バズる文章術(三宅香帆)
『バズる文章術』(三宅香帆)
①文章の終わりまで読もうかなと思ってもらう、②この人いいなと思ってもらう、③広めたいなと思ってもらう。そんなバズる文章の書き方を文芸オタクの著者が伝える一冊。「文章で的確に伝える」という技術的な考えよりも、「文章で楽しんでもらう」という文芸的な目線で文章を書く。作家等いろいろな方の文章を参考に何がいいのかがわかりやすく解説されており、ちょっとゆるい感じで、自分の言葉の見せ方が学べます。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯最初に意味不明な言葉を放り込む
・最初に何か”引っかかり”があると、どうしても続きを読みたくなる。
①伝えたいことを一文にしてみる
②その中で、一番伝えたい部分を伏せ字にする
③その伏せ字を、いろいろ言い換える
④一番インパクトのある言葉をチョイス
◯問いを共有する
・答えを書き手も知らないし、読み手も知らない。同じスタート位置から、一緒に考えていくことが重要。
①ひとつぼやく
②ありえないことが起こる
③常識的な対処をしても、ありえないことが起こる
④常識的な対処を全部盛りにしても、やっぱりありえないことが起こる
◯二つのものを並べて始める
・一見何の関連もなさそうな二つの言葉を組み合わせると、そこに新しい世界が生まれる。思考は、言葉の共通点、相違点、類似点などを見つけ、展開させようと働いてくれる気がする。
①書くことを一つ決める
②雰囲気のあるものを隣に置く
③二つの関連性について書く
◯読みたくなるリズムを使う
・ある発話において、音の強弱、高低、長短などに関する一定のパターンが繰り返し現れ、個々のパターンに要する時間がほぼ等しいとき、そこにはリズムが見られる。「一文を短くする」ことをお勧め。一文を短くできれば、文章のリズムを調整しやすくなる。カギカッコを挟んだり、語尾や接続詞を換えることでリズムをつけられる。
①同じ語尾を3回繰り返す
②長い文章を、二文、三文に切ってみる
③似た意味の文を、オンん数を増やして連続させる
④後半部分を揃えて、連続させる
◯ひらがなで印象を変える
・ひらがなって感じよりも「ゆっくり読ませる」もの。私たちの文章は正確なだけでは困る。読み手が目を留めて、内容を咀嚼してほしい。そこで漢字で書けるところを、あえて「ひらがな」にする。そうすることで、その部分を少し遅いテンポで読んでもらえる。
・ひらがなにしたいときは、①強調したいとき、②漢字と漢字が連続するとき、③手書きはあまりしないような漢字
◯突然、口語になる
・文体を切り替えることによって、”感情の見せ方”をコントロールできる
・書いている途中、文体を変えることで読み手の注意を引くことができる
①”冷静な人”から書き始める
②ちょっとずつ”情熱の人”を出していく
③言いたいことを言うタイミングで、情熱を一気に解放する
◯読点でテンポを操る
・紙の上の文章で生き生きとした言葉として感じられるのは、一文の長さと言うよりも、読点の数にある。距離を縮めたいときは読点を増やし、距離を置きたいときは読点を減らせばいい。
①読み手に対する、自分のキャラクターを決める
②そのキャラクターに合った「話すスピード」を想像する
③そのスピードに合わせて、読点を打つ頻度を決める
◯「どう感じているか」をくっつける
・「何があったのか」よりも「どう感じているか」を伝えること
①「何があったのか」を書く
②「どう感じたのか」を決める
③「どう感じたのか」を、出来事にくっつける
◯段落で呼吸を整える
・どこで段落を変えるべきか。それは「一息で読んでほしいところまで」
・「吸って〜」「吐いて〜」の切り替わりのタイミングがきっちり段落の真ん中あたりに来ていること。
①自分の書いた文章を、呼吸を意識しながら読み返してみる
②一気に読ませたいなら段落は減らす。ゆっくり読ませたいなら段落を増やす。
③段落の中にちゃんと「吸って〜文」と「吐いて〜文」のペアがあるかを確かめる
◯あえてみなまで言わない
・わかる人にはわかるし、わからない人にはわからない。書かずに「余白を残す」ことで、粋な文章に化ける。
①細かいことに対して、悩んだりこだわったりしない。飄々とした感じで書いてみる
②「どういうことなの?」ってわからない人と、「そういうことか!」とわかる人を想像する。
③わからない人のための説明を思い切って省く。
◯「百人中百人の同意見」を挟む
・「個人の思い出」が「みんなの思い出」に化ける
・「みんなの感情」は表現がおおざっぱであればあるほど、効果が高い
①お母さんの話は、心をつかむ鉄板ネタ
②お母さんには、共通の「生活の知恵」がいっぱいある
③お母さんには、共通の「トホホ話」がいっぱいある
文章にはいろいろな技術があると思いますが、SNSで共感を生むという点で言えば、大量の情報が流れる中でパッと見て印象付けて、続きを読んでいただいたり、共感していただくことって大切ですよね。これからの社会においても必須の基礎技術だと思いますので、文章も見出しもしっかりと磨いていきたいと思います。