広く弱くつながって生きる(佐々木俊尚)
『広く弱くつながって生きる』(佐々木俊尚)
ネットワーク理論に関連しそうな本を探していて、書店で偶然見つけた書籍です。本書では、人間関係をちょっと考え直してみることで、生きづらさを日々から取り除いて、もっと楽に過ごせるようにしようということを提案しています。日々の仕事や生活を地道に続けながら、それでも気楽に暮らしていくためには、何をどうすればいいのか。その提案は、ただ一つ。人とのつながりのあり方を見直すこと。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯同調圧力による強いつながり
・家族、会社、業界、社会といった集団。それを息苦しく感じることはあるが、一方でそれにより安心感を得ている。
・安定と引き換えに、徹底的に絡めとる。談合、副業の禁止、転勤、終身雇用。蜘蛛の巣でがんじがらめにするのが、日本の企業や業界のあり方。これが強いつながりの基盤。
◯「弱いつながり」へと移行する現代
・『転職』(マーク・グラノヴェッター)において「弱い組紐の強み」という理論(ウィークタイズ理論)が提唱された。
・家族や親友といった強いつながりよりも、弱いつながりをたくさん持つことの方が、多くの情報を得られるという利点から重要である。
・転職の場合、同じ会社の人が求人情報を教えてくれることはまずない。会社の中では大体同じ情報を共有しており、隣席に座っている人間が持つ情報は自分も概ね知っているはず。
・逆に自分の知らない業界にいる人や、日頃接触がない人の方が、自分が持っていない新鮮な情報を持っている可能性が高くなる。自分にとってデメリットはないわけだから、すんなり教えてくれる。そのようなつながりをたくさん持っておくこと。
◯網の交差点にいる自分をイメージする
・以前、インターネットのコミュニティサービスは、ある広場に参加者があるまるような形式だった(旧2チャンネル)。
・一方、FacebookやTwitterには中心地がない。自分のいる場所が中心。となると、中心である個人が縦横につながっていることになる。上から見ると網のような感じで、縦横が交差する結び目に個人がおり、それが無数の糸によってつながっているような感じ。
・弱いつながりを維持する上で、そういう網をイメージすることがある。無限に広がる人間関係の網のようなものがあって、自分は網のどの辺りの交差点にいるのかというポジショニングを考えてみる。
同調の繋がりよりも、弱い繋がりを持っておいた方が、情報が入ってくるし、偏りがない。強さと弱さ、そして関係性の広さ。デジタルの世界が広がっていくほど、弱く広いつながりを持っている人には、その時に必要な情報が入ってくるように思います。