『日本の消費者はどう変わったか』(野村総合研究所、松下東子、林裕之)
本書は野村総合研究所が2021年夏(コロナ第五波、東京オリンピックの頃)に行った、消費者1万人アンケート調査を取りまとめた一冊。「コロナ禍を経た日本人のリアル」と帯にあるように、コロナ以前の流れがコロナ禍で変わったもの、加速したもの、変わらないものといろいろありますが、それを統計で押さえることによって、今後のマーケティング等にも影響があると思われます。時代の大きな転換点かもしれない今回のコロナ感染症。あらゆる年代で変化が起きているのも事実。変わらない、変わりにくい年代の方も変わらざるを得なかったコロナ禍。何がどう変化しているのか、気になる方は本書を手に取ってみてください。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯就業価値観の変化(一部抜粋)
・本業以外の仕事も持ちたいという志向が高まっている。
(2012年:30%→2018年36%→2021年41%)
・できれば自分で独立して事業を起こしたいという志向は定位横ばい。
(2012年:29%→2018年28%→2021年28%)
◯「おうち」化、オンライン化が進む余暇活動(一部抜粋)
・ビデオ、DVD鑑賞は増加
(2015年:32%→2018年36%→2021年39%)
・TV、パソコン、スマホのゲームは増加
(2015年:24%→2018年30%→2021年35%)
◯テレビ離れが進む(一部抜粋)
・テレビ視聴時間は減少傾向
(2015年:151分/日→2018年145分/日→2021年133分/日)
◯金融投資(一部抜粋)
・金融投資をしている人は増加傾向
・投資はしていないが興味がある人も増加傾向
→ともに20代、30代の伸びが大きい。次いで40代。
◯積極的にお金を使いたい費目(一部抜粋)
・家電製品は増加傾向
(2015年:14%→2018年16%→2021年19%)
・家具、インテリア、寝具は増加傾向
(2015年:11%→2018年11%→2021年14%)
・人との付き合い、交際費は減少傾向
(2015年:30%→2018年30%→2021年25%)
・投資は増加傾向
(2015年:6%→2018年7%→2021年12%)
◯商品を購入する際に参考とする情報源の推移(一部抜粋)
・ネット上の売れ筋商品は増加傾向
(2015年:26%→2018年30%→2021年36%)
・評価サイトやブログは増加傾向
(2015年:30%→2018年34%→2021年42%)
・折込チラシは減少傾向
(2015年:33%→2018年34%→2021年29%)
・雑誌、フリーペーパーは減少傾向
(2015年:13%→2018年11%→2021年10%)
・テレビコマーシャルは減少傾向
(2015年:43%→2018年44%→2021年39%)
◯映画・音楽サブスクリプション(一部抜粋)
・2018年→2021年にかけて各年代とも増加。特に20〜40代の利用割合が高い。
◯フリマアプリ(一部抜粋)
・2018年→2021年にかけて各年代とも増加。特に20〜40代の利用割合が高い。
→ただし、10代は2018年→2021年にかけて29%→30%とほぼ変化がなく、コロナ禍でも行動に変わりはなかった。
肌感覚的にもとても納得感のある結果が多かったです。自分も変化しているものが大半。しかし、世の中の変化に乗っていないものあり、これはこれで自分でも良しとしているので、変化がつかめていればOKとして受け入れています(例えば、食事の宅配サービス、映画等の有料動画配信サービスの利用など)。コロナ禍をどう過ごしたかという観点でも差がつく世の中ですが、コロナ禍の動きをつかんているかどうかでも今後差がついていきそうな気がします。