『エフォートレス思考』(グレッグ・マキューン)(◯)
ベストセラーになった『エッセンシャル思考』の続編です。前作では、「最小の時間で成果を最大化する」というテーマで「何をやるか」にフォーカスされていましたが、今回は、「努力を最小化して成果を最大化する」というテーマで、「どのようにやるか」にフォーカスされています。
「努力しなくても成果を出せる方法はないのか?」
前作と合わせると、「最小の時間で、努力しなくても成果を出す」という考え方になり、「そんなうまい話あるの?」という素朴な疑問は、脇に置いて、自分の感情の当て方次第だろうというイメージを持ちながら読むと得るものが多い一冊だと思います。
特に「テコの原理」を利用した「複利の法則」は、内省しながら深く考えてみたいテーマです。例えば「学び」ひとつを取っても、知っていることが多いほど、気づきも学び取る力も増して、新たな学びを広く深く吸収できます。人間関係であれば、早く人脈を広げれば、紹介を含めて人脈の広がり方が領域も人数も増していきます。ここに気づけている人は、人生の可能性がより広がっていくのだろうと思います。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯頑張っても仕事の成果が出ないときの選択
どれを選択しますか?
①このまま死ぬまで頑張り続ける
②成功をあきらめて楽な仕事をする
③頑張らない働き方でうまく成功を手に入れる
◯エフォートレス思考の3ステップ
①エフォートレスな精神
頭のガラクタを片付けて、余裕のマインドを手に入れる
②エフォートレスな行動
最も効率の良いポイントを見つけて、余裕で最高の成果を出す
③エフォートレスのしくみ化
行動を自動化し、成果が勝手についてくる仕組みを作る
◯エフォートレスな精神
・頭の中に不要な考え方や、ネガティブな感情や、ダメな思考パターンが詰まっていると、思考は妨げられ、最高のパフォーマンスが出せなくなる。
・最も簡単に問題を解決するコツは、「いつでも逆から考える」こと。最初に思いついたやり方を、ひっくり返してみる。後ろ向きに辿ってみる。そして、「もしも反対のことが正しかったらどうだろう?」と考えてみる。
・前提を疑い、問題を別の角度から見てみれば、そこには驚くほど簡単な答えが隠れているかもしれない。
・頑張れば成果が出るとは限らない。「どうしてこんなに大変なんだ?」と問うのではなく、「どうすればもっと簡単になる?」と問う。重要なことを成し遂げるのは難しいという思い込みを捨てる。大きな困難を感じたら、「やり方が悪いのではないか?」と振り返る。
・我慢を楽しいに変える。重要な任務と楽しい行動を組み合わせる。仕事と遊びを共存させる。面倒なタスクを意味のある儀式に変える。遊びと笑いを取り入れて、楽しい時間をデザインする。
・頭の中の不要品を手放す。足りないものではなく、あるものに目を向ける。
・休みで脳をリセットする。何もしない技術を身につける。1日の疲れは1日で癒せるようにする。昼寝の活用。
・今この瞬間にフォーカスする。注意力の訓練。頭のガラクタを減らすために部屋の片付けをする。
◯エフォートレスな行動
・何も考えなくても体が動く「ピークエクスペリエンス」と呼ばれる状態を作る。頑張らず、流れに逆らわず、自然に成果を出すやり方を学ぶ。
・ゴールを明確にイメージする。プロジェクトの着手前に「完了」をイメージする。「今日の完了リスト」を作る。
・はじめの一歩を身軽に踏み出す。最もシンプルな行動から始める。
・手順を限界まで減らす。各ステップの単純化ではなく、不要なステップを無くす。やらないことを最大限に増やす。
・良い失敗を積み重ねる。「ゴミ」から始める。安く失敗する。学習サイズの失敗から学ぶ。
・早く着くために、ゆっくり進む。X以上・Y以下というシンプルな範囲を守る。「ゆっくりはスムーズ、スムーズは速い。全力疾走が速いわけではない」と理解する。
◯エフォートレスのしくみ化
・小さな努力で大きな成果を出すには、テコの原理を活用する。テコになるもの。
①学ぶ
②教える
③自動化する
④信頼を作る
⑤問題を防ぐ
・「方法は百万とあるかもしれないが、原理はわずかしかない。原理を把握した人は、自分の方法を正しく選ぶことができる。原理を無視して方法に飛びつく人は、必ず困難に陥る」(ハリントン・エマーソン)
・一生物の知識を身に付ける。目先の方法ではなく、原則を学ぶ。
・一番シンプルに伝える。教え方を教えれば、影響範囲は大きく広がる。理解しやすく、覚えやすいストーリーを伝える。
・勝手に回る「しくみ」を作る。できるだけ多くのタスクを自動化し、脳の利用可能なスペースを作る。
・不信のコストを削減する。他人との共同作業を簡単にするのは、信頼を活用。摩擦のない効率的なチームを作る。正しい人を一度雇えば、繰り返し成果を出してもらえる。
・問題が起こる前に解決する。問題をごまかさず、問題が起こる前に解決する。明日の困難を防ぐために、今すぐ簡単にできることを探す。何度も繰り返される問題を防ぐために、2分間だけきちんと取り組む。