『ハイコンセプト』(ダニエル・ピンク)
これからはカンニングの時代。世の中に出たら、知識を持っていることよりも、多くの人の意見を聞いて自分の考えをまとめる能力や、壁にぶつかったら、それを突破するアイデアと勇気を持った人の方が貴重。本書は、6つの重要な資質(6つのセンス)、すなわち、デザイン、物語、調和、共感、遊び、生きがいの大切さについてまとめられた一冊です。
(印象に残ったところ)
◯ハイ・コンセプト
・パターンやチャンスを見出す能力。芸術で感情面に訴える美を生み出す能力、人を納得させる話のできる能力、一見バラバラな概念を組み合わせて何か新しい構想や概念を生み出す能力など。
◯ハイ・タッチ
・他人と共感する能力、人間関係の機微を感じ取る能力、自らに喜びを見出し、また、他の人々が喜びを見つける手助けをする能力、ごく日常的な出来事についてもその目的や意義を追求する能力など。
◯これから求められる6つの感性(センス)
①機能だけでなく「デザイン」
・実用性と有意性
・「実用性」のほうは、左脳主導思考。「有意性」は右脳主導思考に近い。
②議論よりは「物語」
・事実というのは、誰にでも瞬時にアクセスできるようになると、一つひとつの事実の価値は低くなってしまうもの。それらの事実を「文脈」に取り入れ、「感情的インパクト」を相手に伝える能力がますます重要になってくる。
・「感情によって豊かになった文脈」こそ、物を語る能力の本質。
③個別よりも「全体の調和」
・調和(シンフォニー)とは、バラバラの断片をつなぎ合わせる能力
・「分析する」というよりも「統合する力」であり、「一見無関係に思える分野に関連性を見出す力」、「特定の答えを出す」というよりも「広範なパターンを見つける力」、そして、「誰も考えなかったような要素の組み合わせから新たなものを創造する力」
・これから成功する可能性大の3タイプ
1)境界を超えられる人
2)発明できる人
3)比喩を作れる人
④論理ではなく「共感」
・共感とは、相手の状況に自分を置き換えて考えられる能力であり、その人の気持ちを直感的に感じ取れる能力。誰かの立場に立ち、その人の視点で考え、その人が感じるように物事を感じることのできる能力。
⑤まじめだけでなく「遊び心」
・遊び心があると右脳が活性化する
・「遊び心いっぱいの軽妙な資質が、クリエイティブな人の特徴であることに疑いはない」(ミハイ・チクセントミハイ)
⑥モノよりも「生きがい」
・「人間の主な関心事とは、喜びを得ることでも、痛みを避けることでもなく、自らの人生に意義を見出すことなのである」(ヴィクトール・フランクル)
・「科学と仏教はとてもよく似ています。なぜなら、どちらもリアリティの本質を探ろうとしているからです。そして、どちらも、人類の苦しみを軽減することを目標としているのです」(ダライ・ラマ)