『イシューからはじめよ』(安宅和人)(◯)
圧倒的に生産性が高い人の共通していること、それがこの「イシュー」、つまり「何に答えを出すべきなのか」ということについてブレることなく活動に取り組むこと。本書は、マッキンゼー出身の著者による、考えるべきことを考える手法がまとめられた一冊。問題解決をテーマとした書籍はたくさんありますが、本書はその中でも最初に読んでみる価値がある良書だと思います。実際売れていますし。
(印象に残った所・・本書より)
◯本書の代表的な考え方
・「問題を解く」より「問題を見極める」
・「解の質を上げる」より「イシューの質を上げる」
・「知れば知るほど知恵が湧く」より「知りすぎるとバカになる」
・「1つひとつを速くやる」より「やることを削る」
・「数字のケタ数にこだわる」より「答えが出せるにこだわる」
◯バリューのある仕事
・どれだけのインプット(投下した労力と時間)で、どれだけのアウトプット(成果)を生み出せたか。
・バリューのある仕事とは、「解の質」と「イシュー度」がともに高いこと。
・一心不乱に大量の仕事をすることで、バリュー度を高めようとしてもムダ。
・「イシュー度」の低い仕事はどんなにそれに対する「解の質」が高かろうと、受益者(顧客等)から見たときの価値はゼロに等しい。
◯仮説を立てる
・強引にでも前倒しで具体的な仮説を立てることが大切。
①イシューに答えを出す(仮説が単なる設問をイシューにする)
②必要な情報・分析すべきことがわかる
③分析結果の解釈が明確になる
・言葉で表現するときのポイント
①主語と動詞を入れる
②Whyより、Where,what,how
◯良いイシューの3条件
①本質的な選択肢である
②深い仮説がある
③答えを出せる
◯イシュー特定のための情報収集
①一次情報に触れる
②基本情報をスキャンする
③集めすぎない、知りすぎない
◯イシュー特定の5つのアプローチ
①変数を削る(見極めのポイントを整理する)
②視覚化する
③最終系からたどる(ギャップを整理する)
④「So,What?」(だから何?)を繰り返す
⑤極端な事例を考える
◯イシュー分析とは?
・「ストーリーライン」+「絵コンテ」
・ストーリーラインづくりは、「イシューの分解」+「ストーリーラインの組み立て」
・ストーリーラインの2つの型
①Whyの並び立て:理由や具体的なやり方を並列的に立てる
②「空・雨・傘」:課題の確認、課題の深掘り、結論
・絵コンテの3つのステップ
①軸の整理
単に「◯◯について調べる」ではなく、「どのような軸でどのような値をどのように比較するか」ということを具体的に設計する。分析とは比較、すなわち比べること。
②イメージの具体化
数字が入ったイメージをつくる(差がある、変化がある、パターンがある)
③方法の明示(どうやってデータを取るか、検討内容、調査の役割、調査手法)
◯アウトプットを生み出すとは
・いきなり飛び込まない(いきなり分析や検証活動を始めない)
・答えありきではない。かなり高い確率で誤解が起きる。「自分たちの仮説が正しいと言えることばかり集めてきて、本当に正しいのかという検証をしない」
・トラブル対策
①欲しい数字や証明が出ない
→構造化して推定する、足で稼ぐ、複数のアプローチから推定する
②自分の知識や技では埒があかない
→人に聞きまくる(他力)、さっさとその手法に見切りをつける
ビジネススクールでも最初にクリティカルシンキングを学びましたが、その際も、「イシューは?」が口グセになっていたように記憶しています。社会人にとっても基本中の基本となるテーマだと思います。実際に学んでみて、ビジネスでも日々活用してみて、やはりイシューは何か?から始めると、結果的に速くゴールに辿り着くことができ、生産性も高まっているように思います。ビジネススキルの基礎のひとつではないでしょうか。