MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

ティール組織[イラスト解説](フレデリック・ラルー)

 『ティール組織[イラスト解説]』(フレデリック・ラルー)(◯)

 

 いきなり本編の『ティール組織』を読むのが辛かったので、まずはイラスト解説版の本書から読んでみました。この順番正解でした!もっと正確に言うと、①YouTubeで著者の講演を聞く、②本書(イラスト解説版)を読む、③『ティール組織』本編を読む、の順番でようやく『ティール組織』が読めました。


Reinventing Organizations

 本書の特徴は、その名の通りイラスト解説なのですが、『ティール組織』では組織形態を色で表現しているので、カラー版で色分けしながら、どの組織形態のことを説明しているのかが、一見してわかる点が優れものです。

 内容もコンパクトにまとまっており、『ティール組織』をこれから読む方にも、すでに読んだ方にも、『ティール組織』に興味がある方には、お勧めの1冊です。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯組織形態の違い

①レッド(衝動型)の組織

・狼の群れのような組織(マフィア、ストリートギャングなど)。忠誠心と恐怖で統率する。

・報酬とインセンティブ:略奪品の分配

・2つの鍵となるブレークスルー

1)仕事の分業

2)トップダウンの権力構造


②アンバー(順応型)組織

・階層化された組織(軍隊、カトリック教会、政府機関、学校組織など)。

・報酬とインセンティブ:同一労働、同一賃金

・2つの鍵となるブレークスルー

1)再生可能なプロセス

2)安定した組織図


③オレンジ(達成型)の世界観

・機械のような組織(上場会社、ウォール街の銀行など)

・使う用語も機械のよう(ユニット、レイヤー、インプット、アウトプット、効率・効果、情報フロー、ボトルネック、リエンジニアリング、ダウンサイジングなど)

・自由と繁栄をもたらした一方、変革を求めすぎる、成功がお金と名誉に限定されたという影がある。

・報酬とインセンティブ:個人的なインセンティブ

・3つの鍵となるブレークスルー

1)革新主義

2)説明責任

3)実力主義


④グリーン(多元型)組織

・家族のような組織(リーダーは「家族」とか「コミュニティ」と称している組織。サウスウエスト航空ベン&ジェリー、コンテナーストアなど)

・オレンジ型組織の回想的ピラミッド構造を保持している一方、権限移譲を拡大しようとしているところに矛盾が生じる。

・報酬とインセンティブ:チーム全体へのボーナス

・3つの鍵となるブレークスルー

1)権限の委譲

2)価値駆動の文化

3)ステークホルダーの価値観を活かす

 

ティール(進化型)組織

・個人と集団の解放を目指す世界(エゴの抑制、全体性を希求する)

・生命システムとしての組織

・企業例

 ビュートゾルフ(在宅ケア)

 RHD(人事)

 サン・ハイドロリックス(油圧バルブとマニフォールド製造)

 ハイリゲンフェルト(メンタルヘルス病院ネットワーク)

 モーニングスター(トマト栽培・加工・搬送)

 ホラクラシー(組織的オペレーションモデル)

 FAVI(自動車供給の金属加工)

 ESBA(ベルリンの公立学校)

 パタゴニア(アウトドア衣服製造販売)

 AES(世界的電力供給会社)

 BSO(ITコンサルサービス)

 サウンズ・トゥルー(メディア・出版)

・3つの鍵となるブレークスルー

1)セルフマネジメント(自己管理)

2)ホールネス(全体性)

3) 常に進化する目的)

 

◯セルフマネジメント(自己管理)

 ・組織構造は、チームにチームリーダがいない。スタッフ機能が行うような、トップからの手続き処理やガイドラインを押し付けることもない。人事・財務・営業・マーケティングのような上部組織はない。

・意思決定は助言プロセスを経る。決定が重大であればあるほど、より多くの人の助言を受ける。

・報酬・昇給は自分たちで決めるが、請求レターを書き報酬委員会が読み込んでフィードバックを提供する。その結果を踏まえ、最終的には自己決定。

 

◯ホールネス(全体性)

・自分らしさ、エゴを出す。自分自身を隠さなくていい安全安心の場。

・振り返りのための場が設けられている。瞑想や個人コーチングもある。

・自分自身のことを話す場(ストーリーテリング

 

◯常に進化する目的

 ・戦略・予算・目標・変革マネジメントという組織運営上のプラクティスが(予測→制御)型から(感知→応答)へとアップグレードする。

 

ティール組織を作るための条件

①トップのリーダーシップ

②組織のオーナーシップ

 

 YouTubeを見て、本書を読んで「おもしろそう」と興味が湧いたら、迷わずそのままの勢いで『ティール組織』本編を読みましょう!本書はエッセンスだけなので、疑問が湧いてくることも多いと思います。そこで本編を読む必要が生じます。こちらは500ページ強で、読破するのはなかなか骨が折れるので、勢いが大切かと思います。私も合宿して一気に読み進めましたから・・・(笑)

[イラスト解説]ティール組織――新しい働き方のスタイル

[イラスト解説]ティール組織――新しい働き方のスタイル

 

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