感情力(フランソワ・ルロール、クリストフ・アンドレ)
『感情力』(フランソワ・ルロール、クリストフ・アンドレ)(◯)
心理学の良書シリーズです。最初に読んだのは『自己評価の心理学』という本だったのですが、そこから随分空いて本書を読みました。私のように心理学のことに詳しくなく、ぼんやり知っている程度の方には、とてもわかりやすい解説で、随所に表形式で整理されているのも頭の整理に役立つのだと思います。本書は、代表的な8つの感情の特徴とその感情とうまく付き合う方法がまとめられています。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯感情とは?
・動き(突然感情に襲われ心を揺り動かされる)
・全身で感じる現象
・精神に影響をもたらす
・出来事に対する反応
・行動を引き出す
◯感情関する4つの仮説
①感情=進化説
・感情は遺伝である
・私たちが生活していく上で感情は役立っている
②感情=身体説
・感情は身体反応である
・身体反応をコントロールすることによって、感情もコントロールできる
③感情=認知説
・感情は思考である
・考え方を変えることによって、感情をコントロールできる
④感情=文化説
・感情は文化である
・感情を表出したり、解釈したりする時に文化的な背景を考える
◯怒り
・怒りが生まれるメカニズム
①相手のしたことが自分の期待に反した
②故意に行われた
人は怒りの感情に囚われると、相手が故意にやっていると実際以上に思い込む傾向がある。
③自分の持っている価値観に反する
④怒りという感情を示すことによって問題をうまく解決できる
・怒りと上手に付き合うために
①怒りの原因になるものを少なくする
②見方を変えるように自分に話しかける
③相手の立場を考えてみる
④一晩落ち着いてよく考えてみる
⑤意見を言う機会を相手に与える
⑥人格を非難せずに行動だけを批判する
⑦自分をコントロールできないと思ったら話を止める
⑧新しくやり直す
◯羨望
・人は自分が持っていない資質や才能、特権などを誰かが持っていることに気づいた時、その誰かに対して苛立ちと憎しみが混じり合った感情を抱く。
・羨望とは、他人が持っている幸福を欲しがったり、壊したいと思う気持ち。嫉妬は、自分の持っている幸福が奪われるのではないかと恐れる感情。
・羨望とうまく付き合う方法
①羨望の気持ちがあることを認める
②羨望の気持ちを積極的に表現する
③逆に表に出さない
④過去の劣等感に関係していないか考えてみる
⑤相手の優っている点を相対化してみる
⑥自分は他人より優れていると言う考えを改める
⑦公正な社会をつくる努力をする
⑧人に羨望を抱かせないように気をつける
◯喜び、上機嫌、幸せなど
・上機嫌になると、、、
①人の役に立ちたくなる
②創造的になる
③決断力が高まる
④大胆になる
⑤無駄なリスクは冒さなくなる
⑥自発的になる
・幸せの4つの顔
①喜び
②満足
③目的を達成していくこと
④心の平静
◯悲しみ
・悲しみは、不愉快な出来事によって失ったものに気持ちが集中される。怒りは、その不愉快な出来事が誰のせいで起こったかということに気持ちが集中される。
・悲しみとうまく付き合う方法
①悲しみの気持ちがあることを認める
②悲しみを表現する(表現方法には注意)
③何かをする
④楽しいことを探す
⑤診療を受けることを考える
◯羞恥
・自分が人に比べて劣っているとか、何かにふさわしくないとか言うことを辛く思う感情。また、人から低く見られていることを辛く思う感情。
・みんなとは違う。つまり、標準から外れていると言う気持ちは羞恥の感情を引き起こす。
・羞恥は何の役に立つか
①恥じていることを見せると周りが寛容になる
②恥じていることを見せると周りの同情を得られる
③恥をかくのが嫌だと思うと行動に気をつけるようになる
④社会にとってはメンバーの行動を律するのに役立つ
・羞恥とうまく付き合う方法
①恥ずかしいと思っていることを誰かに打ち明ける
②羞恥を困惑に変える(少し軽めに考えてみる)
③自分の基本的な思い込みは何か考えてみる
④犯行の現場に戻る
⑤恥をかかせようとする相手を避ける
◯嫉妬
・嫉妬の感情をなくすというのは無理がある。嫉妬は誰もが抱く自然な感情。
・嫉妬とうまく付き合う方法
①自分が嫉妬していることを認める
②嫉妬を表に出す
③どうして嫉妬を抱くかについて考える
④パートナーを嫉妬で責め立てない
◯恐怖
・恐怖の5つの特徴
①恐怖は危険と結びついている
②恐怖は強い身体的な反応を伴う
③恐怖は行動を準備させる
④恐怖は意識されないことがある
⑤恐怖は固有の表情を持っている
・恐怖とうまく付き合う方法
①恐怖を受け入れる
②恐怖をコントロールする
③恐怖に立ち向かう
④恐怖を直視して本当に危険があるかどうか考えてみる
◯恋愛
・愛着の3つの型
①安心型:安定した愛着・・愛着独立混合タイプ
②回避型:不安定な愛着・・独立志向タイプ
③両価性型:不安定な愛着・・愛着志向タイプ
・恋の病にかかりやすい人
①自己評価が低い
②人に頼らなければならない状態の時
③不安を感じている時
◯相手の感情に気づく方法
①相手の顔を注意深く見つめる
②相手の気持ちを言葉にして、相手に確かめてみる
様々な思考・行動の背景にある感情。何かを説明するときに「感情」についての知識があると裏付けとして強いし、納得感があるなと思います。このシリーズ本は他に、『自己評価の心理学』『難しい性格の人との上手な付き合い方』『他人がこわい』『自己評価メソッド』などがあります。今後このシリーズを読破してコンテンツ化していく欲求にかられています。これも感情?