MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

世界の億万長者がたどりつく「心」の授業(河合克仁)

『世界の億万長者がたどりつく「心」の授業』(河合克仁)

 インドのワンワールドアカデミー。そこには、「フォーブズの長者番付に入るクラスの大富豪」「世界的企業の経営者」「トップアスリート」「ハリウッドスター」「カリスマモデル」など、世界の一流の方が集まります。そこでは、「心を苦悩の状態から、美しい状態の戻す方法」、つまり、相手がどうこう、環境がどうこうではなく、心に起きるすべてのことは自分の問題であり、他人をどうするかではなく自分の在り方に目を向けることで解決していくことができるということを時間をかけて学ぶ。そんなアカデミー受講を体験された著者が、本アカデミーの内容(エッセンス)を紹介されている一冊です。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯美しい心をつくる4つのステップ

①気づく

・自分の心の状態が「苦悩の状態」であることに気づく

・起きた出来事が人の苦悩を作っているのではなく、本人が執着している理想像が、苦悩を作り出している。

・ネガティブな感情は、感じている時間が長ければ長いほど自分に定着し、その感情から生まれる衝動的な行動が習慣化する。

・感情=自分ではないことを知り、感情は、物事を経験したとき、勝手に生まれる副作用のようなものと軽く考えていくこと。

 

②観察する

・頭の中をめぐっている心の声を見つけていく

・基本的な手順

1)目を閉じて、背筋を伸ばして椅子や床に座る

2)頭の中を駆け巡る心の声を15個以上挙げる。この際、セリフのようにすると見つけやすい。

 

③苦悩の正体を知る

・自分中心の思考に気がつき、自分がしがみついている理想像を特定する

・次のことを行う

1)第2のステップで挙げた心の声のうち、どれくらいの割合が自分中心の意識から生まれたものであるかを確認する。

2)自分がしがみついていた理想像を見つける。

・人はそれぞれ「こういう人であるべき」という自分の理想の姿を掲げており、理想像と現実との間にギャップが起きると、その瞬間に苦悩の状態に陥り、ネガティブな感情が湧いてしまう。

・自分はこんな理想像にしがみついていたのかと実感できると、その瞬間にスッと理想像を手放すことができる。

 

④正しい行動を考える

・自分や相手にとってふさわしい行動を選択する

・正しい行動とは、自分中心の意識から離れ、相手や周りを視野に入れた行動、また自分が本来やりたいと思っていることに沿った、そのしゅんにふさわしい行動のこと。

 

 インドで開催されていることもあり、仏教色がすごく強いと感じる内容です。自分なりの見方や価値観、判断基準が強いと、そこにしがみつき、それが苦悩となるので、そこに気づき、執着を手放そうという流れはまさに仏教思想。一般人には難しいところ、ここに参加される方は、お金や生活が安定されている方が、あり方を磨きに行かれるのかと思いますが、仏教的思想であれば、普通の人もこの領域に取り組むことが可能な内容だと思います。