FUTURE INTELLIGENCE(スコット・バリー・カウフマン&キャロリン・グレゴワール)
『FUTURE INTELLIGENCE』(スコット・バリー・カウフマン&キャロリン・グレゴワール)
これからの時代に求められる「クリエイティブ思考」が身につく10の習慣という副題がある本書。10のテーマに分け、クリエイティブ思考が生まれる背景について解説した一冊です。クリエイティブ思考の魅惑的な複雑さに光をあてることで、読者の矛盾や複雑さを受けれて、より深いレベルの自己理解と自己表現、ひいてはイノベーションへと導くことを目的に書かれています。
(印象に残ったところ・・本書より)
①遊び
・子供は遊びを通して自分自身のことや、周りの環境と自分との関係を理解しようとしている。
・「ごっこ遊び」は、子供たちの想像力や好奇心を育むことがわかっている。
・子供時代を生き延びた人は皆、人生を生きるのに必要な素材を手にしている。
・遊びに本質的な機能が一つあるとすれば、それはクリエイティブ思考と柔軟な脳の発達を促すことだ。
・クリエイティブな仕事には、真剣な時間と遊びの時間がある。往々にして最善の結果が出るのは、両者をうまく組み合わせた時。
②情熱
・「情熱に火をつけることは、大きな仕事をやり遂げるための唯一の方法」(スティーブ・ジョブズ)
・才能の有無とは、うまくなりたいという強烈な熱意を持てるかどうかで決まる。
・「調和的な情熱」:自ら創作に向かう。見栄えの良さや名声、あるいは他者を打ち負かすことにより、習熟と熟達、成長が重視される。
・「脅迫的な情熱」:外的な要因によって創作するよう追い立てられる。時には達成しがいのある目的に彩られているが、さらなる成長につながるはずの障害を迂回しようとする。
③夢想
・「外に目を向ける人は、夢を見る。うちに目を向ける人は、覚醒する」(カール・ユング)
・未来を創造するための第一歩は、未来を夢見ること。
・夢想は、自分が何を考え、どう感じているかを知るための、かけがえのないツール。
④孤独
・創造という行為は、しばしば孤独な内省の中で展開されていく。芸術作品を生み出すには、自分の心と親密になれる孤独な場所が必要。「一人部屋」は、クリエイティブ思考の人間にとって必需品。
・孤独とは、単に気が散るものを避けて暮らすというだけではない。それは、心の中で内省し、新しいつながりを築き、意味を見出すためのスペースを作ること。
・クリエイティブ思考が最も深まるのは、他者から離れ、内面に関心を向けた時
⑤直感
・直感は知性よりも強力。
・「自分で捻出したアイデアより、降って湧いたアイデアの方が面白い。鉛筆からインスピレーションが湧き出るに任せるには、何も考えず、ただ手を動かして描き始めることだ」(ピカソ)
・懸命な意思決定のカギを握るのは、直感を信用すべき時と、しっかり考えるべき時を、はっきり区別すること。
⑥好奇心
・好奇心が強い人は、想像力が旺盛で、洞察力やクリエイティブ思考に優れ、美的感覚が鋭く、思考や知性が豊かな傾向にある。
・好奇心の3つの形
1)知的好奇心
2)情動的好奇心
3)美的好奇心
・外向型の人は、より直接的に「欲求を満たす」報酬を探したり、求めたりしやすい。好奇心が旺盛な人は、報酬を得る可能性ではなく、「新しい発見をする可能性」から活力を得る。
⑦瞑想
・マインドフルネスは、今ここに注意を払うこと。マインドフルに観察する訓練をすると、認知機能に数字の上で明らかな向上が見られる。人は常に周囲の状況に気づいているつもりでいるが、実はそうではない。
・脳が散らばった思考を関連づけたり、アイデアを形にしたりするには「ダウンタイム(休止時間)」が必要とされる。
・雑念に屈している限り、豊かなアイデアやビジョンが存在する心の領域へのアクセスは難しい。
⑧繊細
・クリエイティブ思考の人々は、そのオープンさや繊細さゆえに、しばしば苦しみや痛みにさられるが、同時に非常に多くの喜びも味わう。
・感受性が極度に高い人は、往々にして感情の起伏が激しいものだが、それを抑制することを心得た人は、自らの生々しい近くを鋭い洞察に昇華させることができる。
・どんな環境でもたくましく生きていける「タンポポの子供」と生き残りや繁栄が環境に大きく左右される「ランの子供」。ランの子供は、世話をしてもらえないと、すぐ衰弱するが、しっかり支えられて育つと、並外れて繊細で美しい花を咲かせる。
⑨逆境
・傑出した芸術家は往々にして逆境を経験している。
・「失うこと」でクリエイティブな何かを得ることがある。
・「孤児効果」:偉業を達成した人は、早く親を亡くしている割合が平均よりはるかに高い。
・「知る」「理解する」といった単語の使用が増えることは、精神的にきつい出来事であったものを、当人が新たな方向から概念化し始めたことを反映している。
⑩異端
・あらゆる偉業に不可欠な要素は、「人と違う考え方をする」こと。
・芸術と科学の歴史に名を残す偉大な人々に共通する特徴の一つは、現状に挑戦し、努力する過程でしばしば抵抗と逆境に遭遇したこと。
・数が多いというだけで、多数派と同じように考えようとするのは、志が低い証拠。真実は多数派が信じるか否かによって変わるものではない。
10の要素は自分にすべて備わっているわけではないと感じがちですが、どれも要素はありそうで、ただ日常では発揮されていないだけ。10のうち、「あぁ、最近この要素に目を向けていないな」と思えば、そこを意識する。「ここ苦手だな」と思えば「苦手でありながら取り組める工夫をしてみる」。そうしているうちにバランスが取れてくるのではないかと思います。
FUTURE INTELLIGENCE ~これからの時代に求められる「クリエイティブ思考」が身につく10の習慣~
- 作者: スコット・バリー・カウフマン,キャロリン・グレゴワール,野中香方子
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2018/04/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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