MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

日本酒の科学(和田美代子)

『日本酒の科学』(和田美代子)(◯)

本書は、日本酒初心者の著者が、菊正宗研究所長監修のもと、日本酒とは何か、というテーマを皮きりに、原材料や微生物にスポットを当てた日本酒へのこだわり、特に生酛作りの話に多くの部分が割かれています。日本酒の製造工程もわかりやすく書かれており、日本酒を飲む際の背景知識としても役立つ一冊です。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯使用原料と精米歩合

吟醸酒

・使用原料:米、米麹、醸造アルコール

精米歩合:60%以下

大吟醸酒

・使用原料:米、米麹、醸造アルコール

精米歩合:50%以下

純米酒

・使用原料:米、米麹

精米歩合精米歩合規定なし

純米吟醸酒

・使用原料:米、米麹

精米歩合60%以下

純米大吟醸酒

・使用原料:米、米麹

精米歩合:50%以下

特別純米酒

・使用原料:米、米麹

精米歩合60%以下または特別な製造方法

本醸造酒

・使用原料:米、米麹、醸造アルコール

精米歩合:70%以下

特別本醸造酒

・使用原料:米、米麹、醸造アルコール

精米歩合60%以下または特別な製造方法

 

 一麹ニ酛三造り

①精米

②洗米

③蒸米

④麹作り:蒸米に種麹を振りかけ、麹菌を繁殖させる

⑤酛造り:麹と蒸米と水、酵母を入れて酒母(酛)を造る

⑥醪(もろみ)造り:酒母に麹、蒸米、水を加えて醪を造り、発酵させる

⑦搾り:醪を絞って酒を取り出す

⑧ろ過・火入れ

⑨貯蔵・瓶詰め

 

 ◯酒米

酒米に求められる特性

 ①精米中に砕けにくいこと

②米粒が大きいこと

③「心白」の形と大きさ、位置が程よいこと

④外硬内柔であること

・雄町:米が柔らかで 溶けやすく 、味に膨らみのある濃醇な味の酒になる。

・五百万石:クセのないスッキリとした味わいの酒に仕上がる。

・美山錦:山田錦、五百万石に次ぐ作付面積。秋田・長野で吟醸酒によく使われている。

出羽燦々:美山錦の改良種。淡麗で綺麗な酒ができる。

山田錦:現在の最高品種。味や香りがふくよかで広がりのある酒質になる。

 

◯仕込み水

・「灘の男酒、伏見の女酒」

  灘の水(宮水)は比較的硬度が高いので、発醇が進みやすく、後味の引き締まった味になり、伏見の水(御香水)は軟水で、ここで作られた酒は発酵が穏やかで、まろやかな味 。

鉄を嫌う日本酒造りの現場では、水だけではなく、タンクや桶といった道具にも、クギなど鉄分が溶け出す素材は禁物。

 

◯麹

・日本酒は米のデンプンからの糖分(グルコース)を原料として酵母がアルコール発酵したもの。ただし、原料の水には糖分が含まれていない。そのため、デンプンわ糖分に変える糖化が必要。その糖化の働きをするのが麹。

 

◯ラベルを読み解く

①アルコール分

②原材料名(水は書かない)

精米歩合特定名称酒の場合のみ)

④種類(「日本酒」と書くことも可)

⑤内容量

⑥製造時期

⑦製造者の名称及び製造場所在地

 ・特定名称酒

 吟醸酒大吟醸酒純米酒純米吟醸酒純米大吟醸酒、特別吟醸酒本醸造酒特別本醸造酒

 

◯こだわりの「吟醸酒

精米歩合普通酒の平均は70%ほどだが、吟醸酒は60%以下、大吟醸酒は50%以下。

・精米時間も二昼夜かかる。

・麹造りも特別にじかんをかけ、一晩中寝ずの管理をする。

・精米した白米を洗うのも手作業。

普通酒の場合15〜20日で済む発酵時間も30〜40日かかる。

 

◯生酒、生貯蔵酒、生詰め酒

・通常、貯蔵前と瓶詰め前の二度の加熱殺菌(火入れ)を行う。「生」というのは、この火入れをしない酒のこと。一般的には、生鮮食品を扱うように買ったらすぐに冷蔵庫に入れ、数日のうちに飲みきるタイプ。

・「本生」「生々」などと呼ばれる「生酒」は火入れをまったくしない。

・「生貯蔵酒」は、火入れをせずに貯蔵するが、瓶詰め前に火入れをする。

・「生詰め酒」は、火入れして貯蔵後に、火入れせずに瓶詰めしたもの。「生詰め酒」の代表的なものが「ひやおろし」。早春に火入れしてから貯蔵し、夏を越す間に熟成させ、秋に出荷される。

 

 日本酒を選ぶときも、飲むときも、ちょっとした豆知識があるだけで楽しくなりますね。日本酒は銘柄が多いだけに、選ぶのも迷いますが、大きく日本酒の種類や原材料で分類してみるのもいいですね。

日本酒の科学 水・米・麹の伝統の技 (ブルーバックス)

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