『リデザイン・ワーク』(リンダ・グラットン)(◯)<2回目>
『LIFE SHIFT』で有名な著者。今月末の勉強会のテーマにも取り上げており、学び直しで再読しました。100年時代はかつてのような「学び→仕事→引退」というステップではなく、学びの時間が増えて仕事に入るタイミングが遅くなったり、仕事の後にさらに「学び→仕事」というステップが入ったりと、さまざまな選択肢があります。それだけ、人生が長くなると収入が必要となり、人生の中で長く働くことが求められる時代とも言えます。
本書は、100年人生で働き手の価値観が変化していく中、企業側はどのように働く場を変化していくことが必要か。リモートワークのあり方やリーダーの考え方など、まさに今変化の真っ只中にあるテーマが中心なので、職場環境や人事・組織に興味がある方には学びが多い一冊だと思います。
(印象に残ったところ・・本書より)
今回は「フォトリーディング」を取り入れて、問いを2つ立てて読んでみました。
次のようなステップで問いを立てているので、ちょっとぎこちなく見えるかもしれません。
本書を読む目的を考える→1ページ1秒でパラパラ見る→印象に残ったキーワードを書き出す(今回は14個でした)→そのキーワードを使って問いを立てる。
◯問い
①マルチステージの人生において、生産性を高めるバランスの取れたフレームワークは?
②リデザインされた働き方の中で、メンバーの公平性を保つ方法は?
◯問いに対するメモ
①について
・生産性には4つの要素がある。場所という切り口では、出勤とリモートがある。また、時間という切り口では同時型(一緒に何かする)、非同時型(各自で何かする)。出勤/リモート、同時型/非同時型は、組み合わせであるが、それぞれ生産性の4つの要素にメリット/デメリットをもたらすので、コレを整理する必要がある。
1)活力
2)集中
3)連携
4)協力
②について
・主に配慮すべき人は、以下の人たち
1)家庭で育児や介護の主な担い手になっている人たち
→リモートワークをやっていても途中中断されることが多い
2)若い働き手たち
→先輩とのつながりを失ったり、職場で他の人の働きぶりから学ぶ機会が減ったりして、知識を吸収できなくなる恐れがある
3)在宅勤務を選択できない現場の人たち
・対策を考える視点としては次の3つ
1)「結果」は公平か・・割りを食っている人がいるのではないか
2)「手続き」は公平か
3)「意思疎通」は公平か
・難しい点
1)結果の公平性を妨げる要因は、業務をやり遂げることへの重圧。働き手のニーズをいちいち全部聞いていられず、結果を出すために割り切って指示を出さざるを得ない。結果の公平性を保つにはマネジャーのスキルが重要。マネジャーの支援も必要。
2)手続の公平性を妨げる要因は、同僚たちの苦境。コロナ禍で多くの働き手が職を失った。解雇が行われた職場では、職場に残った人たちも「生き残ることの罪悪感」が生じる。たとえ手続の公平性が確保されていても、強い不安感が原因で、公平性を実感できない可能性がある。ここはコロナ禍を抜けた今の日本では理解しづらいところ。ただしリーダーが社員と対話すること、今何が起きていて、社員がどう感じているかについて話し合うという点は大切。
3)意思疎通の公平性を妨げる要因は、リモートワークの試練。リモートワークでは繊細な会話はしづらい。また重要な点として、私たちが他人に心を寄せるときは、視覚情報が大きな役割を持つ。非言語コミュニケーションが重要と言われるように、メッセージの言葉を読むことだけではなく、表情やニュアンスなどコミュニケーションにとって大事なことは視覚情報に頼っており、メッセージではわからず、音声通信や画面上でも伝わりにくいところがあるのは確か。
新しい働き方にリモートワークや非同時型という観点が入ってきていますが、メリットだけではないので、デメリットにどう対処するのか。働き手の希望だけではなく、組織全体がうまく機能するようにデザインしていく必要があります。
そのために、生産性の4つの切り口から考え方を整理していくというアプローチは有効に思います。