼け止め常備
・自撮りで目を見開く、盛れる角度を持っている。
④同化モテ狙い男子
・女性ファッション誌や少女漫画など、女性に向けて作られたコンテンツを自分が好きだからというより、「女子の心を知るための教科書」として読み込む女子力男子。
◯第2グループ(ライフスタイル×他者の目を意識)
かつてなら女性が主に担っていた領域を得意とし、それを周りにもアピールする男子。
⑤もこみち男子/パティシエ男子
・速水もこみちさんのように、オシャレで美味しい料理を作って人に振舞ったり、ソーシャルメディアに載せたい!と思っている。
・もこみち男子の多くは、料理だけでなく、スイーツを作って人にプレゼントするのも好きな人が多くいる。お菓子作りに特化している場合は、「パティシエ男子」と呼んでもいいかもしれない。
⑥スイーツ男子
・食後のデザート楽しみ
・一応体形気にしてダイエットしている(つもり)
・話題のパンケーキ食べに行きたい
・居酒屋スイーツ大好き
・コンビニスイーツ必ずチェック
⑦カフェ男子
・スイーツ男子と親戚関係のようではあるが、「カフェに行く」ということ自体に意味を見いだしている。
⑧キラキラツイート男子
・典型的な女子のようなツイートを繰り返す。
・キラキラツイートとは、充実した日々を送っていることをアピールする(リア充アピール)ツイート(特に女子のつぶやき)に対して使われている若者言葉。
⑨おかん男子
・エプロン姿が板についていたり、「今すぐ主婦(主夫)になれる」と言われたりと、家庭的な雰囲気を漂わせている。
・友達の分までお弁当を作ってくれる
・母に料理を教わった
・カレー、ハンバーグ、家庭的な料理得意
・お菓子よりもご飯
◯第3グループ(美×自己満足)
自分に似合うもの、好きなものはこれだと、自分基準で「美」を追求する男子。
⑩ビューティー男子(自己満足型)
・色白、化粧品や乳液で保湿。肌の手入れはお風呂に入るのと同じ感覚。
・日焼け止めへのこだわり
⑪カワイイ男子
・今やすっかり男子にも定着した「かわいい」を連発し、消費の選択基準も「かわいい」を重視する。
・レディース服を着こなす(女子服男子)
・タンクトップ、鎖骨見せファッション
・手足長ーーい、すね毛がない
・長めの髪、耳が隠れるヘアー
・初めての女装は文化祭、実は男子校出身?
・ニーソがポイント
・女装時の別名がある
・フリフがお気に入り、美脚自慢
・コスメは100均かドンキで揃える
⑬V系男子
・ビジュアル系バンドのようなファッションの男子。
・どぎついメークや髪形は減り、きれいなホストのようでもある。
・月1回以上美容院でカラーやトリートメントをするので美容院代がかさむ。
⑭ヘルシー男子
・若さにおごらずにストイックに健康志向を貫く。
・事務通い、細マッチョ
・色白できれいな肌
・アサイーがマイブーム、シリアル気になる
・ぴったりめのパンツ
◯第4グループ(ライフスタイル×自己満足)
企業にとって市場拡大の可能性の大きいエリア。
⑮ ぬいぐるみ男子
・羽生結弦さんのような・・・
・お気に入りの1人(匹?)は常に一緒(名前もついている)
・男も女もキュンな女顔
・ベッド上にも大量のぬいぐるみ
・リュックにたくさんのマスコット
⑯男子会男子
・男子会は若者の中ではかなり定着している。女子力男子に限れば、そこいらの女子会よりも女子力発揮されているのでは?という集まりさえある。
・My箸、お箸の持ち方完璧
・男友達が多い、男同士で恋愛相談
・がっつりご飯の方が好き
⑰ママっこ男子
・洋服は100%といっていいほど、母親と一緒に選んだ。
・恋愛相談も母親。
・食後に母親と「お茶会」をしておしゃべりする習慣
・ママLove
⑱女子会男子
・女子の輪の中に男一人で混じり、馴染み、まるで完全な「女子会」状態になることある。
・いいやつだけど、恋愛対象ではない
・恋愛相談はよく受ける
⑲少女マンガ男子
・女友達が多い
・少女漫画はジャケ買い
・姉や妹がいる
・少年マンガも好き
・漫画の物語のキャラに感情移入→泣く
⑳アロマ男子
・香水や柔軟剤といった身近なもので気に入った香りを取り入れる男子が主流。
・中には、植物のアロマオイルを使った本格的なアロマテラピーに夢中になるアロマ男子もいる。
・「腹痛にはオレンジのオイルがいい」というように、さっと効用を語れる。
私の場合は、スイーツ男子、カフェ男子は当確なのですが、最近では料理ができるようになりたいなぁと思って取り組み始めているので、次は、「もこみち男子」を取り込もうとしているところですね。読んでいると、価値観の多様化というか、ステレオタイプではなくなり、男性/女性という単純な切り口でマーケティングができなくなっている(それでは隙間が大きくなっている)感じが伝わってきます。この辺りは、マーケティングをお仕事にされている方に聞くのが一番かなと思います。