言葉の美味しいとこどりができる一日一言シリーズ。最初に「一日一言」から入って、本編の書籍に移るもよし、本編の書籍をある程度読んでから、総まとめ的に「一日一言」を読むもよし。私は後者でしたので、復習的に総ざらいしてみました。四書五経とは、中国古典の『論語』『孟子』『大学』『中庸』(以上「四書」)と、『易経』『書経』『詩経』『礼記』『春秋』(以上「五経」)のこと。2000年以上を経ても色あせない教えは、人類普遍のもの、人間の心理をついたものと言えます。今回は、「五徳を磨く」というコンテンツづくりのために、言葉を拾っていきました。したがって、「仁義礼智信」に関するものが中心です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯自分の身から正す
・「其の身を正すこと能わずんば、人を正すを如何せん」(論語)
⇨上に立った人が自分を正すことができなければ、どうして他の人、あるいは部下を正すことができようか。
◯驚愕の難しさ
・「学て然る後に足らざるを知り、教えて然る後に困しむを知る」(礼記)
⇨学んで初めて自分の足りないところがわかり、教えて初めて難しさがわかる。学べば学ぶほどわからないことが多くなるし、教えれば教えるほどその難しさがわかる。
◯敬を生き方の中心に置く
・「敬をもって所と作せ」(書経)
⇨自分の生き方の原理原則を敬に置きなさい。「敬」とは人を尊敬することであり、自らのみを慎むということ。
◯四端の説
・「惻隠の心は仁の端(はじめ)なり。羞悪の心は義の端なり。辞譲の心は礼の端なり。是非の心は智の端なり」(孟子)
⇨かわいそうだなと思う気持ちは仁の始まりである。善悪がわかるのは義の始まりである。譲るという気持ちは礼の始まりである。是か非かわかるのは智の始まりである。
◯責任を自分に求める
・「君子は諸れを己れに求め、小人は是れを人に求む」(論語)
⇨立派な人は、成すべきことの責任は自分にあると考える。つまらない人間はそれを人のせいにする。
◯教えるとは学ぶこと
・「教えるは学ぶの半ばなり」(書経)
⇨教えることの半分は、自分が学ぶということ。
◯本当の過ちとは
・「過ちて改めざる、是れを過ちという」(論語)
⇨間違っているのに間違いを認めない。これが本当の過ちだ。
◯表裏をなくす
・「其の睹(み)ざる所に戒慎し、其の聞かざる所に恐懼(きょうく)す」(中庸)
⇨他人が見ていないところでもちゃんと慎み、他人が聞いていないところでもいい加減なことをせずに恐れ慎む。
◯学問する態度
・「学は及ばざるが如くす。猶お之れを失わんことを恐る」(論語)
⇨勉強はいくらやっても追いつかないという感じでやらなければならない。また自分が習得したことも、すぐになくなるもののように恐れて、その学問を守らなければいけない。
◯恒産なければ恒心なし
・「恒産なければ、因って恒心なし」(孟子)
⇨ちゃんとした財産がなければ、落ち着いた気持ちはない。
◯不正の儲けは浮雲の如し
・「不義にして富み且つ貴きは、我れに於て浮かべる雲の如し」(論語)
⇨悪事を働いて金持ちになったり、あるいは地位が高くなったとしても、そんなものは空を流れる雲のようなもので、自分にはどうだっていいことだ。
◯守るべき道を継ぐ
・「士は窮しても義を失わず、達しても道を離れず」(孟子)
⇨立派な人は困っても義を失わない。志を達しても道から離れるようなことはない。窮しても、達しても、守るべき道を守る。
◯不義理には不義理が返る
・「爾に出ずる者は、爾に返る」(孟子)
⇨あなたがしたことはあなたに返る。良いことをすれば良いことが返ってくるし、不義理なことをやれば不義理なことが返ってくる。
◯悪には悪が応じる
・「言悖(もと)りて出ずる者は亦た悖りて入り、貨悖りて入る者は亦た悖りて出ず」(大学)
⇨悪いことを言った者には、悪いことが戻ってくる。悪いことをして儲けたお金は、また悪い形になって出ていく。
◯情けと学問
・「仁を好みて学を好まざれば、其の蔽や愚なり」(論語)
⇨道徳的に立派であること、情け深いこと、それを好むのはいいが、学ぶことを好まないと愚かさが出る。
◯進むも急、退くも急
・「進むこと鋭き者は、其の退くこと速やかなり」(孟子)
⇨急に勢力を伸ばした者は急に落ちる。
◯学問のすゝめ
・「性は相近し、習えば相遠し」(論語)
⇨人間は皆、生まれたときは似たようなものだけれども、習うことによってうんと違ってくるもの。
◯暇は悪事のもと
・「小人閑居して不善を為す。至らざる所なし」(大学)
⇨つまらない人は暇になると悪事を働きかねない。
こうした箴言集を読んでいて思うことは、自分の体験として腹落ちするものは、スッと入ってきますし、そうでないものは言葉が浮ついてしまう。いかに日頃の自分の体験を流さないで認識することが大切か。そのためにも、時折振り返る機会を設けておくことが重要になってくると思います。