コトラーのマーケティング戦略がイチからわかる本(現代ビジネス兵法研究会)
『コトラーのマーケティング戦略がイチからわかる本』(現代ビジネス兵法研究会)(◯)<2回目>
マーケティングの大家フィリップ・コトラー氏の1,000ページにも及ぶ『マーケティング・マネジメント』をギュッと一冊にまとめたのが本書です。マーケティングを考える観点が多岐にわたっているため、一つひとつは深堀せず、全体概要を集約した感じです。「マーケティングとはどういうことを考えれば良いのか?」という、考える視点を学ぶのに役立ちます。マーケティングを学ぶ最初の一冊としても良いと思います。私は、ビジネススクール時代にマーケティングを始めて学びましたが、本書をきっかけに様々な各論の書籍へと展開していった、最初の一冊でした。ビジネスの学び直しとして、再読してみました。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯マーケッターが把握すること
①ニーズ(人が何か不足を感じている状態)
②欲求(ウォンツ、ニーズが特定のものに向けられること)
③需要(デマンド、特定製品に対する欲求で、支払い能力に裏付けられていること)
◯STPと4P
・セグメンテーション:市場を細かく分ける
・ターゲティング:ターゲットとなる市場を決める
・ポジショニング:いかに差別化を図るか
・マーケティング・ミックス
①製品(Product)
②価格(Price)
③販売チャネル(Place)
④プロモーション(Promotion)
◯どの市場をターゲットにするかを絞り込む
①セグメント・マーケティング
セグメントした市場は、市場で同じような「欲求」「購買力」「地理的所在」「購買態度」「購買習慣」などを備えていて区別できるグループをいう。
②ニッチ・マーケティング
特別の分野や限定された市場にターゲットを絞る。
③地域マーケティング
地域ごとにセグメントしたマーケティング手法
④個別マーケティング
カスタマイズド・マーケティングやワン・トゥ・ワン・マーケティング。
◯製品を差別化し、他者との違いをアピールする
・製品差別化のポイント
①「形態」による差別化
②「特徴」による差別化
③「性質・品質」による差別化
④「適合性」による差別化
⑤「耐久性」による差別化
⑥「信頼性」による差別化
⑦「修理可能性」による差別化
⑧「スタイル」による差別化
⑨「デザイン」による差別化
◯「新製品」をどうやって開発し市場に投入するか
・製品ミックスの特性
①「幅」(製品ラインの数)
②「長さ」(製品ミックス内のアイテム数)
③「深さ」(提供されるバリアント(変形数)の数)
④「整合性」(さまざまな製品ラインにどれだけ密接な関わりがあるか)
・ブランドにおける6つの意味のレベル
①属性(ブランドはある特定の属性を連想させる
②ベネフィット(属性は、機能的および感情的ベネフィットに言い換えなければならない)
③価値(ブランドは、生産者の価値を物語る)
④文化(ブランドは、特定の文化を象徴している)
⑤パーソナリティ(ブランドは、特定のパーソナリティを伝えることがある)
⑥ユーザー(ブランドは、その製品を購入したり使用する消費者イメージを伝える)
・ブランド構築の5つのステップ
①「ブランディング」の決定
②「ブランド・スポンサー」の決定
③「ブランド名」の決定
④「ブランド戦略」の決定
⑤「ブランド・リポジショニング」の決定
◯一番儲かる「価格」をつける
・製品価格を設定する6つのステップ
①「価格設定目的」の選択
②「需要」の判断
③「コスト」の評価
④「競合製品のコスト、価格、オファー」の分析
⑤「価格設定方法」の選択
⑥「最終価格」の選択
◯売れる「流通販路」を確保する
・チャネルの役割
「時間」「場所」「所有」のギャップを埋める役割
・チャネルを設計する4つのステップ
①顧客が望むサービス水準の分析
②目的の設定と制約条件
③主なチャネル候補の決定
④主要候補の評価
◯印象的に「宣伝・PR」して販売を促進させる
・企業と消費者のコミュニケーションの実施
①標的視聴者の明確化
②コミュニケーションの目的の決定
③メッセージの設計
④コミュニケーション・チャネルの選択
⑤コミュニケーション予算の決定
⑥コミュニケーション・ミックスの決定
⑦コミュニケーションの効果測定
⑧統合型マーケティング・コミュニケーション・プロセスの管理
あらためて読み直してみると、大元の『マーケティング・マネジメント』がいかに体系的に網羅的にまとまった書籍なのかを感じます。自分の視点の欠けているところに気づき、「あっ、この点も考えてみよう!」という考えるきっかけを作る意味でも本書のような目次的な存在は価値があるのだろうと思います。前回この書籍を読んでから10年経ち、知識も経験値も積み重なっている実感もあれば、「全然思い至っていなかった」という自分の中の盲点もあり、学び直しの意味は大きいなぁと感じます。