MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

『原始仏典 中部教典II(第5巻)』(監修:中村元)

『原始仏典 中部教典I(第4巻)』(監修:中村元)(◯)

 シリーズ5冊目は、中部教典(本書は41〜67までの27経典が収録)約500ページ。本書も随所に出てくる説法をいくつかの数で分類した表現(例えば、「4つの◯◯」)が印象深く、この観点を学ぶだけで理解が整理しやすいし、仏教って整理されているなぁと感じます。さすがに、「仏典結集」によって何度も整理されてきただけあるなと思います。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯第41経「サーレッヤカ経」より

・十種の正しい行い

▪️身体による法にかなった行い、正当な行い

①生き物の殺害を放棄し、生き物の殺害を離れた者

②盗みを放棄し、盗みを離れた者

③邪欲をもって異性と交わることを放棄し、邪欲をもって異性と交わることを離れた者

▪️ことばによる法にかなった行い、正当な行い

④偽りを語ることを放棄し、偽りを語ることから離れた者

⑤中傷することばを放棄し、中傷することばを離れた者

⑥荒々しいののしりことばを放棄し、荒々しいののしりことばを離れた者

⑦つまらぬ冗舌を放棄し、つまらぬ冗舌を離れた者

▪️こころによる法にかなった行い、正当な行い

⑧貪欲のない者

⑨怒りの心を持たない者

⑩正しい見解を持つ者

 

◯第44経「小有明経」より

・8項目からなる貴い道

▪️智慧

①正しい見解
②正しい思考

▪️戒の集まり
③正しいことば
④正しい仕事
⑤正しい生活

▪️心の統一(定)・・心が一つに集中していること

⇨4つの注意力の確立(四念住)が心の統一の姿。4つの正しい努力(四正勤)が心の統一を助ける。それらの事柄に習熟すること、習得すること、何回も行うことが心の統一の習得。
⑥正しい努力
⑦正しい注意力
⑧正しい心の統一

 

・三種の形成力

①身体の形成力(身行)

⇨吐く息と吸う息。

②ことばの形成力(語行)

⇨大まかな考察(尋)と細かな考察(伺)。

③心の形成力(心行)

⇨表彰と感受

 

・三つの感受

①楽の感受

⇨身体または心に、安楽に心地よく感じられたもの

⇨存続することを楽と感じ、変化することを苦と感じる

②苦の感受

⇨身体または心に、苦しく心地悪く感じられたもの

⇨存続することを苦と感じ、変化することを楽と感じる

③苦でも楽でもない感受

⇨身体または心に、心地よくもなく心地悪くもなく感じられたもの

⇨自らが苦でも楽でもない感受であると知ることを楽と感じ、そのように知らないことを苦と感じる。

 

◯第46経「大受法経」より

・4つの真理の了解

①現在も苦であり、未来にも苦の熟果をもたらす真理の了解

②現在は楽であり、未来には苦の熟果をもたらす真理の了解

③現在は苦であり、未来に楽の熟果をもたらす真理の了解

④現在も楽であり、未来にも楽の熟果をもたらす真理の了解

 

◯第48経「コーサンビヤ経」より

・まとわりつく煩悩

①よくに対する欲求
②怒り
③こころの落ち込みと眠気
④こころの浮つきと後悔
⑤疑い
⑥この世の考察
⑦あの世の考察
⑧議論を起こし、論争を起こし、口論を起こし、互いに舌鋒鋭く攻め合っている

 

◯第51経「カンダラカ経」より

・四書類の人

①みずからを苦しめ、みずからを苦しめる行為に専念する

②他を苦しめ、他を苦しめる行為に専念する

③みずからを苦しめ、みずからを苦しめる行為に専念し、かつ他を苦しめ、他を苦しめる行為に専念する。

④みずからを苦しめず、みずからを苦しめない行為に専念し、かつ他を苦しめず、他を苦しめない行為に専念する。

 

◯第53経「有学経」より

・7つの正しい教え

①信を持ち
②みずからに恥じ
③他に対して恥じ
④教えを多く聞いており
⑤精進に励んでおり
⑥注意力を持ち
智慧を持つ

・4つの瞑想をそなえる

①欲望を離れ、不善のものを離れ、大まかな考察(尋)をともない、細かな考察(伺)をともなっているが、5つの蓋いからの離脱によって生じた喜びと安楽とをそなえた、第一の瞑想(初禅)に到達して住する。

②第一の瞑想の大まかな考察と細かな考察をとをやめることによって、心のうちが平穏となり、心が一点に集中し、大まかな考察(尋)をともない、細かな考察(伺)を離れたこころの安定(定)から生じる喜びと安楽をそなえた第二の瞑想(第二禅)に到達して住する。

③第二の瞑想の喜びを離脱することによって、中庸(捨)となっており、注意力と明瞭な意識とを持ち、身体により安楽を感受し、聖なる人たちが、「中庸となり、注意力を備えた者は安楽である」というところの第三の瞑想(第三禅)に到達して住する。

④第三の瞑想の安楽をも断ち、苦をも断つことにより、またすでに先に第一と第三との瞑想においては喜悦と苦悩とが消滅しているから、苦もなく、楽もなく、中庸さより生じた注意力がもっとも清浄になっている第四の瞑想(第四禅)に到達して住する。

 

  ここで取り上げているものは、本書の中でもまだ理解しやすい部分とは思いますが、感覚的なところは分かったような、わからないようなという感じです。まずは、ことばに慣れ、何度も繰り返されるところを中心にちょっとずつでも理解していこうと思います。

原始仏典〈第5巻〉中部経典2

原始仏典〈第5巻〉中部経典2

  • 発売日: 2004/11/01
  • メディア: 単行本
 

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