『55歳の教科書』(藤原和博)
タイトルの年齢に達するまではまだ時間がありますが、年齢層を絞った書籍は、その年齢の方はもちろん、早い方も、過ぎた方も、それぞれの読み方ができると思います。私は、先取りして必要なことを今のうちからやっておこうと思いながら読むタイプです。著者の書籍には『35歳の教科書』『45歳の教科書』と、すでに過ぎた年齢の書籍もありますが、こちらはこちらで、自分の振り返りや「人に伝える際の頭の整理」として読むことができます。本書は、『坂の上の雲』を意識土方奈美、上り調子に坂を登り、これからの人生にふさわしい人生を歩むために必要な準備をまとめた一冊です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯複数走らせる
・いくつものアクションを常に走らせておくことが、後のあなたの大きな力になる。一つが終わってから次に向かうのではなく、ひとつのことをやりながら次のことも進めておく。そうやって山並みの裾野を並行して作る。
◯何も考えないと会社員はこうなってしまう
・30〜40代で課長になって、現場から外れる頃から「仕事の老化現象」が始まる。
「接待や部下との同行営業」「部下の査定や人事の問題」「会議とその根回し」。そんなことをやっているうちに、会社の外や現場ではまったく通用しない自分に気づくことになる。
・「ピーターの法則」:あらゆる組織は無能化する。階層社会すべてのポストは、その責任を全うしない従業員によって占められる傾向にある。
・「パーキンソンの法則」:公務員の数は仕事の量に関係なく、一定の割合で増加する。平たく言えば、あらゆる組織は誇大化する。
◯組織に棚卸される前に自分の棚卸しを
・縦横軸のマトリックス。横軸には「経済的な補修を極大化したい」「経済的ではない価値を大事にしたい」。縦軸には、「組織的なパワーが欲しい」「個人的なパワーが欲しい」。
・他を捨ててでも取りたい3つのことは?
・自分がどの方向へ向かおうとしていのかを確かめる。
・すべてに夢を持ち、チャレンジしてきた20代とは違い、30代後半からは、己のテーマやスキルを特化して磨いていく必要がある。
◯組織内自営業者になる
・組織に居ながらにして、自営業者のような存在になるためには、どうすれば良いのかを意識する。
・早めに方向性を決めておく。
・組織内自営業者になろうという意識を持つと、会社ほど自分の能力が磨ける場所はないということに気づく。
◯コミュニティをシフトする
・会社以外のコミュニティを早めに探しておく
・まずは名刺を出さない練習から。名前を知らない人間とでも遊べるというのが、人間の本質のはず。名刺というのは、結局、ブランド物を身に纏っているのと同じ。組織名や肩書きというブランドを見に纏って勝負している。
・相手の脳の中に「私」というイメージがインプットされているか?
・得意分野の力を発揮できるコミュニティを選ぶ
私の場合、40代前半から本格的に社外コミュニティに人脈を築き始めましたが、そこから10年ほど経ち、この動きが確実に自分の50代以降の人生に役立つ状態になっています。本業を全うしながら次の人生の下地を作っておく。本書を読んで、先取りしておく価値と今目の前のことを一生懸命取り組むことのバランスの大切さを感じます。