MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

ポジティブ心理学が1冊でわかる本(イローナ・ボニウェル)

ポジティブ心理学が1冊でわかる本』(イローナ・ボニウェル)

 ポジティブ心理学とは、人生を真に充実したものにするのは何かという問いのもとに、幸福や強みなどのポジティブな要素を研究し、私たちの暮らしに役立つものを提供してくれる心理学です。本書は、ポジティブ心理学の概要が1冊でわかるように要点をまとめた一冊です。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯ポジティブ感情の価値

①ポジティブ感情は、思考と行動のレパートリーを拡張する。

②ポジティブ感情は、ネガティブ感情を打ち消す。

③ポジティブ感情は、レジリエンス(回復力)を高める。

④ポジティブ感情は、心理的な幅を広げる。

⑤ポジティブ感情は、上方へ向かう、発展スパイラルを引き起こす。

 

◯ネガティブ感情がもたらすポジティブな影響

①基本的な性格を変えるきっかけになる。

②心の奥にいざない、本当の自分と対話させてくれる。

③私たち自身について学び、理解を深め、世界をよりよく認識させてくれる。

④謙虚さ、道徳的な配慮、思いやり、共感などを身につけることができる。

 

◯幸福と主観的ウェルビーイング

ゼロサム理論

 幸福とは循環的なもので、幸福な時期と不幸な時期が交代でやってくる。

 ・適応理論:

 幸福は人生のネガティブ/ポジティブな出来事に影響を受けるものの、その後すぐに基準点に戻る。

セリグマンの幸福の公式

 「H=S+C+V」:幸福(Happiness)=あらかじめ設定された範囲(Set range)+環境(Circumstances)+自発的にコントロールできる範囲(Factors under Voluntary Control)

 

◯主観的ウェルビーイングに関係しているもの

・楽観主義

・外交性

・社会的繋がり

・結婚していること

・情熱を傾ける仕事があること

・宗教やスピリチュアリティ

・趣味

・よい睡眠と運動

・社会階級

・主観的な健康

 

◯主観的ウェルビーイングにあまり関係ないもの

・年齢

・外見的な魅力

・お金

・性別

・教育レベル

・子供を持つこと

・より気候の良い地域へ引っ越す

・防犯

・住居

・客観的な健康

 

◯時間と人生

・34%の人はいつも急かされているように感じ、61%は時間の余裕がないと答え、40%の人はお金よりも時間不足に悩まされている。

・時間的視野

①未来志向:

 将来の目標や報酬のために働こうと考え、しばしば現在の楽しみを犠牲にしたり、満足を先延ばしにしたり、時間を無駄にするような誘惑を避けたりする。
②現在快楽:

 その瞬間を生き、快楽を求める。
③現在宿命:

 無力感や絶望感を持ち、自分の人生は外的な力(運命的な力や政府の方針など)に支配されていると信じている。
④過去肯定:

 自分の過去を温かく楽しいものと認識し、しばしば感傷的で郷愁的に過去を思い出す。
⑤過去否定:

  過去に囚われていて、自分が嫌悪感や不快感を抱いた経験ばかり思い出す。

 

◯健康的なエイジングに直接結びつかないもの

①先祖の寿命
コレステロール
③親の社会階級
④子供時代の温かい環境
⑤子供時代の主な気質
⑥ストレス

 

◯健康的なエイジングに直接結びつくもの

①ヘビースモーカーでないこと、若いうちに禁煙すること

②成熟した適応機制
③アルコールの乱用がないこと
④適切な体重
⑤安定した結婚生活
⑥運動

⑦教育を受けた年数

 

◯最大に良いものを求める代償

 後悔、機会費用、期待の上昇、自責、時間

 

◯許し

・許しの価値とは誰かに不当に扱われたとは認めながらも、その後に刺さった「心のとげ」を取り除くこと。

・許しは経験そのものを変化させることもできる。

 

◯実証済みの介入法

①3つのいいこと

・このワークを行うと6ヶ月にわたって幸福感が増し、落ち込みが軽減する。

・1週間寝る前にその日を振り返り、良かったことを3つ考える。

・3つの良いことを書きとめ、その中であなたが果たした役割を考える。
②感謝の訪問

・過去に何かをしてくれて、あなたが感謝している人のことを思い浮かべる。

・その人に手紙を書き、あなたに何をしてくれたのか、その人のおかげであなたの人生にどのような影響があったのかを書く。

・可能であれば相手の目の前にたつか座るかして、手紙を読み上げる。
③ランダム親切活動

・無作為の親切な行いは、親切にされた人を気分良くさせるだけでなく、親切にした人も幸せにしてくれる。

・重要なはタイミング。行動にバリエーションを持たせることも大切。
④積極的・建設的反応

・良い知らせに対してどうしたら「積極的・建設的」に反応できるか。まず、私はたちは何が起きたのか、理解しようと努めなければならない。

・パートナーによく意識を向け、耳を傾け、質問をし、興味を持ち、大いに喜ぶ。

・そのあとで、盛大に成功をお祝いする。
⑤特徴的な強みを特定する

ペンシルバニア大学公式ウェブサイト「オーセンティック・ハピネス」にアクセスし、40分間のVIAテストを受ける。

・受け終えると、上位の強みがわかる。

・特徴的な強みに関するフィードバックを印刷するか、書き留める。

・その後、1週間、それらの強みを活かす機会を増やすようにし、どんな気持ちになるか確かめる。
⑥新しい方法で強みを活用する

・前述の指示に従って、あなたの特徴的な強みを特定する。

・それから7日間、毎日、上位5つの強みを今まで試したことがない方法で活用する。新しい状況や、新しい人に活用するのでも構わない。

⑦セイバリング

・コーヒーや紅茶を飲むとき、最初の一口を味わう前に香りを楽しみ、体の中からあなたを温めてくれる熱い液体を感じながら、時間をかけて味わう。

・人生の大小様々な良い出来事に気づき、味わうことは、ウェルビーイング全体を高める効果的な手段の一つ。

 

   ポジティブ心理学については、まだ掴めたわけではないので、関連書籍を重ね読みする必要がありそうです。発想として受け入れやすいことは言えると思います。全体像をつかむこと+一つひとつを探求することを考えると、かなり壮大になりそうなので、まずは概要から。その中で気になったものを部分的に掘り下げようかなと思います。

ポジティブ心理学が1冊でわかる本

ポジティブ心理学が1冊でわかる本

 

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